ものづくり講座教員の久津輪です。
6月6〜8日に名古屋で行われる「木工家がつくる自分のための木の椅子」展に、この椅子を出品します。名付けてリョウブのレジェーラ(軽椅子)。きょう(6月3日)やっと完成しました!
一見すると普通の椅子に見えますが、実は、こんな特徴があります。
1.使用したのは直径わずか12cmのリョウブです。
2.材料の伐採、運搬、加工、仕上げまで、すべて人力で行いました。
3.接着剤を使わず、木の収縮する力を生かして組み上げました。
森林文化アカデミーの林業系の教員や地域の方たちから「里山の小径木をもっと有効利用できないか」という声を聞き、日本全国に育ち資源量も豊富なリョウブで椅子ができるか試してみたのです。
椅子にのせているのが、今回使ったリョウブの根元部分です。これだけ細い木から、椅子ができることが分かりました。
デザインは、2つの椅子を参考にしています。
写真左がイタリアの建築家、ジオ・ポンティのデザインした著名な椅子、スーパーレジェーラ(超軽量椅子)。写真右がアメリカの木工仲間、ドリュー・ランズナーさんに作り方を学んだグリーンウッドワークの椅子です。
去年この2脚を並べてみた時、シルエットが似ているなと思ったのです。また、右の椅子は背板が幅広いのでそれなりに大きな木が必要なのですが、左の椅子の背板なら小径木でも作ることができます。そこで、グリーンウッドワークの手法でスーパーレジェーラを作ろうと考え、できたのが今回の作品です。
はじめての試みでしたが、まずまずの出来栄えです。座面を大きくしたこともあり、座り心地はゆったり、軽やか。椅子の重さは約2.5kg、小さな子供でも楽に持てます。
「木工家がつくる自分のための木の椅子」展では、出品作に座ることができます。ぜひリョウブのレジェーラの座り心地を味わってみてください。
また6月8日10時からは、椅子研究の第一人者、武蔵野美術大学の島崎信名誉教授が1脚ずつ出品作にコメントされる予定で、椅子に関心ある方にはとても興味深いお話が聞けると思います。私も恐る恐る、コメントをいただきに行ってきます。
この椅子、更に発展させて、いずれ生涯学習の椅子づくり講座で実施します。楽しい椅子づくりを通じて、里山に人の手が入り、樹木が有効に使われていくといいですね!