2015年7月31日金曜日

あの WOOD JOB のロケ地で森林管理を学ぶ

三浦林商さんで学ぶ業界のPR方法と商品販売


 みなさん、JIRIです。
 今回、クリエーター科林業再生講座では、三重県の林業先進地に学ぼうと、3ヶ所を訪問しま
したので報告します。
 まず最初は、映画WOOD JOB の撮影にも全面協力された林業家の一人、三浦妃己郎さんが
代表を務める三浦林商(http://www.miurarinsho.com/)です。

 ここからは学生を代表して、松葉さんのレポートです。

 今回は、国内の先進林業事例の授業で、三重県津市美杉町の三浦林商様を見学させて
頂きました。

 三浦林商さんは、昨年公開された映画「WOOD JOB」撮影に深くかかわっていたとの
ことで、映画にも出てきた風景を拝見しながらの見学となりました。

 


 まずは、道の駅美杉にて販売している材を拝見しました。こちらで販売している板材や半割
の丸太などは、やすりできれいに磨かれています。

 製材しただけの材と比較し、材がとてもきれいで肌触りが良く、売れ行きも好調とのことで
した。一般の方々が欲しいと思うような状態にしてから販売することが重要だとのお話は、
非常にためになるお話でした。

 



 その後、三浦林商さんが管理されっている山を見学しました。
 三浦林商さんでは、木をより高く売るために様々な取り組みを行っています。

 その中の一つが、新月伐りです。伐採好期表にしたがって、新月、伐り旬の材の状態が
最もいいタイミングで伐採します。
 
 

 
 さらに、枝葉がついた状態で杉は2ヶ月から最長2年、ヒノキは2ヶ月程度林内に樹皮を
剥いて放置する“葉枯らし乾燥”を行います。

 この葉枯らしをすることによって、材の重さは1/2程度軽くなるため、集材作業にかかる労力
や集材機にかかる負荷は低下するとのことです。

 また、この葉枯らし乾燥のメリットとして、木材を林内で乾燥させることで乾燥機を使わない
ため化石燃料が不要になることや木材の色合いが綺麗になることがあります。

 さらに、伐った木11本に、伐採年月、伐採場所を記録することで、いつ、どこの山から伐った
材であるかを管理されていました。

 


 伐った木は、自社の製材工場で製材したのちに、天然乾燥させることによって木の付加価値
を最大限に高めます。このような取り組みをすることで取り扱う材をプレミアム化し、販売価格
は一般的な材の1,5倍以上になるとのことです。

 林内を歩き回り汗だくの私たちに、三浦社長さんからスギ茶をごちそうになりました。これは、
スギの良さを嗅覚、視覚、触感だけでなく味覚でも伝えていきたいと考え開発されたとのことです。

 麦茶のようにあっさりした味で、ほのかに杉の香りがする今までに味わったことのないお茶で
した。
 作り方までご伝授いただきましたので、アカデミーの演習林にあるスギを使って試してみたいと
思います!

 
 


 既存の考えに囚われず新たな林業を開拓していく三浦林商さんの取り組みに、林業の可能性
を学生一同で感じさせて頂きました。

 “伐らずに稼げる林業を目指していきたい。 林業はエンターティメントであるべきだ
とお話されていました。日本は世界的に見ると素晴らしい森林の宝庫であり、アピールの仕方
さえ考えていけばこれから素晴らしい産業に林業はなるとのお話なさっていたのが大変印象的
でした。

 最後になりましたが、お忙しい中丁寧にご案内していただいた三浦様誠にありがとうござい
ました。
                                       レポート代表 松葉壮平

以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。

 

2015年7月28日火曜日

山県市で実習、幻の「桑の木豆」とは?


山村づくり講座の専門科目「地域生活実習」では、山県市で幻の伝統野菜といわれている「桑の木豆」栽培の見学と管理のお手伝いをしてきました。

案内をしてくださったのは、現在山県市高富地区で洋食レストランを経営されており、幅広い人脈を背景に地域活性活動に関わられている石神秀樹さんです。

 



山県市北部(旧美山町)では、かつて養蚕の盛んだった頃カイコの飼料用としてたくさんの桑畑がありました。その後養蚕は衰退し桑畑の多くは改植されましたが、その名残は今も各所に残っています。
 
石神さんは、料理人としての視点からも「桑の木豆」を高く評価されていて、桑畑が残っているからこそ栽培できる「桑の木豆」を地域の伝統産業としてアピールできないものかと、ご実家の農業を手伝いながら、あれこれアイデアを練り、「桑の木豆」の栽培継承と普及活動を続けておられます。
また、石神さんのお父様とおば様は、ご高齢ながら、桑の木豆栽培を継承されている数少ない現役農家なのです。この日の授業では、お二人から専門的かつ丁寧なご指導をいただきました。

 

 

 

桑の木豆の栽培方法ですが、まず初めに桑の木の根元に肥料を撒き、土と混ぜ合わせます

 

 

 

地面に直径1センチ深さ5センチほどの穴を掘り、そこに桑の木豆を2〜3粒ほど播きます。

 

 

 

上から土をかぶせ、ポンポンと軽く手で押さえて終了です。

 


 

学生仲間からは、「おまじない?」という意見も出ましたが、「ここは豆を播いてあるよ」、という作業の重複を避けるためのサインになるということ。なるほど。

 

「桑の木豆」は発芽後ツルが桑の木に巻き付いて成長するので、適度な日照環境を確保するために、桑の木の枝葉の剪定作業もおこないました。 

「桑の木豆」は、桑畑に植えた方が高品質の豆になるということ。
桑の木と桑の木豆には、不思議な共生関係があるのかもしれませんね。


午後からは、桑畑を離れて、柿野地区の畑へ。


 

午前中教えてもらった要領で豆を播き、ネットをかぶせて本日の作業は終了です。






今日は、午前中は桑畑、午後からは普通の畑で、「桑の木豆」を播いてきました。

石神さんによると、桑の木豆は、アクが強く調理しづらい豆ですが、ジャガイモみたいにホクホクした食感が好まれていて、ご当地食材としてずっと以前から栽培されいるのだそうです。

養蚕の衰退とともに、桑も需要低下、次々に地域から桑畑が消えてゆく中、桑の木、そして桑の木豆を、「地域の宝物」として栽培し続けておられる石神さんのお父様、おばさま、また、「桑の木豆アイス」や、「桑の木菓子パン」など、新商品の開発を進めている若い世代。時代のバトンを渡し続けている取組みに、感銘を受けました。



 
 
 

山村づくり1年 國枝

                                              投稿者   原島幹典
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

 

 

2015年7月26日日曜日

森林文化アカデミーのオープンキャンパス開催しました。

クリエーター科は生まれ変わります

 本日、7月26日、岐阜県立森林文化かデミーのオープンキャンパスを開催しました。
高校を卒業した人を主体とするエンジニア科、そして大学外及び社会人経験者を主体とする
クリエーター科、それを目指す夢多き若者たちが、岐阜県内はもちろん、愛知県や福島県、
東京、大阪から多数参加して下さいました。

 最初に、桂川副学長が学校の概要を説明され、続いて本日は所用で出席できなかった涌井
学長の森林空間利用や林業に対する熱いビデオメッセージを聞きました。


 涌井学長のビデオメッセージの後は、エンジニア科希望者とクリエーター科希望者に別れて、
各々話を聞きました。

 まず高等専修教育部門であるクリエーター科は、平成28年度から森林利活用分野と木材利用
分野に二分され、各々林業とか、木造建築とかに軸足を置いて、他の分野も学べる多様化した
カリキュラムに変更することを説明。
 その上で、森林利活用分野は、林業と森林環境教育・木育を主体に学ぶこと。そして、過去の
卒業生の活躍の場を紹介して、アカデミーが育成を目指す「プロフェッショナル」のイメージを
つけてもらいました。


 木材利用分野は、木造建築と木工を主体とし、新しい分野を切り開く人材育成について紹介。

 卒業生の中には、工務店を経営しているが、将来的には所有山林からの木材供給も目指す
事例や、大学で建築を学びアカデミーで家具づくりを学んだことで、住宅に造り込む家具製造に
携わる事例なども紹介。


 エンジニア科は多くの人がご父兄と一緒に参加、岐阜県内の高校生を中心に森林技術者を
目指す「金の卵」となるべく、エンジニア科長の話を聞く。

 安全第一に技術の研鑽を積む、そして充実したキャンパスライフを送る。

 エンジニア科もクリエーター科も『後継者枠』という採用枠もある。目的がしっかりしていれば、
自ずと道は開かれる。


 最後に、現在の在校生が学校紹介、学生生活紹介をして、森林文化アカデミーでの生活を
赤裸々に語る。

 父兄の方々も、在校生の真実の言葉に耳を傾け、納得されるご様子が見て伺えました。


 さて、森林文化アカデミーでは8月22日(土)にもオープンキャンパスが開催されますし、また
事前にお申し込み頂ければ、常時、エブリデイオープンキャンパス対応致します。

 森林や森林空間、木材利用、自然環境、過疎地域など、様々な悩みを抱えた皆さん、是非、
森林文化アカデミーに入学して、私たち教職員と一緒に、明るい未来を築きませんか?

以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。

2015年7月24日金曜日

地元の木(アベマキ)を使って小学校の卒業記念品をつくる



毎年ものづくり講座で行う「地域材のクラフト開発」という授業があります。これは、岐阜県内の施設などと協業でオリジナルグッズを開発し、実際に販売などを行うものです。過去には清流国体グッズや岐阜市のうかいミュージアムのミュージアムショップ、美濃加茂市のみのかも文化の森のオリジナルグッズを開発してきました。

そして今年取り組んでいるのは、美濃加茂市の山之上小学校の卒業記念品です。これは、森林文化アカデミーが美濃加茂市と可茂森林組合とで取り組んでいるプロジェクトが発端になっています。

美濃加茂市には豊かな里山風景が広がるエリアがあります。その里山林に多く自生しているのが「アベマキ」という樹です。アベマキはクヌギに近い樹種でコルク層が発達します。このコルクを利用する事例はありますが、木材としては非常に硬く、反る、ねじれるなど厄介な材で、薪や炭には適しているのですが、木工の材料としては全く利用されてきませんでした。

このアベマキが大きくなりすぎて、しかも大量にあるという現実に困っていた美濃加茂市は、チップ材として出していたのですが、なんとかいいかたちで利用できないか、ということでアカデミーに相談してきたのです。そこで、さまざまな検討をした結果、地元の小学校の学校机の天板として活用するプロジェクトを始めることになりました。

今年1月、生徒たちが見守る中、大きなアベマキの木を伐採


このプロジェクトでは、6年生が伐採、制作に関わり、翌年入学する1年生にプレゼントする流れなのですが、肝心の6年生はものとして何も残らないじゃないかということから、卒業記念品もアベマキで作りたい、という話になり、この 「地域材のクラフト開発」という授業で取り組むことになったのです。

4月から何度か市役所担当者や森林組合の方たちと協議しながら、試作品を作り、小学校の保護者からも意見を取り入れながら進めてきたのですが、7月10日に美濃加茂市役所庁舎にて、副市長や教育長、小学校の校長先生などにお集まりいただき最終プレゼンをさせていただきました。



これまで、「中学校にあがるということ」とはどういうことなのか、「地元の木で作られたものを持つということ」はどういうことなのか、いろんな角度から考え、また自身のこれまでの経験も踏まえ、学生たちはものを作り、その思いをプレゼンに込めて発表しました。






プレゼンを聞き、アイテムを手にしてくださった方みんなが、「 ものとしてどれも素晴らしく、捨てがたい」とおっしゃってくださいました。しかし、一つ選ばなければいけません。投票の結果、冒頭の写真にある「アベマキのシャープペンシル」に決まりました。



最後、日比野教育長から総評で、「使えば使うほど壊れていくものが多い中、木でできたものは使えば使うほど味が出る。これが地元の木で作られていればなおさらいい。」 というお言葉がありました。改めて木工という仕事が人々の暮らしに寄り添える尊い仕事だと感じました。

さて、今回決まった卒業記念品は、さらなるブラッシュアップを経て、量産体制に入っていきます。また追って報告したいと思います。こうご期待^^



2015年7月23日木曜日

第十五期 自力建設の地鎮祭を行いました。

今回の敷地は演習林の中、山の神の近くのエリアです。


ここに雨や雷から避難するための小屋を作ります。
6/1のコロキウムにて棟梁が決まったのち、様々な条件、要望を整理し、設計を行いついにこの日を迎えました。
図面へと落とし込んできたイメージをついに実際の建物として作り始めると思うと感慨深いものがあります。


地鎮祭には、今回の施主である学長をはじめ、客員教授である元美濃市長の石川先生、他の講座の先生/学生の皆様にご参加いただき、無事に神事を終えることができました。
アカデミーの校舎からちょっと離れた演習林の中まで来ていただいたこと、とても嬉しく思いました。ありがとうございます。


翌7/22には早速、敷地近辺の木の伐採を行いました。
この日は地鎮祭の天気とは打って変わって、あいにくの雨模様。


そんな中、作業は林業再生講座の先生/学生に実施してもらいました。



作業を実施してもらった一年生はまだ慣れていなとのことで緊張していた様子でしたが、無事に狙い通りに倒すことができました。
何だかだ言いつつも決めるあたりはさすがです。
切った後は、4mで玉切りして本日は終了。忙しい中ご協力ありがとうございました!


背の高い杉の木は一本切るだけでも、周りの雰囲気が変わりますね。
今後、数本切る予定なので、日が当たりにくかった敷地周辺にも、新たにできた隙間からの日が入るようになることが期待できます。

切った木のためにも、作って良かったと思える建物を目指していきたいと思います。

あいにくの雨が続いていますが、これからはどんどんと実作業(穴掘り~基礎打ち、製材、加工、、、)が始まっていきます。
やってみたい!と興味を持った方は是非アトリエへ!作業はいくらでもあります(笑

木造建築講座1年 瑞慶山

2015年7月22日水曜日

「里山ビジネスカフェ」第1回~ローカルビジネスをデザインしてみよう~は嵐のなか大盛況


先に予告しましたように、717日(金)夜に、美濃市蕨生地区のゲストハウス笑びを会場に、「里山ビジネスカフェ」の第1回を開催しました。

当日は台風11号が接近する中、遠方の申込者のキャンセルが出たものの、森林文化アカデミー・クリエーター科の講座を超えて学生が参加し、蕨生地区からも若者が参加するなど、25名の参加者/スタッフが集合して、ゲストスピーカーの塩見直紀さん(半農半X研究所代表・京都府綾部市)を中心に、熱気のある会になりました。

「里山ビジネスカフェ」は、里山の自然や文化の魅力を知りたい人、自然と共生しながら農山村で起業したいと考えている方に向けた入門編の講座です。2015年度は4回の開催を計画していますが、各話完結型で参加費も安価ですから、自分の興味ある話題の時を選んで気軽に参加できる生涯学習講座です。
 
 
塩見直紀さんが20年前から提唱されている「半農半X」とは、持続可能な農ある小さな暮らしをベースに、天与の才を社会に活かす生き方、暮らし方のことです。塩見さんは大学を出てサラリーマンを経験した後に綾部市へUターンし、自ら農業を実践しながら、「言葉のデザイン」を軸として個人の働き方や地域のデザインについて発信し続けてきました。
 
 
 
前半1時間は、塩見さんのスライドトークでした。塩見さんが自ら「Xフォト」と名付け、自然や暮らしの中に「X」の形を発見して写真に撮り貯めた作品を示しながら、ものの見方を変える・感性をみがくことの具体例が示されました。また「言葉のコレクション」と名付けられた、名言や気になる言葉をスライドにした写真を示しながら、地域の魅力や自分の才能に気づくヒントや勇気を与えてくれるお話もありました。
 



後半1時間は、塩見さん特製の「ワークシート」を使って、各人のアウトプットと相互のシェアを行うワークショップを進行していただきました。「自分とまちのエックスをデザインする」「自分A to Z」「地名A to Z」「個人研究所のネーミング」などのフォーマットに書き込むことで、短時間で自分のアイデアを可視化することができました。25名の多彩な「研究所」構想が披露されたのは圧巻でした。
初対面の皆さんが、驚くほど率直に心情や願望を語り合っていたことも印象的でした。



2部では、笑びの室内で会費制のBBQ懇親会も行いました(本当は屋外でやりたかったのですが)。皆で協力して会場転換を行い、アルコール&非アルコールそれぞれの飲み物を片手に、ケイちゃん・トンちゃんBBQを囲んで、第1部の熱気そのままに、あちらこちらに話の輪が出来ました。外は荒れ模様でしたが、室内はホットな情報交換の花が咲く快適な空間でした。名残を惜しみつつ22時半には懇親会を終了。ゲストの塩見さん、会場主の池上さん、遅くまでありがとうございました。
 


※翌18日に予定されていた「里道ガイド」は、雨天のため順延となりました(近日中に再予告)。

次回の里山ビジネスカフェは「"面白がる"からはじまる人の繋がり」をテーマに、またまたスベシャルなゲストをお招きして 97日(月)に開催予定です。森林文化アカデミーのブログに予告を掲載しますので、お楽しみに!
 

報告  山村づくり講座 教員 嵯峨創平

2015年7月16日木曜日

よそ者が地域を知るための技術と作法を学ぶ!

クリエーター科の前期共通科目(全講座の学生が履修可能な科目)「山里に聞く」が終了しましたので、まとめて報告します。

この授業の狙いは、ある地域について、外部者が地域の活性化や課題解決に関わろうとする時のアプローチとして、客観的事実の検証・調査や、個々の事実と社会との関係性をあきらかにする等という科学的なスタンスとは別に、自らが地域を理解し、地域住民の立場にたって物事を考え、行動することができるようになるために有効と思われるアプローチとして、「聞き書き」と「あるもの探し」というプログラムを体験し、その結果を地域の方に見てもらうことで、だれでも比較的容易に良好な関係づくりが可能であることを理解することにあります。


初めに、「山里の聞き書き」を全国で指導実践されている講師から、講義を受けます。



次に、具体的な進め方についての説明と質疑応答です。




「あるもの探し」では、あらかじめ地域の方にお断りしたうえで、ある範囲内を自由に散歩してもらいます。あるいは、地域の方に案内をしてもらうこともあります。


歩いた範囲の地図を作ります。 道路や河川等の基本地形を描いたら、あとは自由に自分たちが見つけた「あるもの」をイラストや写真を使って書き込んでゆきます。
今回のマップは、葛原地区を歩いたグループと、円原・北山地区を歩いたグループに分かれて作成しました。
これが成果物です。


 
 
 












 重要なことは、誰かにガイドしてもらうのではなく、外部者の視点で、興味をいだいたもの、場所等を見つけ出し、必ず写真を撮ることです。また、その場所をマップに記録することも大切です。





それぞれのペースで、景色を楽しみながら、時には畑で作業する方に声をかけ、庭先の様子をうかがったりします。 人に会ったら必ず挨拶をすることと、カメラを向けるときには撮影の了解を得ることは最低限の作法です。



山県市美山地区は昔から杉板生産地として有名です。今も製材工場が多く残っています。







葛原チームが見つけた「スズメ蜂の焼酎漬け」 こわっ!





撮影したデーターは、後日パソコンに取り込み、グループ内で共有し、発表用のスライドショーにまとめます。


「聞き書き」は、相手の話を録音し、できる限り忠実に文字に起こしたうえで、読みやすいように編集をし、ひとり1作品を目指しますが、前期の入門編では2~3人で話を聞き、分担して文字起こしをし、つなげて何度も読み返したうえで、印象に残った箇所を短編作品にして発表してもらいます。


    




話し手さんは、地域の方ならどなたでも良いのですが、できれば70歳以上で、地域の特色をいかしたお仕事や暮らし、趣味等をお持ちの方にお願いするようにしています。これは、昭和25年~30年ころの「燃料革命」の前後で、地域の生活形態が一変してしまうからです。70歳以上の方であれば、大概は、地産地消、半自給型の生活を経験されており、かつて持続可能であった日本人の伝統的な暮らしの経験談を聞けるからです。
この暮らしの記憶の継承は、地域社会の将来の在り方に大きな意味を有するだろう、という個人的な思いがあります。

こうして、それぞれが作った「あるもの探しマップ」と「聞き書き作品」の発表会に臨みました。





 
事前の「作品読み合わせ会」も大切です。
 
発表会は、廃校後の教室を活用して、地域で営業されている、「舟伏の里へおんせんよ~」 という農家レストランのある「北 山交流センター」をお借りしました。
 ありがたいことに、話し手さんも全員集まっていただきました。







今回の実習は、山県市の北山地区と葛原地区で行いましたが、山県市地域おこし協力隊の柴田さん、同、地域支援員の山口さんにはたいへんお世話になりました。 話し手さん選びと協力依頼の他、あるもの探しのサポートを引き受けていただいたので本当に感謝しております。







発表を終えたあと、作品を話し手さんにプレゼントします。
話し手さんのコメントもいただくのですが、皆さん照れながらも、喜んでくださいました。輝いている自分の姿が他人の鏡で映し出されるので、ちょっと不思議な感覚を抱かれるかもしれません。

発表後の交流会も楽しい会話が弾んでいました。「もう他人じゃないよね」、というムードです。



 



地域の皆様のご協力をいただき、今年も無事に発表会を終えることができました。
後期の専門科目では、学生ひとりがひとりの話し手さんに対し、本格的に聞き書きをする科目が開講されます。さらに深堀りした話が聴けることになるでしょう。楽しみにしています。

報告者  山村づくり講座 原島幹典