2011年8月31日水曜日

「岐阜県高等学校新任教員研修」の一環で体験学習を実施

岐阜県の高等学校新任教員を対象とした「初任者研修」の一環で体験学習を実施しました。

今回の参加者は西濃・美濃・可茂地区の高等学校初任者39名、講師陣は森林文化アカデミーの山村づくり講座と言いますか、インタープリター研究会のと言いますか、要は体験学習と言えば、萩原ナバ裕作先生。そして付け足しに、川尻ジリ秀樹がお手伝い。

研修ではアイスブレイクの後、野外での自然体験を通して、
「知ることよりも感動すること」 の大切さを再認識して頂くきました。

最初にナバさんが、ウクレレ演奏しながら、「トンボのめがねは水色めがね・・・」と歌います。それに併せて歌うのですが、予想通り参加者のテンション低い

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あまりのテンションの低さから、トンボをイメージして歌に合わせて踊ります。これでほんの少し、ほぐれた? アイスブレイクしたかな?
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でも、まだまだの様子だから、こんどは全員で椅子を並べ、一つだけ少なくしてフルーツバスケットのようなゲームをします。椅子を探して座ろうとする人と、そうさせまいと他の全員が動いて空席を埋めて行きます。

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写真では感じられないでしょうが、一人で空席を狙う先生も必死でかけずり回りますが、座ることができません。座っている人たちは全員で協力して、必死に席を空けないよう移動します。

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一応、アイスブレイクが終了したので、次はジリとナバの班に分かれる、班分けです。これも単に1,2,1,2と分けてはつまらないので、ジェスチャーを入れて班分けします。

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さて、出発前に、中国とアメリカのことわざから、
聞いたことは忘れる 見たことは覚える やったことはわかる
みつけたことはできる
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続いて、自然体験活動における「た」から始まる3つの学び・・・何かな?

「た」いけん から 学ぶ
「た」がいに    学ぶ
「た」のしく    学ぶ
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さぁ、午前中は3つのアクティビティを実施するため、野外に出ましょう。
最初は「葉っぱじゃんけん」。これは野外にある大きい葉、細い葉、長い葉、毛の生えた葉、虫食いの葉などなど、様々な葉を集めて、それでじゃんけんをします。

続いて「色さがし」。一枚のカードを渡され、それに自然界から色を採ってきます。葉の緑、果実の赤、花粉の黄色、花弁の青色、岩石の茶色と、それを紙にこすりつけて転写してくるのです。

午前最後は「メッセージスティック」。これは2人一組となって、会話することなく手渡されたメッセージ課題を見つけるものです。ペアによっては非常に早く見つけ、ペアによっては非常に慎重でなかなか見つからない。

午前はここで終了。

さて午後からは「浜口式 自然観察ビンゴ」を利用して、野外に出掛けます。
これは、知識からではない、自然を見る新たな切り口を提示するゲームで、自然の仕組みの不思議、おもしろさを伝えます。

私のグループではいくつかの課題の中で、写真のような問題を出しました。
「この松ぼっくりはスラッシュ松のもので、リスやネズミがかじって中の種子を食べ  ると、エビフライのようになります。そこで問題です。さてこの松ぼっくりを形作
っている鱗片は何枚あるでしょうか?」

先生方は共同作業で鱗片を剥がし、数えます。これには125個の鱗片がありました。

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さてさて、15:30分、終了時間となりました。

講義室に戻って、最後のおさらい。参加した先生たちの感想です。
自然への気づき、感じることの大切さに気づいてくれたようです。

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まとめは、レイチェル カーソン女史のセンス・オヴ・ワンダーからの言葉。

みなさんご苦労様でした。

早速、今朝、ある高校の先生たちの上司の方から、
「いやぁ、川尻さん、昨日参加させて頂きました教員の何人かから、とても楽
しく、また今まで忘れていたものを再認識させられる研修でした。参加して
良かったです。アカデミーの先生が高校に来て指導して下さることも可能で
すか」とお電話を頂きました。

さすが、ナバさんのエンターテイメントは凄い!
そう感じた研修だったのです。          報告 川尻秀樹 

2011年8月29日月曜日

こんなん咲いてました84

気がついたらあっという間に夏が終わりかけています。前回の「こんな
ん咲いてました」は梅雨直前の投稿でしたので、いかに時間が経つのが
早いことか、実感できます(単にサボっていただけかもしれませが・・)。

日中の暑さはともかく、朝晩涼しくなって過ごしやすくなってきた今日
この頃ですが、通勤途中にかわいい花が咲いています(下写真)。ぱっ
と見はアサガオに似ていますね。もうひとつ言うと、道ばたの雑草であ
るヒルガオやコヒルガオ(8年前の「こんなん咲いてました10」で紹
介)の花にも似ています。ですが花の直径は3cmくらいしかなく、とて
もかわいらしい印象です。葉の形はスコップの刃の部分みたいでおもし
ろいですね。

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この植物は「セイヨウヒルガオ」といって、ヨーロッパ原産の帰化植物
です。戦後輸入された農作物と一緒に混入した種子が運ばれ、全国に運
ばれていって今では北は北海道から南は九州まで全国でみられるそうです。

実は私が毎朝みているこの花、7月の最初から8月の終わりの今の時期
まで実に長い期間咲いています。ツルが伸びると同時につぼみがつき続
け、ひとつの花はすぐ終わってしまいますが、株全体としてはずっと咲
き続けているのです。実はセイヨウヒルガオは自家不和合性といって、
自分の花粉が雌しべに受粉しても実ができない性質をもっています。で
すからいっぱい花が咲いているようでも、それがすべて一つの株であっ
た場合、種ができないという困った事態になってしまいます。

長期間咲き続けるのは、身近に他の株がないため、どこか遠くから昆虫
が他の株の花粉を運んでくれるのをじ~っと待ち続けているからなのか
もしれません。アスファルトの隙間から生えているたくましいセイヨウ
ヒルガオの花も、そういう目で見てみると、健気に見えてきませんか? 
こういう草も、雑草といって刈ってしまわずに、できるなら夏の間だけ
でも眺めていたいものですね。

2011年8月27日土曜日

<strong>第11回 施業プランナー養成基礎研修 開催</strong>

第11回 施業プランナー養成基礎研修 開催

8月最終金曜日、第11回目の「施業プランナー養成基礎研修」を開催しました。

今回は室内での講義と手計算、コンピュータによる「提案書」の模擬作成です。
講師は県下の各森林組合を知り尽くした技術支援室の下野技術主査。
講義の内容は概算目標、補助金算定、有効な提案書作成などです。


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最初は年間の概算目標について、そして必要な事業量(概算目標)の把握について学び、各自が提案された条件下で採算を合わせるために、どれほどの集約化面積が必要かを演習計算します。


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講義の中では補助金の算定方法、車両系か架線系か、1haあたりの搬出材積はどれほどか、標準単価はどうか。など複雑な仕組みを学びます。

提案書なのに、事業費の積算根拠や単価が不明確な事例、過去の施業データがない事例、見積もりと実績がバラバラな事例、などなどから、実際に自分で数値上の提案書を作成してみました。

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最後に「提案書」づくりが目的ではない。
「提案書」は顧客である森林所有者に納得してもらうい、集約化を進めるための「営業ツール」である。

「つくって 実践して 分析し 改めて行く」つまり、PDCAサイクルを回さなければ発展しない。・・・・大変な仕事だが、やり甲斐がある。

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本日もみなさま、ご苦労様でした。次回は2週間後だ。あと6ヶ月頑張りましょう。

報告 川尻秀樹



アカデミーにおける木質構造教育について

こんにちは。今週1週間ブログ担当の小原です。早いものでとうとう7日目の千秋楽となりました。(といいましても、今日は6日目ですが、明日は恵那市岩村町で開催される「いわむら城址薪能」を鑑賞するためにお休みを戴いておりますので、明日UP予定のものを一日早くUPしてしまいました。すみません。)
名残惜しくて、非常に長い文章のブログ(ブログに入力する前に毎回ワープロで原稿を作成しているのですが・・・枚数を数えるとA4×5枚分の原稿です。)となってしまいました。最終日ですので、本日もどうぞお付き合い下さい。

今回のお話しは、「アカデミーにおける木質構造教育」についてです。

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◆日本における現在の建築教育の問題点について

まずは私が感じている「日本における現在の建築教育の問題点」を述べたいと思います。

一つ目は、建築関連の方が森林の状況を知らないことだと思います。例えば、岐阜県では、民有人工林の年間生長量は180万m3超あります。伐採されている年間木材量100万m3程度に対して、利用している木材量は約33万m3程度です。つまり、約67万m3が森林内に斬り捨て間伐されているということです。その量は利用している木材量の約2倍もの量となっています。このようなことを知っている建築関係者はごく少数です。

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二つ目は、建築関連の方が木材の性質や取り巻く状況などを知らないことだと思います。岐阜県産木材に関して言えば、1)ヤング係数・含水率の表示された材の流通システムを平成22年にやっと始めたところですし、2)岐阜県産スギ横架材スパン表で断面欠損を理論的に扱っているが木材加工寸法(逆に言えば、断面欠損寸法)に規格がない、3)木材ストック量が少ないことを知らずに3日以内で納品するように発注する、などなど。建築関連の方がもっと木材の性質や状況などを知って欲しいと考えています。

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三つ目は、そもそも木造建築教育がなされていないことだと思います。一般的に木造建築設計の実務では、1)木造建築の構造図などが描けない、2)木拾いができない、3)木材が即納されない、4)構造計算ができない、5)チラシの様な絵(決して図面とは言えない)でプレカットをする場合が多い(岐阜県では全体の8割程度といわれています)、などが現状です。木造建築は建築の世界では注目されないことが多いです。

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まとめますと、一般的に建築系大学などでは、1)意匠・構造・環境性能・コスト・施工性などを同時に考えて設計するような実践的内容の授業は少ない、2)木造建築・木質構造・木材・森林に関する教育時間数は少ない、3)既存建物の改修に関する授業は少ない、などが現状です。このため、前述した建築設計実務や森林・木材に関する問題点などを深く知る人材が多数輩出されにくい状況となっています。

あまり問題点を書きすぎますと、一般の方々が木造建築に対する不信感が芽生えてしまうかも知れませんね。しかし、毒舌小原ですから、「毒舌」をもって毒を制したいと考えています。こういった問題点を解決していくためのひとつとして、アカデミーにおける木造建築の体系的な教育があるわけです。

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また、日常の「暮らし」のための空間が木造建築です。専門が木質構造であれ何であれ、木造建築に関わることは、住まい手の「暮らし」をプロデュースすることに携わることです。(これは、F先生の受け売りの文言です。)そして、木造建築での「暮らし」は住まい手の人生とともに未来へと続いていきます。従いまして、長期間にわたり木造建築は大いなる責任を有すると考えています。


◆アカデミーでの木質構造教育について

アカデミーでは国内で先駆けて(各関係者の方、言い過ぎだったらすみません。)、前述した問題点などを解決する人材は勿論のこと、将来新出する問題も解決できる人材を育てています。そのためには、森林・木材から木造建築までを取り巻く状況を学ぶような実践的教育も絡めた木質構造教育であるべきであると、私は考えています。

アカデミーは創立11年目ですが、このようなアカデミーで木質構造教育を受けた卒業生たちはいろいろな場で活躍し始めております。例えば、「ぎふ清流国体」で利用する施設を木造建築で構造設計しているクリエーター科卒業生(Iさん)もおります。また、アカデミーへ高卒で入学し最終学歴がアカデミーですが、実務設計数や研究論文数などが同年代(現在26歳)よりも遙かに多く、その実績などが非常に評価されて大学院の修士学生に対して木質構造を教えているエンジニア科卒業生(Mさん)などもおります。また、意匠設計などで起業していろいろな場で活躍している卒業生も多いです。

木質構造の業界では、このような木質構造教育は「岐阜モデル」と呼ばれていますし、この木質構造教育を受けた卒業生たちは通称「岐阜軍団」と呼ばれるようになってきています。岐阜県の木質構造教育が全国的にも注目を浴びていることは非常に喜ばしいことですね。「東濃桧」、「長良杉」、「飛騨牛」、「長良川」、「下呂温泉」、「白川郷」などのブランドに負けないくらい「岐阜の木質構造」ブランドも全国区になるといいなあと考えています。


◆なぜ、木質構造教育が必要なのか

私はそもそも「世界中のこどもたちを幸せにする仕事がしたい」と幼少の頃から考えておりました。こどもたちを喜ばせるために、小中学生の頃からプログラミングでゲームをつくったり、ケーキ屋さんで・・・ ~小原の話は長くなるので、中略~

学生の頃になりますが、1995年に兵庫県南部地震があり、木質構造の研究室に所属していた私が震災調査に参加する機会が与えられました。その当時21歳の私は数多くの被災している建物を見て、「自分が木質構造をやらなければ、こどもたちを幸せにすることはできない」と感じました(・・・若かったですね。)。これは、私が木質構造の研究を続けていこうと考えた大きなきっかけとなりました。

木質構造の研究を進めていくと、いろいろなことが明確になっていないことだらけであり、木材、木質構造や木造建築について間違った知識を有している方々も非常に多いことに気づきました。

正確な知識を持つことは、問題にぶつかった際に、知識を持っていない場合に比べて、より早く、より正しい、「選択」ができることに繋がると考えています。小説「ハリーポッター」(ファンタジー・アドベンチャー結構好きなのです。)や映画「寅さん」(さくらさん結構好きなのです。)でも同様な文言が出てきますネ。

それから、引用元を忘れてしまいましたが、私の好きな言葉、
“The best way to happiness is to make the most of what we have, instead of complaining about what we don’t have.”
私のつたない和訳ですが、「幸福への最善の道は足りないものを嘆くことではなく、持っているものを最大限に活用することである。」、とでも訳しましょうか。

充分な知識を持ち、その知識を最大限利用していくことは、よい「選択」を導き出すことができ、「幸せ」へと繋がっていくのです。

・・・何か違う世界へ入っていってしまいましたね。元に戻します。・・・

木質構造教育により、木質構造に関する正しい知識を有する方々が日本にたくさん増えて、その知識を最大限利用していくことで、世界中の多くのこどもたちを幸せにできるだろうと考えています。


◆さいごに

いろいろと書きたいことがまだまだあります。

1)木造建築における常時微動測定について ~最近の研究から常時微動測定でココマデ分かる木造建築の構造性能~
2)一般向け木質構造教育について ~命を守る心得~
3)実務者向け木質構造教育について ~より高度な設計を~
4)木質構造研究・構造計画・構造設計・構造計算・構造解析の現状について
5)木造建築のちょっとしたいい話 ~ハンカチを用意してから読んでください~
6)木造建築のちょっとした裏話 ~ミステリーなしでは語れない木質構造~
7)構造調査の方法について ~調査後のデータ処理が命運を分けます~
8)木質構造Q&A
9)木質構造における国際会議の動向(今年10月開催予定のフィンランドでの国際会議を小原はサボる予定です。キートス。)
10)全棟モニタリング木造建築のすすめ(建物や敷地内に、加速度計や温湿度計などモニタリング装置を組み込んだ木造建築をつくっていくべきだと考えています。最近小原はこれに力を入れています。)
11)木造建築と地盤 ~地耐力だけではなく、沈下量も考えよう~
12)地盤調査アラカルト ~各地盤調査方法の長所と短所~
13)設計事務所&工務店 自社仕様オリジナルスパン表作成のすすめ
14)接合部の構造計画と構造設計
15)水平構面の構造計画と構造設計
16)基礎の構造計画と構造設計
17)耐力壁の構造計画と構造設計
18)コハラカップについて
19)木造建築の構造改修のつぼ
20)猫と一緒に考える木質構造 ~猫をじっと見ていると木質構造が分かる!!~
などなど。

しかし残念ながら、小原はこれでブログ担当から御役御免となってしましました。また、リクエストなどのコメントを戴けましたら、小原にブログを書くチャンスが与えられます。その時に、皆さんにまたお会いできたらと考えております。

1週間という長い間、御愛読戴きまして、まことにありがとうございました。

明日以降のブログも各担当者が熱心に更新して下さいますので、どうぞ楽しみにして下さい。


末筆ながら、木質構造研究および教育に係わる者として、
東日本大震災による被災者の皆さまに心からのお見舞いと哀悼の意を表します。


今週の小原のブログは、ここまで。
I’ll be back.


2011年8月26日金曜日

木造建築病理学について(補足)

 こんにちは。今週ブログ担当の小原です。これは補足版ですので、第7回目のブログではありません。それから、写真無くてすみません。

 木造建築病理学について午前中にブログに書きました。小原レター(800名ぐらい読者がおります。)でも御案内した関係もありまして、ブログUP後にメールなどで問い合わせが多い(回答メールを送信するのがちょっとだけ面倒になってしまいました。すみません。)ので、ちょっとだけ補足致します。

 今週末、といいましても明日(8月27日(土))に、岐阜の川原町で下記のようなイベントが開催されます。主催は「住宅医ネットワーク」さん、後援は「川原町づくり会」さんです。
 基本的にはこのイベント運営にアカデミーは絡んでおりませんので、質問がありましても小原は的確な情報で答えることができません。御了承ください。


◆川原町の「町屋活生」を考える会<講義とディスカッション>
 時間:13:30~15:30
 会場:鵜飼観光待合所
 講師とテーマ:
   三澤文子氏 「木造建築病理学とは ~住宅医の必要性」
   坂崎有佑氏 「町屋の寒さを改善する方法とは ~寿命を縮める寒い家」
   河本和義氏 「町屋の耐震性をアップさせる方法とは ~大地震にどう備えるか」


◆川原町・小さな町家改修の試み展<展示>
 時間:16:00~20:00
 会場:川原町の小さな町屋内(岐阜市元浜町)
 展示内容:
   ・京都造形芸術大学通信大学院環境デザイン領域三澤スタジオの学生による改修計画・設計
   ・設計士による木造建築病理学に基づいた町家改修技術の実例


となっております。参加費などは無料のようですし、事前申し込みはいらないようです。
夏の昼下がりから夕暮れ、そして夜にかけて、
勉強しながら長良川河岸で涼しく過ごすのも一興ですね。

また、町屋にお住まいの方や御興味のある一般の方、改修に先進的な活動をしている設計士の方などが一同に介するので、きっとすばらしいディスカッションになることでしょう。改修に関するネットワークも創られることでしょう。

上記のような内容ですから、アカデミーの学生は参加必須ですね。残念ながら、小原は参加できませんので、参加した学生は明日以後にアカデミーブログに概要をUPして下さいね。
御興味をもたれた皆さんも是非御参加してみては如何でしょうか。


木造建築病理学について

こんにちは。今週1週間ブログ担当の小原です。6日目の本日もどうぞお付き合い下さい。

本日のお話しは、「木造建築病理学」についてです。昨日「木造建築病理学」に関する問い合わせがありまして、ちょうどいいタイミングでの入稿となりました。「木造建築病理学」とは、改修理論や技術を体系的に学ぶことができる授業科目です。

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◆建築病理学とは

ヨーロッパやアメリカでは、古くから歴史的建築物の補修が盛んであり、経験的、個別的にノウハウが蓄えられてきました。建築病理学の目的は、全ての建築物に生じる欠陥、不具合の技術的側面を考究すること、建築設計、施工、使用過程における重大な欠陥、不具合を診断し、予防するための情報を提供することとしています。
イギリスでは、建築病理学を用いて、1)既存建築物の劣化診断、補修設計、2)建物の担保価値の評価、3)建物の適法性評価、4)過去の修繕効果の検証、5)維持管理・補修工事の根拠提供、6)建物の用途変更時の根拠提供、7)修繕義務違反建物に関する法的措置の根拠提供などに応用的利用がなされています。このような状況の中、イギリスの25大学には、建築病理学の講座があり、教育も充実しています。

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◆木造建築病理学課程について

欧米に比べ日本では住宅の診断業務がビジネスとして十分拡大してはいませんが、今後の建物の高寿命化と性能の確保の必要性から、必要不可欠な技術体系であると考えられます。そこで英国での建築病理学とその関連資格を紹介している中島正夫先生(関東学院大学)監修のもと、2006年度に授業科目として岐阜県立森林文化アカデミーでは「木造建築病理学課程」を設置しました。これは教育機関では日本初の設置となります。この「木造建築病理学課程」において、これらの知識・技術を修得することができます。
木造建築病理学課程は、「木造建築病理学」(講義・実習、60時間)及び「木造建築病理学実習」(実習、60時間)の計120時間からなっています。この課程の開講期間は、2年間に渡る内容となっています。実物件での調査を3回以上参加し、診断レポートを作成することで実践力を身につけます。さらに、これらの講義及び実習を受講した後、中間試験及び最終試験という2回の試験があります。

2008年度から科目等履修生(一般の方などが科目単位で授業を受講できる制度です)を受け入れており、これまで37名の設計士や工務店など実務に携わる方や、建築関連の行政の方などアカデミー本科の学生ではない方も受講しています。本来はアカデミー本科の学生を増やしたいので、「科目等履修生」を積極的には宣伝してこなかった経緯があります。

今後も多分そうだと思いますので、「科目等履修生」は口コミのみでの宣伝と致しますが、科目等履修生の申し込みは、前年度の3月1日となっております。したがいまして、平成24年度4月からの木造建築病理学課程の科目等履修生に入学希望の方は入学願書、その他必要書類、入学試験料などを揃えた上で、平成24年3月1日必着で書類を御送付して戴く必要があります。

木造建築病理学課程では、以下のような授業構成となっています。1)建物の長寿命化の必要性、2)建築病理学とは、3)耐震調査の目的・内容とその手順、4)各種検査機器と使用法、5)構造的不具合の原因と対応策、6)木材の腐朽と防腐、7)現場における検査手順、8)報告書作成法、9)床・壁・屋根、その他の不具合とその対応、10)建築病理学の必要性、11)床下環境について~防蟻対策、12)温熱環境の改善と対策、13)法規・制度関連、14)室内空気質の改善と対策、15)契約依頼者との契約上の注意 などです。

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◆住宅医スクールについて

木造建築病理学を流布するため、「住宅医ネットワーク」さんが「木造建築病理学」に関する活動を同時展開しています。この組織では、木造建築病理学の内容を縮約して、実務者向けの勉強会「住宅医スクール」を開催しています。こちらも参加者が多数おり、木造建築の改修技術に関する情報に対する実務者のニーズが伺えます。これまで名古屋でのみの開講でしたが、今年度より東京でも開講されています。詳細については、HPなどでお調べになって下さい。今年度アカデミーと住宅医ネットワークさんと連携授業を実施いたしましたので、ちょっとだけ書かせて戴きました。

アカデミーで発祥した「木造建築病理学」が、日本における木造建築改修のスタンダードになる(ちょっといいすぎかな?)ことでしょう。そこまでいかなくとも、既存建物の改修に関して、体系的な教育が多くの建築系教育機関でもどんどん実施されていくようになると、新築の技術体系だけではなく日本における改修技術体系の発展に繋がることでしょう。


本日のブログは、ここまで。
To be continued.


木匠塾!!!(自力建設2011:森のインターチェンジ)

時間が経つのは早いものです。
気がつけば木匠塾に来てから7日目です。(土日は休みですが)
朝7時におき、9人で味噌汁とご飯を食べ、8時から12時まで作業です。
夕方も17時には終わるので、正直アカデミーにいるより楽かなぁ…笑
いや、その分作業に集中しております。
それでは3日目、4日目、5日目を振り返ります。

��日目(8/22)
土日は学校に戻り作業してたことは前回書きましたが、その後事件は起きました。
午前5時、中津川に向かうため起床する時間です。
各自、自邸で寝ていたため連絡を取り合う中一人返事がありません。
6時、僕の家に迎えは来ず、なんなら電話にも出ません。

i東さんが寝坊しました。

かわいそうなのでこれ以上は言いません。

あっ、ちなみに初日も寝坊してました。

で、作業は一日カンナをいじってました。
まず、「台直し」と呼ばれるカンナを直しました。
刃を研ぎます。
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一生懸命に研ぎます。
わからないながらに研ぎます。
のですがたいていは「んー」の一言で先生に持ち去られます。
それくらい難しいんです。
でも、自分なりにがんばれたんで満足です。
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で、台直しが終われば今度は「仕上げカンナ」です。
先ほどの台直しで名前どおり台を削って平らに直します。
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差し金を当てながら隙間がないかチェックします。
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あっちを削れば、こっちがダメの繰り返し。
希望の光はまったく見えません。
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その後部分的に0.5mmぐらい削ったりなんやり、んーこれもまたむずい。
で、結局先生にしあげてもらいました!!
その後作業時間いっぱい削ってました。
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みんな様になってます。
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30mmの棒がが15mmくらいの薄さに笑
その後は木匠塾のみなさんがBBQをしてくださいました!!!
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下呂で有名なけいちゃんも抜群にうまかったです。
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木匠塾の人ともいろいろ騒ぎまくりました・・・内容は言いませんが。笑
本当にありがとうございました。
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��日目(23日)
二日酔いはないものの、こころなしかみんな上の空でご飯食ってました。
そんな昨日は、墨のつけ方から始まりました。
墨付けというのは、加工する線を測りながら実際に書いていくことで、本当の墨を使ってやっていきます。
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木は反ったり曲がったりするので、芯から寸法を取るのが大事なんです。
昔ながらの「墨つぼ」と「墨さし」でやっていきます。
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森のインターチェンジにはないですが「鎌継ぎ」という仕口を練習で墨付けしてみました。
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「腰掛蟻継ぎ」と「柱のほぞ」も書いてみました。
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差し金の使い方も同時に教わりました。
差し金の幅が15mmで、目盛り見なくても取れるから基本寸法としてよく使われるそうです。
実際に僕たちも木匠塾の皆さんに教わりながら、本番の材に墨付けをしました。
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こんな感じでこの日は終了ー
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ちなみに8/23うららが23才になったので、ささやかながらみんなでお祝いしました。
おめでとー!!

めっちゃ長いブログになってすみません。

このまま最後に今日のことを・・・

7日目(24日)
やっと今日のことが書ける。
そろそろ眠いです。
「ブログと日報は溜めない!!」
明日の安全管理のときに発表したいと思います。

で、今日は墨付けの続きをやりました。
昨日までもずっと木匠塾さんが進めてくれていたので、今日で一通り終えました。(階段は除く)
実際に墨をつけていて思ったのは図面の書き方の重要性です。
「寸法の取り方」「芯のとり方」でこうも作業のスピードや間違いが出るのかと…
小さい寸法は見にくいし、どこから取っているのかを分からなくします。
図面は間違いだらけで名前を呼ばれるとびくっとします。笑
で、結局加工場でパソコンをいじる姿。
いつもの後ろ斜め45度イトケーバージョン。
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実際に自分で差し金を持ったから分かったことですが、建てることを考えた図面を書かないといけないということが身にしみました。
それでもみんなのおかげで墨付けが終わりいよいよチェックです。
塾長の目が光ります。
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やはりまちがいはいっぱいありますね
でも精鋭部隊が直してくれました。
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最後には少し加工もし始めてました。
なかなか順調やと思われます。
そして、放課後は塾長に近くのカキ氷屋を教えてもらい、そこのおばちゃんからもいろんな話を聞けて楽しい時間でした。

明日は先輩らが来てくれる模様です。

長々とお疲れ様でした。
おやすみなさい。

記:堤(木造建築講座1年)

木匠塾さんのブログもみてください。
http://mokushojuk.exblog.jp/

チェンソー目立ての成果は!?

ちらほら集中講義の授業が入りだしたアカデミー。でも多くの学生はまだ夏休みです。
そんな中,チェンソーの目立てに精を出している学生がいました。



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エンジニア科の2年生の森くんです。
チェンソーをテーマにした課題研究に取り組んでいます。

テーマは「チェンソーの目立て角度の違いによる切削速度や振動の変化」です。
なんとも難しそうなテーマですが,暑い中,頑張って目立ての角度を揃えていました。



今日は,目立てしたチェンソーを使って試験をしました。
エンジン回転計とビデオカメラを元に,エンジン負荷や切削速度を計測します。
今回はプレ試験ということで,本試験に向けていろいろ課題も見つかったようです。




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課題研究を通して,目立ての腕を磨くことを目標にしている森くん。
残暑に負けず,頑張ってください!

2011年8月25日木曜日

短期技術研修「住まいの温熱性能と健康」が開催されました

昨日、森林文化アカデミーにて建築実務者を対象に
「住まいの温熱性能と健康」というテーマで短期技術研修が開催されました。

現在、注目を集めているエネルギー問題とも関連する温熱性能(暖冷房エネルギー)ですが
住まいとしてみた場合、居住者への健康というキーワー ドも大事な要素です。

温熱性能とは・・・・・・ヒートショックの軽減や、暖冷房エネルギーの軽減
            室内温度の安定性などに影響する住宅の基本性能のひとつ。
            主に冬季の断熱性能、気密性能と夏季の日射遮蔽性能で決まります。


前半は、温熱性能と健康をキーワードに、概論講義を行った後
実務で活かす事の出来る温熱性能の指標(断熱性能として熱損失係数Q値、
日射遮蔽 性能として夏季日射取得係数μ値)を例題を元に計算しました。

熱損失係数とは・・・一般的に「Q値」といわれているもので、住宅の断熱性能を数値的に表したものです。
            値が小さいほど断熱性能が高いことを表します。
            熱損失係数は、外壁や天井・床などの各部位の熱の逃げる量(熱損失量)を計算し
            各部位の熱損失量を合計したものを延床面積で割って計算します。

日射取得係数(μ値)とは・・・住宅に入る日射割合を数値的に表したものです。
                 値が大きいほど日射が住宅に入ることを表し、
                 庇や日射遮蔽物(レースのカーテンやブラインドなど)も考慮して
                 計算することができます。
                 夏に住宅に入る日射を判断するためのものです。
                 いくら高気密高断熱の住宅を建てても、夏の日射取得が多い住宅では
                 冷房費がかかってしまい省エネになりません。
                 そのため、庇やブラインドなどを利用して、夏の日射を遮る工夫をする必要があります。
                 夏期日射取得係数は、このように夏の省エネについて、判断することができます。


最後には、計算結果から導き出された値を用いて、住まいで消費するエネルギーを考えました。


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朝から夕方までの座学ばかりの短期技術研修でしたが、受講生皆さん熱心に聴いていかれました。

辻 充孝(森林文化アカデミー講師)