2015年5月30日土曜日

里山景観マイスター養成講座(Basicコース)スタート


本年度も「里山景観マイスター養成講座」のBasicコースがスタートしました。この講座は簡単に言えば、身近な自然の価値を知り、それを学び、伝え、守り継ぐことのできる人材を育成することを目的にしています。

今回の講座は「放棄水田の管理と生物多様性」をテーマに行いました。まずは教室で概要説明のあと、水田に関する講義からスタートです。水田とは? からスタートして、水田に暮らす生きものと、現在の水田環境についてお話を聞いていただきました。



午後からは近くの放棄水田に移動、現在耕作している田んぼと、耕作を放棄してから10年以上経っている水田を見学しました。






その後、いよいよ放棄水田に侵入した樹木の伐採作業にうつります。慣れている参加者の方も、そうでない参加者の方もノコギリを片手に奮闘していただきました。












ほんの数株伐採しただけで、水田に光があたり、驚くほど景色が変わります。もちろん生物にとってもこの環境の変化は大きいです。さっそく多くのトンボ類が飛び交っていました。









最後に昨年の講座で除伐した場所の観察です。樹木を伐採することにより水位があがり、魚やヤゴが数多く活動していました。











次回は8月の終わり頃に伐採によって自然がどう変化したのか、どのような生きものが戻ってきたのかを調べる予定です。参加者の方からは、「作業は大変だったが次回変化を確認するのが楽しみ」という声をいただきました。

それではまた、3ヶ月後に!








2015年5月29日金曜日

伐倒方向よし、受け口よし、チェンソー操作よし

 感覚を研ぎすませ、音を聞き分け、臭いを嗅ぎ分けよ


 本日はスチール社旭さんと寺方さんによる「チェンソー講習」の最終日、今日も一日安全に
チェンソー操作を繰り返し練習できるよう、様々な注意点などを再確認し、チェンソーの始業点検
が済めば、演習林で実践です。
 今回使用する主力はMS201C、他にMS261です。



 朝一は「水平伐り」の復習から。

 単に伐っていては上達しない。 しっかり自分自身の目標を持ち、自分の仕事の善し悪しを
見極めることが重要。実家の家業を継ぐ予定のノブさん、頑張ってますか?


 林業女子の伊藤さんも軽快に円盤を切り出す。 ガイドバーの下刃伐り、上刃伐り、突っ込み
伐りからの円盤伐り。


 杉本先生が指導するチームは斜面最上部、チェンソーから順調に鋸屑を吐き出しながら円盤を
切り出します。


 さて、ここからチーム対抗の競技です。 代表選手がMS201Cを使います。

 ルールは①ガイドバーの下刃伐り、②上刃伐り、③突っ込み伐りからの円盤伐り。の3円盤を
作成する。

 突っ込み伐りの途中で、危険な動作が有れば失格。 そして3円盤を伐り終わるまでの合計
タイムを競う。


 最初はエンジニア科の大西くん39秒くらい、次はクリエーター科林業再生講座の女性、田中さん
37秒くらい。

さて、最も早かったのが3番手の原田くん、チェンソーのエンジンのふかし方と、左右のソー捌き
がうまく、25秒くらい。  お見事!


 4番手の清水くん、急がず、慎重なチェンソー捌きであったためか、若干時間が多くかかって
しまいました。でも切削円盤はきれいでしたよ。


 最後は安間くん、3日間スチールのMS261で練習してきたのに、今回の挑戦は全員がMS201C
でという条件となったため、充分に技術を再現できませんでしたが、皆と同じように順調に円盤を
伐り出しました。
 

 お次は、受け口伐りの繰り返し練習です。

 旭さんが伐りだした受け口を参考に、角度や深さを再確認し、各チーム毎に挑戦です。


 クリエーター科の田中さん、石塚さん、森田さんは、伐倒方向の確認。

 受け口は作れば良いのではない。必ず、伐倒方向という『目標』がある。


次の森田さんも、自分の伐倒方向『目標』を見定める。

 それに対応した受け口の方向と大きさを見極める。


 エンジニア科の長屋くんも、受け口づくりに四苦八苦。

 斜め伐りはなかなか要領良く進みませんが、それなりにしっかりした受け口を伐り出すことが
できました。


 チェンソー講習の最後は、メンテナンスです。付着した鋸屑などのゴミをゲージやブラシで
落として、仕上げはエアーコンプレッサーで仕上げ。
 
 勿論、エアークリーナーなども念入りにクリーニングして、丸ヤスリで目立てです。


 そして倉庫にお片づけするためのトラック積み込み。
秋山くん、安間くん、荒深くん、山口くん、そして多くの学生が、きれいに収納してくれました。

 ここで3日間連続のチェンソー講習は終了です。森林文化アカデミーに入学して、チェンソー手帳
をもらうための特別教育に3日間、そして今回の3日間、次は6月中旬からの6日間ほどの講習
です。頑張りましょう。
 
 以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。
 

平成27年度オープンカレッジ「ニホンミツバチと暮らす」のご案内


 昨年に引き続き、今年度も森林文化アカデミーオープンカレッジ(旧生涯学習講座)において、7/189/12に「ニホンミツバチと暮らす」と題した講座を、ニホンミツバチ協会さんと共催で行います。

 なお、この企画は2回の連続講座となっており、申し込まれた方は両日ともご参加いただくことになります。詳細は以下の通りです。

対象: 一般の方。親子参加も歓迎します。
定員: 20人(小学生以下の子供同伴歓迎。小学生以下は無料です)
日時と内容: ①平成27年7月18日(土)10:0016:30

「ニホンミツバチの蜜をしぼる」
ニホンミツバチのお話、蜜しぼり、蜜蝋づくり(ハンドクリームづくり)など
②平成27年9月12日(土)10:0016:30
「ニホンミツバチの巣箱をつくる」
巣箱のお話、巣箱づくりなど
場所: 森林文化アカデミー(美濃市曽代)
服装: 白っぽい服装(7/18)動きやすく汚れてもいい服装9/12)、両日とも長袖、長ズボン
持ち物: 手袋、弁当、飲み物、筆記用具、タオル、麦わら帽子7/18のみ)など
参加費: 7/182,000円、9/121,000円。参加費は当日徴収しますが、2回の連続講座を通して計3,000円となります。蜂蜜(約100g)、ハンドクリームはお持ち帰りいただけます(参加費に込み)。追加で作りたい方は別途追加料金がかかります。また作った巣箱を持ち帰りたい方は別途実費(10,000円程度)がかかります。

 申し込まれた方には、別途詳しい案内を差し上げます。
 参加を希望する方はニホンミツバチ協会さん(http://apiscerana.jimdo.com/)のイベント案内ページにおいて6月1日午前0時に申し込みフォームがアップされますので、そちらから申込みください。

自力建設2015 測量スタート

今年度も自力建設の作業が始まっています。

今年は校舎に隣接する演習林が敷地になっているため、斜面の勾配や、樹木の位置も計測することになります。
まずは、敷地条件を整理するために、気持ちいい森林の木洩れ日の中、測量を行いました。虫も気持ちいいのか、蚊がいっぱいやってきました・・・。


どんな計画が出来上がるか楽しみにしてください。

木造建築のメンテナンス実習(エンジニア科)

エンジニア科の林産業コースの「木造建築のメンテナンス実習」を行いました。
木造建築は竣工して仕事が終わるわけではなく、きちんとメンテナンスを行い、きれいに長持ちするように使っていきます。

この授業では、いろいろなメンテナンスの実習を行う中で、身近な手入れから専門の内容まで概観します。初回はアカデミー全域のシロアリ調査を行い、蟻害マップを作成し、事務局に提出しました。数か所、進行中・・・・でした。

本日は、もっとも基本的なメンテナンスとして、第4期生がつくった自力建設「風の円居」の大掃除です。

数年間、大掃除をしていないせいか、床が黒ずんで、ほこりや砂、虫のがつみあがっています。まずは、掃き掃除を行い、特に窓際の拭き掃除を中心に磨き上げます。


気持ちいい季節の中、杉無塗装のフローリングを丁寧に磨いていきます。自然素材は、磨けばきれいに答えてくれます。


一通り終わると、時間の経過を経た、きれいな風合いの落ち着いた姿が現れました。

2015年5月28日木曜日

「美濃和紙の里・蕨生(わらび)」で調査実習がスタート


山村づくり講座では、1年生「地域調査法演習」や2年生「コミュニティデザイン総合演習」など科目を横断して、今年は「美濃和紙の里・蕨生(わらび)」で学生達とともにフィールド調査を進めます。

201411月のユネスコ無形文化遺産の登録で「美濃和紙」は国内外からますます注目を集めています。本年度は美濃市も和紙観光の振興に本腰を入れていますが、そこで忘れてはならないのが、手漉き和紙を生産していた山村集落、いわゆる「紙郷(しごう)」の存在です。
 
 
 
長良川支流の板取川流域(牧谷地区)には、かつて数百の「紙郷」が存在し、美濃町の繁栄を支えていました。しかし昭和30年代の和紙産業の衰退とともに廃業が相次ぎ、過疎集落となりました。今では牧谷地区でも手漉き和紙職人の家は数えるほどです。

蕨生(わらび)地区は、そんな典型的な紙漉き集落の一つで、本美濃紙の高い生産技術を誇った村です。集落の中心部には還流残丘という珍しい地形の里山があり、和紙生産の最盛期(大正期~戦前期)に住民達が私財を投じて寄進した「八十八地蔵」が今でも残されています。他にも、和紙観光の拠点施設である「美濃和紙の里会館」が立地し、紙漉き農家の典型的な様式(漉き屋)として保存されている「古田行三邸」もあります。
 
 
ところが、昨年度に森林文化アカデミーの「古民家リノベーション事業」の講座で行った空き家調査の結果、約250戸のうち空き家が1/4以上もあることが分かり、加えて商店の撤退や、獣害による耕作放棄も進んでいるなど、深刻な事態が明らかになりました。
 
 

山村づくり講座では、古民家リノベーション事業を行う外部団体とも連携しながら、コミュニティの活性化イベントや、地域資源を活かした新たなビジネスの立ち上げ可能性を探るための現地調査を始めています。未だ初期段階の実施中に過ぎませんが、紙漉き集落「紙郷」の奥深い文化の一端や、新たな変化が起きている場面に出会いました。

527日のフィールド・ノートから、その一部をご紹介しましょう。
 
・今年の春から、蕨地区に住み始めたJBさんは気さくなフランス人。墨絵を得意とする画家さんです。日本人の奥様と小さなお子さんと3人で、静かな環境が気に入って移住してきたそうです。

・蕨生地区発祥の字といわれる「五十村」。ここで内職の手を止めて話をしてくだったIさん。字名のいわれや、中山の周囲がちょうど一里(4)であることを教えてくださいました。
 

・慶長院の住職さんは、かつて中山の「八十八地蔵」の前で行われていた村人の宴や、「大師講」のこと、「春秋の例大祭」が盛んだった頃の庶民の心の絆のことを教えてくださいました。

・本美濃紙保存会の会長であり人間国宝でもある澤村正さんの工房を覗いたところ、ご本人が快く私たちを招じ入れてくださり、美濃和紙のことや職人としての生き方まで、約1時間にわたり深いお話をお聞きすることができました。こうした僥倖もフィールドワークの醍醐味ですね。
 
 
 横浜からやって来た若い女性のお弟子さんにもお会いして、伝統の継承に賭ける思いや、若い世代が職人を目指した経緯などにも触れることが出来ました。
 
 


専修教育部門で行う「調査実習」等の科目、生涯教育部門(森と木のオープンカレッジ)で行う「里道ガイド」等の講座、そして外部機関と協力して進める「里山インキュベーター」推進プロジェクトなど、さまざまな連携の形を作りながら、山村づくり講座では「紙郷」の活性化を目指して活動しています。それは同時に、山村を新たな視点で捉え直し、これからの社会に必要な「仕事を創り出せる人」を育てる教育活動でもあります。

 
記 山村づくり講座 教員 嵯峨創平

響けチェンソー、磨け基礎技術!

スチール社直伝 安全なチェンソー操作のために


 スチール社によりますチェンソー講習会の2日目、今日も旭さんと寺方さんの指導の下、
朝から夕方まで一日中、チェンソーの基礎技術に磨きを掛けます。

 今日はチェンソーの始動から、チェック項目確認、安全なチェンソー操作のために何が必要か。
それを再確認して実践です。


 全員がチェンソーパンツとチェンソーブーツ、ヘルメットにイヤーマフ、防面マスクで身を固め、
いざ実践。

 Off、In、それに加えて2段階のチョーク、最新機種はエルゴ・スタータであるため力の少ない
女性でも簡単に始動できる。 エルゴ・スタータは早く引くなくても、しっかり引ききる方が有効。

 旭さんが学生一人一人に気を配って、指導して下さいました。


 演習林に場所を移し、切り株にセットした丸太をどのように伐るか?

 安全はどのように確保するか、チェンソーの操作は、キックバック、伐り下げ、伐り上げ。
何をすべきかを再確認です。


 最初は直径約20cm、長さ80cmほどの丸太を横付けして、それを伐っていきます。

 上から下への「伐り下げ」、下から上への「伐り上げ」、そして「突っ込み伐りと上下伐り」の3種。


 基本は丸太に直角に、切断面をより平滑に、そして少しでも薄く円盤を伐りだします。

 安全第一に、エンジン操作は全開で、繰り返し練習していきます。


 繰り返し練習を一段落したら、旭さんのホイッスルが鳴り、全員が集合!

学生のチェンソー操作を見て、何に注意すればもっと上達するのか? 何に注目すべきか?

 学生それぞれが自分の課題を見極めて、再度自分たちの弱点を確認します。


 次は丸太を立てて、チェンソーの水平伐り操作。 旭さんが3種類の伐り方をデモンストレー
ションします。
 上刃を利用し、下刃を利用し、突っ込み伐りして左右移動。


 早速、林業再生講座の森田さんも鋸屑を蹴散らしながら、快調にチェンソーワーク。

 如何に水平に操作するか。 如何にエンジンを一定にするか。目立ては良かったか?

様々考えながら薄い円盤を伐りだします。


 負けじと、下西さんも、快調にエンジンをフルスロットル。

  みな予想以上に見事な薄い円盤を伐りだしていました。


 さて、朝9時から初めて既に午後4時20分、最後は一日使用したチェンソーを愛情を持って整備。
ガイドバーやソーチェン、エアフィルターを掃除し、最後は目立てです。

 目立て初心者ですので、ホルダーを利用して明日に備えて整備です。踏込くんも山口くんも、奥
の伊藤さんも、長屋くんも一心不乱にヤスリを前後。


 途中、整備のできあがりを杉本先生がチェック。

 「木下くんはOKだね」と言っているのか?  多分そうだよね! 手前の荒深くんも今井くんも
真剣そのもの。

 
明日も早朝から夕方まで一日演習林で頑張るぞ~!
 
以上、報告JRIIこと川尻秀樹でした。
 
 

2015年5月27日水曜日

スチール社直伝のチェンソー技術を磨け

チェンソーよし、服装良し、目立て善し


 今年も始まったスチール社技術サービス課の方をお迎えしてのチェンソー講習会。
今回は技術サービス課の旭課長さんと、寺方さんのお二方をお迎えして3日間の講習を実施
します。

 学生たちは先日、チェンソーの特別教育を受けたばかり、しかし特別教育では充分理解できて
いない点が多いので、今回復習もかねてスチール社の技術を学びます。


 チェンソーワークでは何が危険か、どんな時が危険か、一つ一つ事例を挙げて説明を聞きます。

 旭さんも栃木県から駆けつけて下さったて疲れているにもかかわらず、丁寧に説明していかれ
ました。


 技術者が身を守る、守らせるを考えると、このような「忘却曲線」がある。

 繰り返しの反復練習の必要性を事例を元に説明。



 スチール社の特殊な映像で、チェンソーの構造やオイルの動き方など、一般的には
目に見えない部分まで詳しく解説して下さり、理解が深まります。


 それではこれからチェンソーを少しメンテしてみましょう。

 リコイルスタータ部分やスプロケット(機種によりリム型とスパー型がある)の確認など。


 エアフィルターも機首によって構造が違う、外し方も様々、ネジの付き方も異なる。

 自分の使用するチェンソーの構造を理解するだけで、学生の頭の中はパニック状態。


 スタータロープが巻き込まなくなったら、どうしたらよいか?

 外してスタータロープを伸ばし、コイルを4~5回巻く、そして・・・・何度も学生たちのテーブル
を回りながら、旭さんと寺方さん指導して下さいました。


 チェンソーの目立てでは、カンナの刃のように削ることや、デプスゲージの見方、

そしてヤスリのかけ方、特別教育で充分でなかった点も含めて復習していきます。



さて、今日はここまで、明日は燃料を混合して、実践に移ります。

以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。
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