2014年6月30日月曜日

一般の方も参加できます! 七夕のイブニングトーク 〜岐阜と福島をつなぐ〜

きたる7月7日、七夕の夜に森林文化アカデミーにて、一般の方にもご参加頂けるトークイベントを開催致します!テーマは「岐阜と福島をつなぐ」です。 岐阜と被災地・福島をつなげる活動をしていらっしゃるNPO法人KIプロジェクト理事長の鎌倉庄司さんをお招きして、福島の子どもたちの保養活動や子どもたちの現状を中心にお話し頂き、それぞれの場所で被災地とどのように関わり、つながり続けることができるのか考える夜にしたいと思っています。

日時:2014年7月7日(月) 17時~18時半(16時45分開場)
場所:森林文化アカデミー内 アカデミーセンター学生ホール
講演:鎌倉庄司氏(KIプロジェクト理事長)
参加費:無料

NPO法人KIプロジェクト(気持ち・いっぱいプロジェクト) 
中部地区を中心としたボランティア団体。継続的なボランティアバスの企画・運営や福島周辺の子どもたちを中部地区に招き入れる「保養活動」、震災遺児や震災孤児を支援する事業、復興支援のための商品の企画・販売で、遠くからでも、誰もができる被災地を支援する活動を続けている。





なぜ森林文化アカデミーでこのようなテーマを取り上げるのかと申しますと…

森林文化アカデミーでは夏に『もりもりキャンプ』という、岐阜の子どもたちと福島の子どもたち(小学1年生から6年生まで)を対象にしたキャンプを実施しています。アカデミーとその周辺に広がる森や小川を舞台にした、5泊6日ののんびり自由なキャンプです。

これはNPO法人KIプロジェクトの「福島キッズわくわくプロジェクト」との共催企画で、今回はキャンプを前に、理事長の鎌倉庄司さんにお話を伺うことにしたのです。

また、アカデミーでは『コロキウム』という、学生教員みんなで一つのテーマについて考える面白い授業があります。そして今年のテーマは【3.11後の社会を考える】です。アカデミーで学ぶ私たちにとっても、例えば汚染された山林の問題などは直接関わってくる問題ですし、これからの社会で生きていくにあたって向き合わずにはいられない問題でしょう。

では私たちは具体的にどのように関わり、向き合っていけばいいのだろうか?

きっと多くの人が考えていることではないでしょうか。フリートークの中で関わり方・向き合い方のヒントになるような交流ができたら、と思っております。

イブニング・トークは誰でも参加大歓迎です。
ぜひ気軽にご参加ください!

(ものづくり講座1年 岸田万穂)

レタートレーができました!

さて、先日ものづくり講座1年生ので木工機械の授業が始まったという記事を書きました。

その後、試行錯誤を繰り返し、さまざまなミスも経験し、やっとレタートレーが完成しました。
(前回の記事ではレターケースと書きましたが、正確にはレタートレーです)



初めて大型木工機械を使う1年生。その分学生も教員も非常に神経を使います。木工機械の授業がある日はどっと疲れる、という学生の感想も。でも誰もが通る道。機械に対し、常に恐怖心を持ちながらうまく付き合っていくことが必要です。(慣れてくると逆に怪我をしやすくなります。)

まずは安全が最優先なのですが、この授業で学ぶポイントは、
・機械の使い方を覚える
・木工の工程を覚える
 の2点です。

その機械の使い方を覚える、という点をもう少し説明すると、0.1㎜の精度を追求できるようにする、ということも含まれています。設計図に5.0㎜という数字があれば、5.0㎜で加工する。6.3㎜であれば6.3㎜で加工する。もちろん、木工をやっていくうえで、0.1㎜の精度をびしっと毎回出す必要はないのですが、最初はしっかり狙った数値で加工できるように意識を高くもって臨む必要はあります。そのため、機械のセッティングに非常に時間をかけて進めました。最初からしっかりと求められる精度で加工を繰り返すことで、少しでも勘所をつかんでもらいたいというわけです。

  
 
工程を覚えるというところでは、木取り、加工、成形、サンディング、組み立て、塗装といった基本的な流れがあります。それぞれの工程で何を考え、作業を進めなければいけないか、その前後工程を意識した動きが求められます。ちょっとしたことでも、サンディングや組立作業に大きく影響してきます。とくに今回は、木取りの時のちょっとした逆目や昇降盤でのナイフマークなど、サンディング作業でとても苦しい思いをしました。いかに前工程できれいな加工が大事か身をもって理解できたと思います。


今回のレタートレーはデザイン、仕口などは教員和田が考えたもので、一番最初の課題としては少し難しい課題でしたが、1年生は苦労しながらも立派に作り上げました。


学校のパンフレットを入れたところ。


スタッキングもできるような設計になっています。

さて、次はポスターフレームをつくる予定です。

作業道の開設において、転圧による土の締固めがとても大事!

エンジニア科2年生の授業です。
今日のテーマは作業道の評価です。

作業道を開設したものの崩壊してしまうケースが見られますが、
丈夫な作業道をつくるためには、何が必要なのか岐阜県森林研究所の臼田研究員に
解説して頂きました。


路網の崩壊箇所は主に路面、切土法面、盛土法面
路体、排水施設の5か所です。


このうち盛土法面や路体の崩壊については、
施工時の土の締固めの有無が、崩壊の引き金となります。





土は、空気、水、土粒子から成り立っていますが、
水が多すぎると、液状になってしまい、逆に水が少なすぎると、
土粒子同士の粘着力が働かずに、ぱさぱさになってしまいます。


土には、土粒子同士の粘着力が最大限発揮され、
乾燥密度が最も高い含水比のポイントが存在し、それを「最適含水比(%)」、
そのときの乾燥密度を「最大乾燥密度(g/cm3)」と呼びます。


林道工事では、密度試験を行い締固めの評価を行いますが、
作業道では明確な基準はありません。


しかし、しっかりと締固めを行わないと、水が染み込んだり、
強度が弱い状態の路体になってしまいます。




午後は、外で締固めの試験を行いました。
80cmの深さまで穴を掘り、締固めの有無による、
路体強度の違いを調べました。


以下の3つの試験箇所を用意しました。


試験区① 「表層のみ機械による締固め」


みんなで穴を埋めていき、表層のみバックホウのクローラ部分で、
5回往復して転圧しました。


試験区② 「30cm厚で順次機械による締固め」


30cm厚でバケットで順次転圧しながら、穴を埋めていきました。
表層は、試験区①と同じくクローラで5回往復して転圧しました。

試験区③ 「30cm厚で人力による締固め」


30cm厚で人の足で順次転圧しながら、
穴を埋めていきました。


それぞれ締固めを行った後、「簡易動的コーン貫入試験」を行いました。



「簡易動的コーン貫入試験」とは、質量5kgのハンマーを50cmの高さから自由落下させ、
貫入量10cmに要する打撃回数をNd値として記録するものです。


簡易に計測でき、路体内部の強さを測定できることから、
作業道の締固め評価に適しています。


目安としては、Nd値が5以下だと締固めが不良で、
盛土の崩壊につながりかねません。


結果です。

試験区① 「表層のみ機械による締固め」


貫入深さ
h(m)
Nd
0.11 5.7
0.21 3.8
0.34 3.2
0.44 1.9
0.56 1.7
0.64 7.1


試験区② 「30cm厚で順次機械による締固め」


貫入深さ
h(m)
Nd
0.11 6.7
0.21 5.0
0.32 2.7
0.43 4.3
0.55 5.0
0.66 4.8
0.76 8.6


試験区③ 「30cm厚で人力による締固め」

貫入深さ
h(m)
Nd
0.14 2.1
0.27 1.5
0.40 2.4
0.50 3.8
0.60 3.0
0.73 3.2
0.83 8.6

という結果になりました。Nd値が5以下の箇所を締固め不良と捉えると、
やはり、表層のみの転圧では、路体内部までしっかり締固めできていない
ことが分かります。


30cm厚のバケット転圧では、ムラはあるものの、
路体の下部まで締固めができています。


一方、人力では、全体的に締固め不良のようです。
接地圧では、クローラと人の足ではあまり変わりませんが、
踏み固める面積が小さいので、ムラが出たのかもしれません。


今回分かったことは、
盛土をつくるときは、しっかり下から一定の厚さで転圧していくことが大事!
ということですね。


これで実習は終了です。
試験を通して、締固めの重要性を感じることができました。

今回の実習は、予備試験を始め、
森林研究所の臼田さん、和多田さんに大変お世話になりました。
ありがとうございました。


2014年6月26日木曜日

鵜籠用の淡竹林を整備せよ!

ハチク林の整備をお手伝い!


 エンジニア科1年生の「森づくり」実習。
 今回はNPO法人グリーンウッドワーク協会、竹部会の鬼頭さんたちが管理されている関市迫間
のハチク(淡竹)林の間伐作業をお手伝い。

 身近な里山林の問題に「放置竹林」があります。多くの場合は、その竹林を単に伐採整備するか
炭に焼くか。・・・そんな感じ。
 しかし鬼頭さんたちは、師匠の石原文雄さんの意志を継いで、竹林を整備しながら竹細工を行
う。それも鵜飼いの「鵜」を入れる籠をつくためなのです。


 最初に鬼頭さんから、ハチクとはどのような竹なのか。

 実際の仕事の内容と合わせて、詳しく説明を受け、どのサイズの、どのような竹を間引くべき
なのかを学びました。

 ハチクの名を聞くのも初めてという学生も多く、その見分け方も勉強になりました。


 最初は多くのハチクが寝ていたのですが、時間とともにみるみるきれいな淡竹林に変貌して
いきました。


 作業の休憩時間に面白い人を発見。

 左の人は家屋で用いる虫除けを腰にしており、右の人は電池式の小型虫除けをつけていまし
た。
 大型の虫除けをつけている人。・・・・ご苦労さまです。


 竹の枝部分は伐った竹の棒で叩いて取り除きます。最初はナタで落としたりしていましたが、
この竹の棒で取り払うのが、簡単かつ安全。

 彼は他の人が伐採した竹の後始末を一生懸命にしてくれました。


 最後に、竹部会の鬼頭さんから、「やはり竹林整備は人数ですね。すごくきれいになりました。」
とお褒めのお言葉を頂いて、帰路についたのです。

 以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。

2014年6月24日火曜日

森の中には不思議がいっぱい! ねっ、ナバさん?

不思議だらけの森の中、知っているつもりでも、知らいないこと。


 いっぱいあるよね。そんなこと。

 今回は岐阜県教育委員会と共同で、特別支援学校教員の『第6回初任者郊外研修(岐阜・西濃・
可茂)』を開催しました。

 場所は森林文化アカデミーの「森の情報センターと演習林」など。指導者は萩原NAVA裕作と
川尻JIRI秀樹の2人。そして県教育委員会の和田先生。


 最初に森林文化アカデミーという学校を先生方に紹介して、今後の利活用や連携について事務
的連絡事項。きっちり話してますよ。


 さて、本番の体験授業です。まずは、今日は『体験』をキーワードにして、『新しい発見』をして
もらいます。
 そこで、「見ることは○○○、聞くことは○○○、やったことは○○○、見つけたことは○○○」をグループで
考え、次に亡き小林毅さんが残した『体験学習における「た」から始まる3つの学び』を紹介。

 『楽しく学ぶ、体験から学ぶ、互いに学ぶ』、さぁ、これから実践だー!


 まずは全員の意識を高めるための指令、「サークルを指に乗せて下す」・・・これがなかなか出来ない。意思に反して、どういう訳かサークルが上に上がる。たかが16人程度のサークルなのに、
なかなか「思いと行動」が一致しない。

 どうしたら同じように行動できるか。仲間同士が何をする必要があるのか。自分たちで考えなけ
れば意味がない。一方のチームは相当時間がかかったが、だからと言って悲観的にならない。
 むしろ、達成感で大満足!  ・・・・これって何?


 さぁ、それでは演習林に出発だ! 各チームが掛け声よろしく、
     ①葉っぱじゃんけん
     ②自然の絵の具
     ③メッセージスティック


 葉っぱじゃんけんでは「小さな幸せ」を見つけた人が・・・

  そうそう、カタバミの葉は、小さなハートがつくっついているね。・・・・幸せ!なんて大喜び!


  自然の絵の具では、土や石、葉っぱ、花、なんでもつかう。JRII班は『目指せ水族館』として
様々な水生生物を描き、それぞれが彩や自分の描いたものについて説明。
 ヒトデや海藻、カレイやイルカなど、自然の色で面白い水族館を作り上げました。自然の中に
これほど多くの色が取れること、同じ緑といっても濃淡によって見方が変わること、予想した色
と違った色が取れること、などなど様々な発見がありました。


 午後からは『浜谷式フィールドビンゴ』、JIRI班は草笛鳴らしから始まり、森のエビフライ探し、
最後には国有林内に流れる毛鹿洞川を裸足で探検。

 山の水の冷たさ、裸足の感触、人それぞれに感じ取るものは違いますが、非日常の体験に
ワイワイと嬉しそうに楽しむ先生たち。誰しも童心にかえる瞬間がそこにある。


 情報センターに帰ってからは、先生方から感想発表です。
  「豊富な自然と感じていても、さらに細かく見ていけば、見ていなかったものが沢山あることに
   気づく」、「よく見ることで新しい発見がある」、「体験することの重要性を感じた」、「皆で遊べる
   休憩時間の重要性を感じた」など様々。


 さて、体験の終了にはレイチェル・カーソン女史の「The Sence of Wonder」の一文を代表の
先生が朗読して、本日の研修を終えたのです。 

 以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。   

2014年6月20日金曜日

精度を上げろ 、目指せ誤差 1 / 1000 !

至上命令、測量の精度は1/1000を目指せ


 エンジニア科1年生の「森を測る」、これまで地図の見方、シルバコンパスの使い方、そして
牛方式ポケットコンパスによる測量をしてきましたが、今回は最終仕上げとして、レーザーコンパス
を利用した林地測量に挑戦。

 対象面積は約1.2haの演習林の小班、もちろん森林内で使うレーザーコンパスだから森林フィル
ターをつけて反射板から返ってくる光を測定。


 反射板もコンパス側も水平が重要、目指すのは1/1000以上の精度。

 果たして結果は、班によっては 1/1160の高精度ですばらしい。
 しかし他は1/367、1/154、1/85。
 最後の班の結果は補助金申請上の精度も満たされていない。・・・残念!

以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。

地域調査法演習


612日クリエーター科山村づくり講座一年生は「地域調査法演習」にて、下呂市馬瀬地域を題材に地域の自然を調査する方法について学びました。
山村づくり講座OBでもある、馬瀬在住の天池さんに旧馬瀬村をご案内いただきました。
先ずは、「ホキ」(地名)の森林の植生調査です。今にも雨が降りそうな中、傾斜60度の斜面を上って行きます。調査場所は急傾斜の崩積地となっており、角礫がごろごろし、なかなか足場が落ち着きません。誰かが上で動くたびに落石がおこり、ずーっと「ラーク!ラーク!」と叫んでいました。ここは山ビルも出る所で吸われないかなど、何かと心配が多かったです。雨が降り出す直前に何とか調査終了。
さて、山ビルは・・?



かなりの急傾斜地



次は神秘的な馬瀬川の淵、くるみ淵の魚付保全林候補の林を対岸から観察しました。
くるみ淵の馬瀬川はなんと、底まで見透せ、エメラルドグリーン色に澄んでいます。
7月~8月は泳げるそうです(OB天池さん談)
川岸は渓流帯です。ここでは渓流帯の環境に適応して進化した植物がいくつかみられました。渓流帯では増水時の急流で引きちぎられそうになるので、根茎を発達させ岩場の隙間にしっかりと伸ばしてしがみつきます。サツキは葉が小さく、ケイリュウタチツボスミレは葉に光沢があります。「葉の光沢」は、水位が低い時に岩場の乾燥環境に耐え、葉から水を失わないようにする戦略と考えられています。ヤシャゼンマイの葉も光沢があります。形は細長く流線型に進化していました。これは強い流れに逆らわず、いなすための工夫です。
大変興味深いことですね。


ヤシャゼンマイ


さて、山ビルですがこんなところに・・。恐るべし山ビル。幸い、吸われてはいなかったようです。





チョロチョロと水音が聞こえてきます。扇伏地の真ん中辺り(扇央)は、山から流れてきた川が一度地中に潜って伏流するため水路で上流の水を引いています。
家々には手や野菜を洗うための「水舟」が見られます。

扇状地の末端に位置するお家では、水が湧き出ていてそれを馬瀬では「シミズ」と呼んでいます。シミズはいろんな使われ方をされています。
夏は冷たく、お茶、野菜など冷やし、お洗濯もされるそうです。
冬も凍らず、流れっ放し、川の恵みは羨ましいですね。






100年ぐらいに一度しか咲かないと言われる、ハチクの花。枯れる前に咲くそうです。
花が咲くと実がなり、種から新しい命が誕生します。すごい出会いでした。




斜面で、牛を使って除草をしていました。春に子供が生まれる、おかあさん牛たちが放牧され下草を食べるのです。体に良くないのかワラビ、ドクダミは食べ残されていました。




馬瀬西村は坂道と水音の集落で、今につながる、かつての里山の営みがありました。
山の事情も変わりサルも多くなったそうです。里で何度か見かけました。
今回は自然に関する調査法を学びました。次回は社会学的手法を中心に調査法を学ぶ予定です。

山村づくり講座1年 榊原ひとみ