2013年8月2日金曜日

明宝中学校の「聞き書き」授業をサポートしています


2013年「明宝プロジェクト」は、歴史民俗資料館の「分散型展示」開発ワークショップと、明宝中学校での「聞き書き」授業サポートの2本柱ですすんでいます。

前者のさわりは以前にも書きましたので(近日中に本格的にレポートします)、今回は明宝中学校の総合学習の時間で進行中の「聞き書き」授業について報告します。もちろんアカデミーの授業とも連動していて、エンジニア科8名・クリエーター科6名の学生が学科講座を超えてプロジェクト型授業に参加しています。

昭和30年代末から当時奥明方中学校の校長先生であった金子貞二先生が、村の人々の日常に取材してまとめた『奥美濃よもやま話』という全5巻の聞き書き集があります。今回の授業は「平成版の奥美濃よもやま話を作ろう」という意気込みで、明宝振興事務所と明宝中学校との合意でスタートしました。森林文化アカデミーも「聞き書き活動は展示開発の基礎調査にもなるし、ぜひお手伝いさせてください。」とチームが動き出しました。


明宝中学校での第1回「聞き書き」授業は6月26日。対象は明宝中学2年生19人。皆ちょっと緊張気味でしたが、高校生が行なっている「森の聞き書き甲子園」の事例や、福島県奥会津の山村で中学生が作った聞き書き集『未来への伝言』の話を聞くうちに、「できるかも?」という顔つきに変わってきました。さっそく明宝地区で聞き書きに協力してくださるお年寄り6人の横顔を紹介して、中学生たちに「聞きたいこと30問」を考えてもらうグループワーク。みな熱心に取り組んでくれました。




第2回の7月10日も「聞き書き」本番に向けた準備作業を行ないました。3人1組のチーム内の役割分担を考えながら、聞き手・語り手・記録係をぐるぐる交代しながら、最初のご挨拶・聞き書きの趣旨説明・録音や撮影の許可、そして「会話の中で相手の言葉で語ってもらう」ことを重視した会話の進め方の練習をしました。もちろん大事な録音機材(ICレコーダー)の使い方も全員が習得できるまでやりました。だんだん準備が具体的になってきて、みなの期待が膨らんできました。



第3回の7月16日はいよいよ「聞き書き」本番の日です。明宝の各所から語り手の方々に中学校までお出でいただき、中学生・中学の先生方・森林文化アカデミーのサポートチームと多目的ホールで顔合わせ。その後7つのグループに分かれて各教室で約40分の聞き書きを行ないました。最初は事前に考えてきた質問リストに沿って質問していた中学生達は、やがて語り手さんのお話に引き込まれ、終わり頃には雑談や笑顔も出るようになって、予想外のお話も展開したようです。これが「聞き書き」の醍醐味ですね。




アカデミーの学生達は、中学生チームの後見人として録音・写真撮影に失敗のないようサポート。山村づくり講座の1年生4名は「聞き書き」実践チームとして参加させていただきました。



さてこの後は、録音データを文字起こしする作業が待っています。30数分を3人で分担してのテープ起こし、慣れた人にはなんでもない作業かもしれませんが、そんな長い文章を書き起こすのは初めての中学生もいます。約3週間後の第4回に、中学生達のがんばりの成果が集まるのを楽しみにしています。(続きは次回の報告で)


報告 山村づくり講座教員 嵯峨創平