2016年1月31日日曜日

里山景観マイスター養成講座(Advanceコース)第4回「伊自良大実の活用提案づくりワークショップ」


20156月から半年にわたって進めてきた里山景観マイスター養成講座(Advanceコース)の最終回を116日(土)に開催しました。年間テーマは「渋柿畑と里山を復元する~カキシブの伝統復活と新たな活用法を目ざして~」でした。
 
すこし経過をふり返ってみると、第1回(613日)は「伊自良の里山調査と摘果作業の体験」。未だ小さな渋柿の青い実の摘果作業を体験しながら、柿畑を守るため里山整備をして獣害対策をする計画について学びました。

2回(95日)は「柿渋絞りの体験と塗料としての柿渋を学ぶ」。夏に収穫する柿渋用の青い実を絞って、手作業による柿渋作りを体験しました。またアカデミー授業「木材塗装の基礎」と合同で、塗料としての柿渋の特性を学び実験も行いました。

3回(117日)は「連柿作り体験と獣害対策のための里山整備」。11月に最盛期を迎える連柿を作りの工程を体験し、同時に伊自良の里で取り組まれれている獣害対策の現状や整備予定の里山見学などをしました。


4回(最終回)は「渋柿の新しい用途を考え里山活用の未来を描く」と題して、まとめの座談会と、受講生による提案づくりワークショップを実施しました。
 
午前中。本コースの講師をお願いしてきた伊自良大実連合会は、平井集落の柿生産農家、自治会長、森林組合長、若手の集落支援員・地域おこし協力隊員で構成されています。半年間にわたって学んできた私達なりの提案を作成するに当たって、①「干し柿の販路について」、②「柿渋の用途について」、③「連柿の里の景観活用について」の3つのテーマを設定して、いろいろな疑問点や課題について対話をしながら掘り下げを行いました。



午後は上記の3テーマについてグループで提案づくりを行いました。①「干し柿の販路について」は集落委支援員の横山太一さんが、②「柿渋の用途について」は地域おこし協力隊員の金子悟さんが、③「連柿の里の景観活用について」はアカデミー教員の嵯峨がコーディネーターを務めました。
 


そして提案発表。①グループは「伊自良大実のブランド化作戦」:農水省が新設した地理的表示保護制度への認証申請を核とする現実的な戦略です。②グループは「染めてみたいもの持ち寄りDAY」と「もっと柿渋アーティスト化計画」:柿渋を塗料だけでなく染料としても展開する新しい行動計画です。③グループは「伊自良フェノロジーガイド」と「平井の案内所」:連柿だけでなく年間を通じた伊自良の暮らしの営みと魅力を外来者とソフトにつなぐ仕組みの提案です。



仕上げに、これらの提案に全員で人気投票をしました。13枚の赤○シールを持って投票。結果は、第1位「伊自良大実のブランド化作戦」、第2位「「伊自良フェノロジーガイド」、第3位「平井の案内所」、第4位「染めてみたいもの持ち寄りDAY」となりました。ここから、平井集落の新しい活動が始まりそうな気がします。


 
最後に、アドバンスコース修了者9名の皆さんに修了証をお渡しし、伊自良大実連合会の佐野敬二会長に締めくくりのご挨拶をいただきました。今年の講座が地元にとっても大いに刺激になったと講評をいただき、連合会は「これから伊自良大実に革命を起こします!」と力強く宣言されました。アカデミー教員も受講生達も大いに勇気づけられました。Advanceコースは来年度も伊自良で続きます!


 
記 講座主担当 (山村づくり講座)   嵯峨創平

2016年1月30日土曜日

来週末,今年度最後の仕事セミナーです


来週末の2/6(土)に今年度最後の「森と木の仕事セミナー」を東京で開催します。
森や木に関わる仕事への就職・転職を考えている方,本学に興味のある方におすすめです。
まだ席に空きがありますので,迷っている方はぜひぜひお早めに!

当日は本学から環境教育の専門家の萩原と木造建築の専門家の廣田の2名が講師として参加します。

萩原 ナバ 裕作(森林文化アカデミー 准教授/環境教育分野)
廣田 桂子(森林文化アカデミー 准教授/木造建築分野)


開催日時:2016年2月6日(土)13:30〜16:30
会  場:オスモカラー東京ショールーム
     (東京都新宿区西新宿1−20−2 ホウライビル11F)
     JR新宿駅から徒歩5分 
主  催:岐阜県立森林文化アカデミー
協  力:オスモカラー
参加費用:無料 
申し込み:森林文化アカデミーHP内「森と木の仕事セミナー」ページ
     にある申込みフォームからお申し込み下さい。

締切は2月5日(金)16:00まで,まだ残席有りです!

終了後には講師を囲んだ懇親会も予定しています。じっくり話がしたい人はこちらもご参加下さい(場所未定,当日受付)。

前日には,当日の講師萩原がモンベル御徒町店で「ドイツの森と人をつなぐ教育現場の視察報告会」を開催します。こちらも併せてどうぞ!

2016年1月28日木曜日

「すまくらタウン」がやってくる!

中日新聞社主催の総合住宅イベント
アカデミー・プリゼンツ「夢のまち・すまくらタウン」

県美で人気のワークショップが

「すまくら」版で初登場!


2月20−21日(土・日)に開催される、「住まいとくらしの総合フェアinGIFU」。
森林文化アカデミー・プリゼンツで本学卒業生が「すまくらタウン」を、木造住宅狙いのご家族と作り上げます。

昨年来岐阜県美術館で人気のワークショップ「夢のまち・けん美ランド」が、「すまくら」版で初登場です!
木造住宅を夢見るご家族のイベントで、一足早くスギとヒノキのお家を建ててしまいます。

架空ではありますが、2日限定の「すまくらタウン」。
県産材、木の香りや手触りを楽しみながら、
子ども主導でお家のデザイン。

詳しくは



*イメージは、昨年の「夢のまち・けん美ランド」より


2016年1月27日水曜日

2/5(金) 森と木のイブニングセミナー 「駅前山村留学~里山起業へのいざない~」


     森林文化アカデミーでは、農山村の遊休資源を活用し、地域を元気にする仕事
     を起こしたい人を応援する「里山インキュベーター」の設立を準備中です。

     専修教育の「コミュニティビジネス起業論」では、先輩起業者の実践談を聞き、
     事業計画のノウハウを学んで自らの事業プランを描いています。
     生涯教育講座「森と木のオープンカレッジ」では、「里山ビジネスカフェ」と
     いう柔らかいかたちで、里山のライフスタイル、新しい里山の見方、都市との      
     対流の仕組みなど、4回にわたって第一線の講師からヒントを学んできました。
     これまでの受講者(老若男女いろいろ)の、その後の活躍ぶりも紹介します。

        2016年度は、多様な起業を支援するプログラムを本格的に始動します!
    
     なにか新しい事を始めたい人、ここにヒントがあるかもしれませんよ!!

             〇日時: 25日(金) 19:0020:30
            〇場所: 岐阜シティ・タワー43
            〇対象: どなたでもご参加できます
            〇参加費 : 無料
             〇事前申込みは不要です。当日直接会場にお越し下さい。
            〇担当講師: 嵯峨創平(岐阜県立森林文化アカデミー教授)

            ↓詳細はチラシをごらんください。


 

2016年1月26日火曜日

ヒノキの成長を再現 ~樹幹解析~

 クリエーター科1年生の『森林調査法』の最終回は、2日間にわたり「樹幹解析」を行いました。

 
 樹幹解析とは、伐倒した樹木から円板(幹を薄く輪切りにしたもの)を採取し、その円板から年輪を読み取り、過去から現在に至る成長過程を再現するものです。 高さ別に何枚もの円板を採取すれば、幹の直径成長だけでなく、樹高成長や材積成長も再現できます。


 試料は、演習林にて自分たちで採取する予定だったのですが、あいにくの雪のため、演習林での作業ができませんでした。急遽、隣接する森林研究所から研究で使った円板セットをいただいてきて、それを教材にすることにしました。恵那市で採取した、樹高19.8mのヒノキです。

 右の写真が、その円板。全部で10枚あります。この円板を手分けして読みました。





 最初に、樹幹解析によって何を知ることができるのかを考えます。その上で、標準的な手法、応用的な手法を解説し、いよいよ読み取りの開始です。


  人工林のヒノキなので、芯からしばらくは成長の良い部分で構成されています。そこはスイスイ。ただし、偽年輪(年輪のように見えるが、ぐるりと一周しておらず、どこかで消えてしまう)には気をつけましょう。ヒノキは、これがあるからやっかいです。

 周辺部の年輪は、とても密でした。ここは大変。何度も読み直しながら、年輪を拾っていきます。この年輪が形成された時期、過密になってきて直径成長が衰えたことを想像しながら年輪を読めたでしょうか。


  全ての年輪を読み終えたところで、集計です。昔ながらの手計算(電卓は使いますよ)で、集計していきます。区分求積法によって、材積も求めました。

 樹幹解析図(通称「タケノコ」)、胸高直径・樹高・材積の成長曲線 を描き(これらも手描き)、そこから何が読み取れるのかを考えました。

 本当なら、2~3本を解析し比較したかったのですが、それが叶わなかったのは残念です。とはいえ、樹木の幹の中には過去の樹木の成長過程が詰まっていること、それを再現する手法があることは、十分に理解できたと思います。


2016年1月25日月曜日

来聴歓迎!! 課題研究公表会が行われます

平成28年2月15(月),17日(水)の日程で森林文化アカデミーの課題研究公表会が行われます(本年度は日程が連続していません!ご注意ください)。 課題研究とは、大学でいうところの卒業研究にあたるものです。森林文化アカデミーでは、課題研究公表会を本学の教育内容を一般の方に知っていただく機会と捉え一般公開しており、毎年多くの方に足を運んでいただいています。既に内審査が進行しており、内審査に合格した学生は2/15, 2/17 の本番に向けて準備中です。中には既に本番に先んじて公開の場で発表した学生も!

本学ではそれぞれの学生の進路に合わせて教員と学生の間で研究テーマを話し合い、社会貢献を視野に入れた実践的なテーマから基礎科学まで様々な課題研究が行われています。研究内容も、森林を様々な観点から利用・保全するという共通のテーマのもと、林業や、それを支える中山間地の地域活性化、環境教育、木造建築、ものづくり・木工などアカデミーでの学びを反映して、多岐にわたっています。

一例をあげると、クリエーター科からは「人工林資産価値評価と収支シミュレーションに関する提言」「より時代にあった安心できる木造住宅の耐震設計に向けての提言」「修理・リメイク提案から古家具の活用可能性を探る」「わらび粉生産の復活による地域活性化の可能性を探る」、など。

エンジニア科からは「「締固めて安全な作業道づくり」「天然乾燥の品質管理」「アベマキ林の生長量について」「森林空間の利用プチ木こりツアー」「荘川町の地域活性化について」などです。魅力的な発表が目白押しですよ。(※タイトルは現時点のものであり本番で変更になる可能性もあります)





森林文化アカデミー受験を検討している方には、入学後にどのような取り組みができるのか、将来の学びを描くためにも絶好の機会です。入学を迷っている方はぜひお越しください。そしてアカデミーを体感しその目で確かめてください。もちろん森林文化アカデミーに興味のある一般の方も大歓迎です。

皆さんのご来場を心からお待ちしています。

2016年1月24日日曜日

岐阜大学でエンジニア科の学生が研究発表しました

岐阜県域農林業教育システム研究発表交流会が岐阜大学でありました。

これは岐阜県下の農林高校、農業大学校、森林文化アカデミーなど農林業の教育に関わる学校が集まり、発表会を行うものです。


アカデミーからは、エンジニア科2年生の仙田くん、松本さんが発表しました。

仙田くんは

「林業架線の架設における能力向上の取り組み(入門編)」と題して、

経験値が必要な林業架線の架設作業の理解度を
簡易な仕組みを使って向上させる方法について発表しました。



松本さんは

「アベマキの乾燥スケジュールの確立」と題して、

狂いやすいアベマキをどのようにスケジューリングしたら、
含水率を目標の値まで落とせるかについて発表しました。




どちらも事前の練習成果があり、
発表時間3分で上手に説明することができました。
質問にもしっかり答えていました。


全体で60ものポスター発表があり、会場は賑わっていました。


二人とも発表お疲れ様でした。

2016年1月22日金曜日

今年度最後,森と木の仕事セミナー(東京会場)のお知らせ


先日もお知らせしましたが,今年度最後の「森と木の仕事セミナー」を以下の日程で開催します。

開催日時:2016年2月6日(土)13:30〜16:30
会  場:オスモカラー東京ショールーム
     (東京都新宿区西新宿1−20−2 ホウライビル11F)
     JR新宿駅から徒歩5分 
主  催:岐阜県立森林文化アカデミー
協  力:オスモカラー
参加費用:無料 
申し込み:森林文化アカデミーHP内「森と木の仕事セミナー」ページ
     にある申込みフォームからお申し込み下さい。

締切は2月5日(金)16:00までです。

当日は本学から萩原と廣田の2名が講師として参加します。

萩原 ナバ 裕作(森林文化アカデミー 准教授/環境教育分野)
廣田 桂子(森林文化アカデミー 准教授/木造建築分野)

まだ席に空きがありますので,迷っている方はぜひぜひお早めに!

終了後には講師を囲んだ懇親会も予定しています。じっくり話がしたい人はこちらもご参加下さい(場所未定,当日受付)。

前日には,当日の講師萩原がモンベル御徒町店で「ドイツの森と人をつなぐ教育現場の視察報告会」を開催します。こちらも併せてどうぞ!

2016年1月21日木曜日

射手と連携し、狩猟に挑む!

フィールドサインを見逃さず、勢子をまっとうせよ


 みなさん、JIRIです。今日は郡上市大和町に行き、猪鹿庁興膳さんの指導の下、ニホン
ジカとイノシシの狩猟を目指して山に入りました。

 最初に興膳さんから、本日の現場について地図で、地形的要因や危険箇所の説明を受けます。
 

 次に、スマートフォンなどに待ち合わせの達人をインストールする。

 古い機種ではインストールできませんが、これはGPSを利用してメンバーがどこにいるのか
一目瞭然に分かるのです。


 仲間同士、つまり射手勢子がそれぞれ明記され、現場ではGPSを利用して位置図が示
されるため、勢子がどこまで追うべきかも簡単に把握できます。

 これと無線があれば、言うこと無し。


 さて、現場に配置するため、今回のメンバーが集結。
 猪鹿庁の興膳さん、安田さん、安藤さん、そしてベテラン猟師の坪井さんの射手4名
で、それぞれの配置、勢子の順路を最終ミーティング。

 昨日の朝の大雪のあと、今朝まで晴れが続き、足跡が分かりやすい。シカは今朝は相当活発
に動いている。だから、このコースを通るはず。
 これまでの経験から、シカやイノシシがどこを通って行くのか。そのために勢子はどこを追うべき
なのかを決めます。

 私たち「勢子部隊」は、雪のついた傾斜35~40度の急な斜面を登って、尾根筋を一心不乱に
北東方向に進みます。


 尾根を登って、斜面傾斜が少し緩くなると、シカの足跡が・・・

   私たちが進む方向に、シカが移動しています。 確実に狩猟できる。そう確信して、大声を
出しながら山を進みました。


 歩く途中では、シカが尾根の左右を行き来しながら歩いていました。

 尾根筋のヒノキの実生個体はシカに葉を食べられ、枝だけになっていました。ここでは
ヒノキの天然更新は絶望的です。

 35~40年生と思われるヒノキの幹も、シカが樹皮(内皮)を食害しており、根元から地上約1.5m
ほどまでが、用材利用できない状態になっていました。


 尾根筋のタカノツメやソヨゴはオスジカの角研ぎの影響で、傷だらけになっていました。


 そんな中、カシノナガキクイムシの影響で枯損した「ナラ枯れ木」からナメコが出
ていました。他のコナラからはヒラタケも出ていました。

 ナメコやエノキタケ、ヒラタケは雪の中でも発生しますので、皆さんも探してみて下さい。


 さて、約2時間ほど勢子を努めて、全員集合。

 射手が見事シカを射止めてくれていると思って下山しましたが、シカたちは射手と射手の間を
うまくすり抜けて、逃げられてしまいました。

 興膳さんは2頭のシカを目撃したそうです。


 そして、最後に、次回に備えて、再度反省を兼ねたミーティングです。 このミーティングが重要。

 今回はどうしてダメだったのか。次はどこで待てばよいのか。 GPSの位置図を確認し合い
ながら、どうすれば狩猟できるのかを検証します。

 射手は斜面の下に向けて撃ってはいけない。視野も狭くなるに、危険度
も高くなる。

 待ち受け場所では、斜面の上に向けて撃つような位置の方が視野も
広くなり、空側に弾が飛ぶため危険度も低くなる。 そうした反省も併せて終了しました。
猪鹿庁のみなさん、坪井さん、お世話になりました。罠の狩猟免許を取得した学生も、来年は
鉄砲の狩猟免許を取得しようと、再度決心して現場を後にしたのです。

以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。

2016年1月20日水曜日

ドイツの現状を把握せよ!

教員の教員による教員のためのドイツ見聞録


 本年度、岐阜県立森林文化アカデミーの教員4名がドイツなどに調査に出かけてきました。
今回はドイツを中心に先生方の知見を教員全体で共有しました。

 最初は9月に鹿児島大学や岩手大学の人たちと視察に出かけた杉本先生の報告。
 ドイツのBW州は森林面積が140万ha、森林蓄積4.71億m3、素材生産量850万m3、それに対し
岐阜県は森林面積約半分の86万ha、森林蓄積1.67億m3、素材生産量36万m3と、蓄積生産とも
低い。


 ロッテンブルク大学の林業技術関係は募集100人に対し、400人の応募がある。ドイツでは1000ha
に1人くらいの割合でフォレスターがいるため、市町村のフォレスター、民間のフォレスター希望者
が多い。

 授業の中には、有名なデュアルシクテムを組んでいる。


 木質バイオマスに関しては、排気の問題にも取り組んでおり、ペレットストーブや薪ストーブなど
の煙に含まれるPM2.5なども測定して性能評価している。
 
 この部屋の横は、イノシシの解体場になっており、実際に学生が実習する。


 他に、ケーヒニスブロン研修所も訪問し、現場で働きながら学校に通う事例(デュアルシクテム)
なども見てきた。

 ドイツでは当たり前なのだが「経済ベースで成り立っている林業」を学べる。
人と森との距離感が近いことを実感した。


 続いて、2番手はナバさん。
全部で22ヶ所も訪問してきたため、今回はごく一部を紹介。

 まず最初に、「ロッテンブルク大学の卒業生の職場」について

 ロッテンブルク大学卒業後、「青少年 森りの家」という施設で働くパターンがあった。ここは、
13人のスタッフが働き、3~12日間のプログラムが提供され、80人の宿泊が可能な施設。年間の
利用者数が多く、運営も軌道に乗っている。


 BW州の森林法には「フォレスターは森林の管理だけでなく、環境教育もするよう」記されており
実際にフォレスターにもお会いした。

 別の施設では、グリーンウッドワークも指導していた。


 「環境学習センター」では、暮らしを考えるプログラムが主流になりつつある。
「森の総合教育センター」では、環境教育の指導者向けプログラムも実施しており、訪問時にも
実際のフォレスターも混じって研修を受けていた。


 3番手の辻先生
発表は木造建築士らしく、体系だった説明。


 11月の日程や訪問先の紹介から始まり、州有林、バイオマス、森づくり、素材生産、エコタウン
など他分野について説明。

 製材所は、在庫は少なく。でも年間36万m3も製材(これって岐阜県の素材流通量?)。原木納材
から製品出荷まで、通常は1~2週間、最短で2日。

 トレーサビリティもしっかりしている。原木の選別機が3Dスキャナになっていて、瞬時に選別。
効率化の鍵は「山元と製材工場との余計な手間を省く信頼関係の構築」だそうです。


 他にもWeber Haus社、ここは年間800棟のプレハブ住宅(パネル工法)を建設する建築会社で、
ドイツではこの規模の会社が最大級クラス。
 施工から竣工までの速さと簡便性が売り。例えば、施主が一泊二日の合宿で設計の最後までを
完了させる。
 ドイツトウヒのパネル工法で焼く45坪の住宅が、3000万円程度で、30年保証がある。

 パッシブハウスの見学では、その住人の女性がエネルギーについて非常に詳しく、住人の
意識の違いを感じた。

 ドイツでは「仕事一辺倒ではない豊かさ」を感じた。そうです。



 4人目は久津輪先生
冒頭から、ロッテンブルク大学の学長の凄さを紹介。


 ロッテンブルク林業大学は1954年開校の300人程度の学校からスタートした。カイザー学長就任
の時の課題は「2002年には学校閉校」の命を受けて学長に就いた。

 本来は水利関係がご専門だが、「林業と木材加工における起業家精神とマネージメント ビジ
ネス経済学と管理プロセスの原則」という書籍も出している。

  このカイザー学長のマネージメント力の高さがスゴイ。なんと、2012年には1100人の大学で、
修士や博士も輩出できる大学に生まれ変わった。
 林業だけでは女子学生が入らないと感じるや、女子学生誘致のための環境教育を設立し、
学生確保に努めた。

 研究施設が足らなくなれば、民間から寄付を募り、5億8000万円を集めて建築した。


 他にもシカ避けの TUBEX社の製品やチェンソーウエアのPSSなどでも新しい知見を得た。

 木製のおもちゃとして、動物を作っている会社もあり、社員200人が製品を作成していた。
こうした木製おもちゃの一部は、シュタイナー教育でも利用されている。

 販売はSNSを活用した宣伝と、教育活動と連携することが重要。

さて、森林文化アカデミーの教員は日々刺激し合い、日々勉強する中で前進しています。
最新の情報、技術、考え方を学生さんに提供できるようにしていますので、是非、みなさん
森林文化アカデミーにお越し下さい。

以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。

2016年1月19日火曜日

木工を始めてまだ半年のものづくり講座1年生が大きなテーブルを完成させました!

ものづくり講座1年生は11月からテーブル制作の授業が始まります。大きさだけでいうと、アカデミーの課題として作るものとしては一番大きな制作物となります。

この授業では、これまでやってきた基本的な木取り作業の確認をしながら、新しいこととして、天板の矧ぎ、ほぞ加工とほぞ組、反り止めの構造などを学びます。そして大きいもの、脚ものになるとより適材適所をしっかり 考えたうえで材料を選ばなければいけませんので、材料選びも時間をかけます。

ここ数年は針葉樹家具をテーマにしていたところもあり、ヒノキをつかったテーブルが多かったのですが、昨年は針広混合でヒノキのテーブルの天板の中央は広葉樹を合わせたものを作り、学長室に納品しました。過去のものは以下のリンクから見ることができます。

http://gifuforestac.blogspot.jp/search?q=%E3%83%86%E3%83%BC%E3%83%96%E3%83%AB

今年は、オール広葉樹で作ることにしました。この選択も非常に悩み、アカデミー材料庫内で長い時間考え込むことに。最終的には脚部は、カバ、天板は、ナラとトチの組み合わせ、ブナと桜の組み合わせの2パターンを制作することに。


それから木取り作業を行い、加工に入っていきます。



加工の中では、ほぞ加工は初めてで、角のみ盤の操作法を一から学びます。


少しずつ出来上がっていく部材でも、学生らはびくびくしながら作業を進めます。なかにはもちろん失敗も多くありますが、それも学びの要素です。





少し時間はかかってしまいましたが、塗装も終わり、なんとかテーブル2台が完成しました。光の反射で少し見にくいですが、長さ2メートルの大きなテーブルです。





制作者も一安心^^


今回は材料の制約もありましたが、逆に蝶契の実演も行いました。


 これらのテーブルは副学長室の会議用テーブルとして使われます。無事副学長室に収めることができました。