2013年12月17日火曜日

木造建築の新しいかたち(その37) これはやってはいけません

 この「木造建築の新しいかたち」シリーズでは、どちらかというと前向きな情報を皆さんに提供しています。しかし、今回はちょっと後ろ向きの内容になってしまいました。

 木造軸組構法では継手や仕口など木材の接合部には接合金物(補強金物)を用いることが多いのですが、前提条件をちゃんと守る必要があります。換言しますと、やってはいけないことがたくさんあります。

 先日ぶらぶらしていたところ、ある物件をチラ見させて戴きました。そのときに、「これはやってはいけない!!」という箇所がありました。
 その建物を批判するという意味合いよりも、後輩たちのために、学生たちのためにあえて御紹介します。ディテールだけですが・・・。


【これはやってはいけない1】
 木材には背割りというものが入っている場合があります。この背割りの部分と、羽子板ボルトのボルト部分の位置が完全に一致しています。羽子板ボルトは柱頭が引き抜かれるのを防止する役目があります。これでは、羽子板ボルトの効果が非常に悪い状態です。これはやってはいけません。

羽子板ボルトの柱留め付け部分が、背割りに一致しています

 【これはやってはいけない2】
 水平構面を構成する要素のひとつに「火打ち梁」があります。この「火打ち梁」は梁桁材の隅角部に設置して、トラスを構成し、水平構面の剛性を高めます。しかし、この「火打ち梁」の設置部分と、桁材の継手(写真では追掛大栓継ぎ)部分が完全に干渉しあっています。一般的に木材の継手はピン接合としてモデル化します。従って、「火打ち梁」と梁桁材の継手が干渉していると水平構面を構成しているトラスが不安定構造となってしまいます。不安定構造は建築ではNGです。これはやってはいけません。

「火打ち梁」と桁材の継手部分が完全に干渉しあっています

 フォローするわけではありませんが、ちなみにこの建物は平屋であり、非常に軽い建物です。
羽子板ボルトの部分も耐力壁が設置されている柱にとりついているわけではないですので、柱に引抜力が生じないと想定している箇所になります。写真の箇所については法的には柱頭柱脚接合部の耐力チェックが不要な箇所です。

 また、火打ち梁の件では、この建物は4号建築(簡単に言えば、小規模建築)に該当しますので、そもそも法的には水平構面の剛性チェックが不要な建物です。
つまり、法的にはOKな建物なのです。

 しかし、前述した様に構造技術的にはNGの建物ですので、反面教師として皆さんの頭の中にわずかでもいいので御記憶下さい。


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