2014年5月30日金曜日

品種も決め手になるシカの食害

シカが食べないスギなんてあるの? 品種にこだわれ!


 エンジニア科2年生、松原くんの課題研究(指導教員はJIRI)、今日は郡上市白鳥町の山で
ニホンジカに食害されにくいスギ品種の調査。

 この周辺に植えられたヒノキはみな丸坊主、当然、一般的なスギは盆栽のようにシカの食害に
遭っています。


 上の写真で、手前左側の品種、中央のホワイトボードのところの品種、右上の品種、これら
3品種によって、シカの嗜好性が異なります。

 食害されない品種を試しに食べてみると、みかんの皮のような香りがする。・・・そうです。
ミカン科のマツカゼソウも食べられませんよね!

 
 上の写真は「芝原」というスギ品種、スケールのあてられた7年生芝原スギに比較して、左側の
品種は全くの無害。
 
 今年はこれを課題研究で追跡するのです。
 
 以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。

E1林木育種・育苗|ヒノキ実生の発芽と草とり

先月の26日に蒔いたヒノキの種が発芽してきました(写真の手前の実生は本葉が出かかっています)。実際には,最初の発芽を2週間ほど前に確認していたのですが,その後の作業を行うためには,ある程度の数が発芽してくるまで待つ必要があります。もう大体出切ったかな?ということで,本日の作業となりました。発芽の際に保湿のために敷いていた藁を取り外し,草とりをした後で寒冷紗を設置しました。

今日の草とりは,3週間ぶりということもあり,量が多く時間もかかりました。本当は当年生以外の場所の草とりを先週のうちに済ませておきたかったのですが,学校行事と重なってしまいできなかったのです。

今年は2週間以内での草とりを心がけて,当年生苗が埋もれてしまわないように気を付けて管理していく予定ですので,En科のみなさん,がんばりましょう!

初めての林分調査

 クリエーター科の林業再生講座と山村づくり講座の合同科目『森林調査法』の1回目(2日間)がありました。

 初回のテーマは「人工林の調査」。演習林のスギ人工林を調査しました。

 始めに、森林調査の目的、調査の方法、調査器具の使い方などを2時間ほど講義。その後、演習林に移動して調査を開始。全部で12人が受講しているので、3人ずつの4班に分かれて調査しました。

 まずは、任意の形の調査枠をとり、その周囲測量。ポケットコンパスで測量のいろはを覚えながらの作業です。全員、初めてのコンパスです。三脚を上手に据えられなかったり、コンパスを逆から覗いて「的が見えない」と叫んだり(恥ずかしいけど書いちゃいました)...

 胸高直径を測定し、どの木の樹高を測るかを決めて、樹高を測定し、1日目を終えました。





 2日目は、調査結果のとりまとめです。エクセルで処理すれば簡単ですが、何をやっているかを確認しながら作業を進めるため、あえて紙の帳票と手計算で行います。

 出てきた数字の意味するところを確認しながらの作業です。

   幹材積とは何か、

   材積表の使い方、

   上層平均樹高を計算する意味、

   それから読み取れる地位級とは、

   ha当たりの数値を計算する意味、

   収量比数の意味と読み取り方、

   相対幹距比の考え方と計算方法、

どれをとっても初めてのことばかり。しかし、ただ言葉で聞くよりは現物を自分で測定した結果から見ていくので、きっと理解は進んでいるはずです(だと思いたい)。

 ついでに、細り表を使ってバーチャルの採材をして、原木の材積を計算して、最近の市場価格から、測定した立木が原木でいくらになるのかを算出してみました。各自、その結果をどう思ったでしょうか。

 この授業での人工林の調査はこれだけですが、実習を通じて人工林を見るべきポイントが少しはわかったでしょうか。


   by 横井秀一


世界中からお客さんが来ています。「115番目の客人」   〜ミニ・ビジターセンター参加完成型展示から〜 

昨日、校舎から駐車場に出たところで
スズメくらいの大きさの影が、足元でコロコロ コロコロ 
何かと思ってよく見ると…


この鳥「トウネン」です。
夏はシベリヤやアラスカで繁殖し、冬は東南アジアやオーストラリア、ニュージラーンドで越冬する旅鳥です。つまり手のひらに乗るほどの小さな身体で、地球の縦を毎年一往復してるんです!すごいですよね。その途中、春と秋に日本に寄ってくれるんです。

2006年から学内で見られる野鳥をのんびり記録していたんですが、よくいる鳥でありながらアカデミー内で見るのは今年が初めて!これで115種類目です。アカデミーの敷地内で115種類もの野鳥が見られるのをご存知でしたか?


そしてアカデミーで見られる鳥の顔ぶれも季節毎に変化しています。

そこで、初夏になると日本にやってくる「夏鳥」と、初夏から鳴き始める「セミ」の確認情報を集めるための参加完成型の展示を廊下に作りました。

今年は、例年よりも1〜2週間早くやって来ているような感じボードはどんどん記録で埋まっていき、ホトトギスの清々しいさえずりが響き渡る今、主な夏鳥の殆どが揃ったかんじです。


アカデミーは、人間のお客さんはもちろん、生きものたちのお客さんも毎年世界中からやってきます。「ヒトにも 生きものにも 開かれたがっこう」それが森林文化アカデミーなんです。

さてさてお次は夏ゼミ。一番最初に鳴くのは何ゼミでしょうか。みなさんよ〜く聞いててくださいね。

と思いながら、ボードを改めて眺めていると、不思議なことを発見!

ひとつだけ書いた覚えも、見た覚えもない鳥の名前と確認日時が赤字で書かれているではありませんか。。これは、迷鳥でしょうか。外来種でしょうか。。。それとも。。。。。



自然体験活動指導者
インタープリター養成コース
なんちゃって先生
萩原ナバ裕作













安全のための実践チェンソーワークトレーニング(京都林大の事例より)

入学初期からチェンソー操作の実践を学ぶ


 本日はスチールの森京都で実施された京都林大のチェンソーワーク指導を見学させて頂き
ました。

 京都林大の長井先生に電話お聞きして、現場に向かうと山の中で動くオレンジの集団を発見。
全員が揃ったウェアで活動しているため、格好良く、遠くからでも目立つ、しかも耐切創のウェア
やっぱりウェアは揃ってこそ」、と感心する。



 ヒノキの林の中では、長野林大の長井先生を中心に清水先生や上萩先生など、4人の教員と
スチール社の旭さんが4グループを指導中。

 スチール社の旭さんを中心に、チェンソーの基本操作をおさらいしながら、
  1.丸太の垂直合わせ切り、 2.水平合わせ切り、 3.斜め切り、 4.受け口造り
などを黙々とこなす。学生の上達ぶりは目を見張るものがある。

 旭さんが手本を見せるためイヤーマフをセットすると、学生が一斉にイヤーマフをセットし、
マスクをおろす。何とも気持ちよい。


 合わせ切りを練習したら、円盤を薄く切る協議会を開催。学生も白熱し、見ていて楽しい。
薄さを競う中では、限りなく薄くしようと頑張る途中で円盤が無くなってしま学生も発生。


 各4グループとも、前の人が終えたらすぐに次の人が実践。
チェンソーのエンジンを掛けたら構え、チェンブレーキ解除、鋸断、チェーンブレーキ、確認
 この動作を常に繰り返す。
 
 

 ベルトで固定した丸太に受け口を作り終わったら、それぞれの切り口を皆で確認。

何が良くて、何が悪いのか、どうしたら良くなるのか。


 最後はチェンソーのクリーンナップ。自分用のSTHIL201または241を丁寧にお掃除です。

 
 京都林大はスチール社との協定の中で、こうしたチェンソー操作の指導もスチール社から指導を
受ける時間と、教員が指導する時間があり、大変多くの時間をチェンソーに割いているような雰囲
気を感じました。
 
 京都林大ではチェンソーの実習や刈払い機の実習、伐採造材、測量の実習を1年生前期に集中
させて1年生の夏にはインターンシップに行く、2年生なれば9~10月の2ヶ月間のインターン
シッに行く。
 
 これは見習うべき! と感じて帰路についたのです。
 
 朝6時台にアカデミーを出発し、渋滞に巻き込まれ、京都林大の現場で一にお世話になり、空腹
をこらえてアカデミーに到着したのは20時過ぎ。今回も収穫ある見学だったと一緒に行った杉本
先生と話をして帰宅したのです。
 
 以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。

「箸を噛まなくなりました!」~木育指導者セミナー2      木育概論と園でつかうマイ箸づくり 募集開始!


                      「箸を噛まなくなりました!」


前年度開催した、木育指導者研修「食の道具づくり」を受講して頂き、無謀?にも年中児に箸づくりを実践した保育士さん。1月に園を訪問した折に、頂いた言葉にビックリしました。それが口コミでひろがり研修開催のキッカケとなりました。

木の箸を使いたくても、子どもたちが先を噛んでしまい、ボロボロになり、結局またプラスチックの箸に逆戻りになってしまう園が多々あるようです。
自分で作ることが出来れば、なおすことができます。そんな・・・
モノを大切にする循環、「もったいない」という日本人の価値観を取り戻したいのです。


保育士さんは、続けて次のように話してくれました。

「箸を落とさなくなったんですよ。」

「手作りの箸入れから、丁寧に取り出し、使った後は自分で洗い、自宅へ持ち帰ります。」



箸づかいも片付けも含め、何だか子どもたちが食事の時間をとても大切に過ごしているように感じます。」

ある園長曰く・・・

                         「まるで修行僧のよう!」







今回も昨年に引き続き「ヤマザクラ」を使います。これは森林文化アカデミーからの風景です。
日本人の原風景ですね・・・





箸はご存じのように、2本の棒であり、まっすぐなことが重要であります。丸太からの製材・乾燥や木取を間違えると、使っている間に反ってしまいます。今回は箸づくりの職人さんのご協力により教材開発をしました。職人さんにとっては、製品を売った方が利益につながるのですが、
「木の箸の普及のためなら・・・子どもたちのためなら・・・」
と喜んで引き受けてくれました。職人さんの心意気に感謝しています。




サクラの「樹から木」についてや、箸の歴史や身体尺も学びながら、園児に教えるためのスキルを学んで頂きます。ノコギリで手の大きさに合わせて切り、紙やすりでかたちを作ります。


 

保育所保育指針及び幼稚園要領では、当然「表現」の領域に入るのですが、これはつくって終わりではない、暮らしの中で使うことがいかに重要であるかが、シンプルなデザインの箸だからこそ明らかになりました。
また、つくる以前の生き物としての樹を感じる、つまり「環境」の領域まで包括しており、木育は、命の教育に関わることを、回を重ねるごとに参加者の皆さんから教えられました。
後は研修で体感して下さい・・・





最後にカフェささやさんのご協力により、作った箸を使い「心と体に優しい旬菜おうちごはん」で使用感を確かめ合いながら振り返る食育の時間でもあります。

今、日本人は、日本人らしく生きることが大切であると考えます。四季の変化の美しい、日本の風土の中で育まれてきた文化に敬意を払いたいのです。

「箸に始まり、箸で終わる」

箸づくりを通して、日本人の感性について、皆さんと今一度考える場にしたいと思います。


この講座は、岐阜県木育推進協議会との連携研修です。申し込みはコチラ

日 時:2014年7月12 日(土)13:00~20:30 

                    
会 場:岐阜県立森林文化アカデミー(美濃市曽代88番地)内 「森の情報センター」
         ※会場内は複雑ですのでアカデミーHP(http://www.forest.ac.jp)内の
           「アクセス」にある「構内地図」をご覧ください。
     カフェささや(岐阜県関市下有知57−3)

対 象:保育関係者(定員5組10名。申込多数の場合は、抽選)

研修費:ひとり6,000円

研修主任:ものづくり講座 松井勅尚


2014年5月29日木曜日

狩猟のための第一歩、ニホンジカの生態も探る

狩猟免許取得のために、より狩猟者に近づくために


 クリエーター科の『野生動物管理実習』、今回は県庁自然環境対策監の田中昭好さんと、
NPO法人メタセコイアの森の仲間たち理事長であり、猪鹿庁長官の興膳健太さんに狩猟免許取得
に関する指導と、前回植林地に仕掛けたセンサーカメラ映像の解析、その利用をご指導頂きまし
た。

 田中さんからは、狩猟免許取得のための基礎知識、狩猟者の社会的貢献、法制度など、演習を
含めてご講義頂きました。


 興膳さんからは、最初に前回植林地に設置したデータの解析を見せて頂きました。


 GPSデータをマッピングして、植栽地を取り囲む防御ネット、センサーカメラの設置位置などを
確認し、数カ所のカメラのデータを一緒に内容確認しました。

 設置カメラによっては動画、カメラによっては動画と静止画像の両方です。


 カメラAなどは、樹木が揺れたり、草がたなびくことでも、センサーが作動して、映像が撮られて
いました。

 カメラによっては、道もない山の中なのに、見知らぬ人が通っていく映像もありました。


 このセンサーカメラには、朝5時21分にニホンカモシカが映し出されています。画像の奥の方
ではニホンジカの姿も撮影されています。



 ニホンカモシカが撮影された場所と同じ場所で、シカが撮影されています。これも朝の5時代、
このシカはどういうわけか防御ネットに舌を絡ませています。

 多くのシカは午前4時から6時、そして夜中の22時頃に撮影されていました。


 夜中の撮影は赤外線撮影であるため薄暗く、シカの目が光っています。こちらはメスのシカです。
動画で観察すると、相当に警戒しながら食餌しています。

 このカメラで捉えたシカの後方にも別個体が写っていました。


 別に仕掛けたカメラにはオスのシカが写っていました。
後方にメスもいました。

 こうした映像から、シカがどの方向から来ており、どのルートを通るのかがよく分かり、それを
データー化すれば、どこに「くくり罠」を仕掛ければよいのかも分かります。


 最後に、猪鹿庁として狩猟や狩猟者の教育に取り組んでいる事例を紹介してもらいました。



 一般的な狩猟以外にも、「かぞえもん」や「ドロップネット」なども紹介してもらいました。

ドロップネットは郡上市でも導入している地域がありますが、運用はなかなか難しいようです。
それと両手法とも高価であるため、なかなか手が出さないのも現実です。


 さてこの授業、次回は来年の1月23日までお預けです。
来年は自分たちで、捕獲されたニホンジカの解体する予定です
お楽しみに!

 以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。

2014年5月28日水曜日

森林GIS手法を学ぶ『林業IT』

 エンジニア科2年生が学ぶ森林GIS
 

 『林業IT』の授業も終盤、今回も岐阜県森林組合連合会顧問の中島義雄先生の指導で森林GIS
操作を学びました。

 最初に前回までのおさらいを含めて、レイヤー調整し、属性テーブル、空間検索、ジオプロセッシ
ング、ジオメトリ演算などなど、操作の繰り返し練習です。


 次ぎに、山の森林基本図をもとに、森林簿データを組み込んで自分たちの欲しいデータを収集
するための準備です。



 第一林種、第一樹種、スギ・ヒノキ・アカマツの別など、いろいろなデータを選択して画面に表示
させます。

 
 山の斜面勾配は濃淡をつけて表現させたり、林齢によって濃淡を変えたり、見やすいように
加工して行きます。


 途中、操作が判らなくなったり、勘違いでうまく動かなかったり、機械の性能不足で作動がうまく
行かないことも多く、その都度、中島先生が個別指導してくれました。


 最終的には、目指す林分に作業路を線形設計(写真の赤線)し、その道から斜面上下50mずつ
間伐(写真の青塗り)して収穫想定したり、様々な試算につかえます。


 さて、次回は朝から夕方まで一日中、「林業IT」です。スマホを活用して、身近なGISに触れたい
と思っています。

 以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。

2014年5月27日火曜日

森林公共政策5 移住定住対策から市町村の森林・林業行政まで

岐阜県の行政施策を学ぶ


 森林公共政策の第5回目、今回は
  1.岐阜県の移住・定住対策(清流の国づくり政策課 田中係長)
  2.岐阜県森林研究所の取り組み(森林研究所  古川部長研究員)
  3.岐阜県の地場産業・伝統的工芸品の現状と振興施策について(地場産業課 河合主任)
  4.市町村の森林・林業行政の役割と課題(高山市農政部林務課 藤下課長)

 最初に「地域の将来を支える人を呼び込む」と題して、岐阜県の移住・定住対策について
田中係長さんに講義を受けました。

 岐阜県は転出超過にあり、その中心は20~30代の若者。特に職業上の転出が多いのが問題。

 そこで、岐阜県では様々な支援体制に取り組んでおり、郡上市や飛騨市、揖斐川町などの事例
を紹介。
 地域おこし協力隊の現状や、各市町村のユニークな施策についても紹介。


 続いて、森林研究所の古川部長に、岐阜県の森林・林業研究についてお話し頂きました。

 12名の研究員が広葉樹林化技術の実践的体系化、県木イチイの資源量把握と効率的な更新
方法の検討、森林の水土保全機能を高める森林施業手法の開発、低コスト再造林のための育苗
・植栽・初期保育技術の開発、ナラ枯れ被害木のバイオマス利用、ニホンジカの適正な個体数管
理に向けた誘因方法に関する研究、高品質菌床シイタケの安定生産技術の開発など、様々な
研究内容について説明。


 さて、午後からは地場産業課の河合さん、河合さんは美濃市役所からの出向職員さんとのこと。

 岐阜県の7代地場産業、地場産業を取り巻く環境の変化と課題について解説。・・・どの産業も
かなり厳しい状況。

 続いて岐阜県の伝統的工芸品(全国215品目中、岐阜県は5品目:飛騨春慶、一位一刀彫、
美濃焼、美濃和紙、岐阜提灯)、伝統的工芸品が直面する課題(需要の低迷、量産が出来ない、
人材・後継者不足、生産基盤の減衰、産地の知名度不足)。

 岐阜県の郷土工芸品(45品目)、岐阜県の地場産業支援施策について、詳しく説明して頂き
ました。
 

 
 最後に、高山市役所の藤下課長さん。
  法制度上の市町村の役割について、森林・林業政策の地方分権、市町村への権限委譲事務、
市町村森林整備計画についてお話し頂いた後、高山市の行政について説明。
 
 日本一の森林都市、日本一大きな市、森林組合の役割が大きく、木工・家具産業が盛ん、観光
都市として年間400万人の観光客を集客。
 高山市の予算450億円のうち、林務課は4億8000万円の予算。
 
 高山市は年間1500~2000haの森林を間伐しているが、そのうち小規模な間伐に対して市独自で
100ha以上の間伐に補助を実施している。
 
 以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。

2014年5月26日月曜日

林業の本場、奈良県吉野清光林業にて、山の道づくりを学ぶ

清光林業さんで林業のための道づくりを学ぶ


 森林文化アカデミー クリエーター科 林業再生講座、今回は『山の道づくり』について学ぶため、奈良県吉野町の清光林業株式会社を訪れ、取締役副会長の岡橋清隆さんに現地をご案内頂
きながら、数々のポイントをご教示頂きました。

 250年生の人工林、あまりにも見事すぎる林に唖然とする。人工林でも的確に人が介在
すれば天然林のような人工林をつくることが出来る。

 さて、作業路についてあまりにも多くのことをご指導頂き書き切れませんので、ごく
一部を報告します。

 奈良型作業をは幅員2.5m以内の道づくり
   1.路線重視   2.工法


 切り取り法面に丸太を裏積みして、土砂崩落を食い止める法面の安定化と植生誘導を図る。

 ヘアピンカーブを尾根にとると、基本的に堅い場所となり、そこから支線も出しやすくなる。


 積み込む丸太は末口径が12~13cmの丸太を使う。それより太ければ販売に回すべき、
逆に太すぎても作業路が悪くなる。

 出来ることなら、写真で指差ししているような、辺材の少ない丸太が適している。



  盛り土路面の法肩に丸太を埋め込み、補強する。

 盛り土は適切な転圧、排水、路肩の補強などが重要。単に丸太を埋めるだけでは意味がない。



 別の現場で、粗道づくりされた後を整備するところを見学。
路面を整備しながら、盛り土の法肩に丸太を設置しておられました。


 丸太は8寸釘を打ち込んで固定されていました。
 単に、「釘」と思われるかもしれませんが、この釘もちまちま打ち込んでいては熱を持って曲がり
やすくなり意味がない。 作業に当たられていた方は5回の打ち込みで打ち込み完了。技あり!


 別の現場では、悪い事例のご紹介して下さいました。
 何が悪いのか、どうして悪いのか、だからどう施工すべきか、を一つ一つ丁寧にご説明下さり
ました。


 農林中金80周年森林再生基金1号線についても説明を受けました。
 地形図での計画、現地踏査、そして実際の施工。 路線決定のためのポイントは何かを
その場、その場で詳しく説明して下さることで、「何のために道をつくるのか」を理解しやすく
なっていきます。


 最後の現場は、「粗道づくり」の現場です。

 要は「ヘアピンカーブをとる場所と取り方」、とくにヘアピンの描き方が重要、同じようでも車輌を
走行させて走りやすいヘアピンと、走行しにくいヘアピンがあることも学びました。

 先行伐採して、バックホウで道をつくる。偶然にも先行伐採した丸太を載せて降りてこられ
ました。


 オフセット型のグラップルで狭い場所を巧みに操作され、4WDのトラックに積み込みです。
この小型のグラップルが何ともパワフル。


 朝4時に美濃市を出て、山の現場で16:30分、それから清光林業の事務所に戻りました。
 

 帰り際には、清光林業株式会社取締役会長の岡橋清元さんにもお会いして、全国林業改良普及
協会の書籍『現場図解 道づくりの施工技術』も頂いて、帰路についたのです。

 岡橋様、そして社員のみなさま、本日は5ヵ所もの現場にお邪魔しまして、大変お世話になり
ました。有り難う御座いました。

 以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。