2014年10月31日金曜日

春日の茶畑・秋の整枝作業をお手伝いしました。


 

 1016日の「地域プロジェクト実習」は、揖斐川町春日の上ヶ流(かみがれ)地区にお邪魔し、来春の一番茶を採る準備のため、伸びた枝を刈りそろえる「整枝(せいし)作業」を体験させていただきました。
 
今回も実習を受け入れて頂いたアカデミーOBの森さんによると、お茶は「攻めないと芽が混んでこない」とのこと。整枝は、美味しい一番茶を摘むために必要な作業なのです。

 上ヶ流茶生産組合の佐名組合長から、お茶の価格低迷や若者流出のために、荒れた畑が増えているという説明がありました。そんな中、この地区では、寒暖差が大きく、霧が多い条件を生かし、農薬を使わない上ヶ流茶の生産に精を出しておられます。

 佐名組合長と森さんによる整枝機の実演の後、茶畑のうねの上下に2人一組で並んで、つまづいて転ばないようそろそろと歩を進め、バリカンのようにてっぺんを刈っていきます。
 
 
 

 

 
 
虎刈りにもならず、「初めてにしてはなかなかうまくできた」、と悦に入っていると、佐名組合長から「刈り過ぎ」と一声。葉先から10~12センチぐらいを刈るのが良く、あまり深く刈ると芽が生えてこないということです。
 
 
 
 
 

 小柄な佐名組合長と組んで整枝機を持つと、ぐんぐんと速足で進み仕上がりもきれいです。ただただ丁寧に作業すればいいのではないのだということを痛感しました。
 
 
20キロの袋を背負って、なたね油かすもまきました。
 
 
 

 
 
 
 お昼には、茶葉を半発酵して作ったウーロン茶を、森さんからごちそうになりました。これまでお茶とウーロン茶は別物だと思い込んでいました。森さんは、この地域では採算が合わないと捨てていた二番茶を、ウーロン茶や紅茶として活用していきたいそうです。
 
 
 
 
 
 
 
山村区長も駆けつけて下さり、茶畑から採れたコンニャクイモから作ったコンニャクをいただきました。歯ごたえがあって、自家製の味噌をつけると、ほっぺたが落ちそうでした。






 軽トラックの荷台に乗って、茶畑の間を移動して見える景色は、まるで南米かネパールの高地のよう。あまりの心地よさに鼻歌でも口ずさみたくなります。
 
 
在来茶の畑で、化学肥料を使っていないからこそ栽培できる、コンニャクイモ掘りも体験させていただき、春日のさまざまな可能性を感じた実習でした。










 
 
山村づくり講座1年 井澤 宏明



なぜを繰り返し、生産システムの問題の本質を発見する

今回はクリエーター科林業再生講座の「生産管理の技術」という授業です。

よく素材生産の目標として、

「高性能林業機械を導入して生産性を上げる」
「一人一日10m3/人日を目指そう」

などが掲げられることが多いですが、
生産システムの目標とは何でしょうか?

果たして生産性を上げることがシステムの目標でしょうか。

いいえ違いますね。

お客様のニーズに合うものを、必要な時に必要なだけ
渡してあげること。よくいう言葉でいうとQ(Quility)C(Cost)D(Delivery)を満たすことが
重要です。



ということで、実際の素材生産現場に行き、
現状の問題点を考えることにしました。


講師は豊田自動織機で「トヨタ生産方式」による改善支援を実施していた
圓谷公康先生です。プランナー研修でも講師をしています。




現場を提供して頂いたのは、
クリエーター科1年生の遠藤さんです。
実家が素材生産業を営んでいます。


皆伐の現場で

チェンソーによる伐倒 ⇒ グラップルによる木寄せ ⇒ プロセッサによる造材
⇒ グラップルによる積込 ⇒ 8tトラックによる中間土場までの運搬

という流れです。


現場での人の動き、機械の動きを見て、「モノと情報の流れ図」を書きます。



「トヨタ生産方式」で大事なのは、「徹底した原価低減」「ジャストインタイム」の2本柱です。
そのために、モノが滞留してリードタイムが長くなっていないか、後工程が詰まっていないか
など問題点を観察します。




現場の後で、会議室で問題点を共有しました。

例えば
「ボトルネックのプロセッサの前に在庫が溜まっている」
何故?
「グラップルが運んでくるから」
何故?
「伐倒手が木を伐るから」
それでは
「プロセッサの作業がしやすいよう、一本ずつプロセッサ作業に合わせて伐ることができないか?」

などなど問題点を深堀していきます。


トヨタ生産方式は何も「かんばん」を導入する、後工程引取りを実施する
という目で見える部分だけではありません。


「なぜなぜ」を繰り返し、本質的な問題を探っていくことが大事です。



次回はさらに深堀を進めていきます。



訂正:
QCDのDがDemand(需要)となっていましたが、Delivery(納期)の間違いです。
必要なタイミングで必要な物を提供することが大事ということです。
指摘して頂いた方ありがとうございました。

2014年10月29日水曜日

森を測り、込み具合を知る

相対幹距比、胸高断面積合計、収量比数、樹冠粗密度を調る


 エンジニア科1年生の「森を測る技術」実習。
今日は演習林とパソコンのある情報処理室の往復です。

 前回、測量と林分調査したデータをコンピュータ入力です。胸高直径、樹高、枝下高を入力し、
形状比」や「胸高断面積合計」を計算させます。


 胸高直径と樹高から「立木幹材積表」をもとに、全立木の幹材積を読み取ります。
4つのグループは各々約80本程度の立木があるので、それら全てを材積読み取りします。


 最終的には林分の込み具合の指標となる「相対幹距比(Sr)」、「胸高断面積合計」、「収量比数」
を調べました。
 これらの指標は、若齢林分の下層間伐に適したもの、比較的老齢林に適応するもの、特別な
手法を使わなくても直径と樹高を測れば、様々に適応するものなどがありますので、指標の
特徴も勉強しました。

 
 最後にデータを演習林に持って行って、「樹冠粗密度」も見てみました。今回の林分は込んで
いるので、次の「森づくりの応用」で間伐木を選木し、その次ぎの「木材の伐採と搬出」で伐採
する予定です。

恵那市岩村町;文化的景観の保全・活用をテーマに現地研修


 山村づくり講座の2年生は1010日に「文化的景観論」という授業で恵那市岩村町を訪れました。恵那市岩村町には、国の重伝建(重要伝統的建造物群保存地区)に指定されている町並みがある岩村地区と、国土問題研究会が農村景観日本一と折紙を付けた景観を持つ冨田地区があります。今回は、ふるさと活性化協力隊として冨田地区で活動されていたNさんと、NPO法人農村景観日本一を守る会の理事長であるYさんから、景観の保全・活用に向けた取り組みを伺いました。

 まずは国の重伝建に指定されている町並みを散策しました。この町並みは、かつて城下町だった頃の商家の街並みが大事に保存されていると同時に、地元の人が電線類を地中に埋めたり、街灯も雰囲気に合わせて新しく設置するなど、景観を意識した活動が行われています。一方、重伝建に指定されていない場所は整備があまり進んでいなかったり、景観優先で防犯面や生活面において問題がある(周りが暗くなっても明かりをあまりつけることが出来ないため、足元が見えないなど)等の課題も出ているそうです。
 
 
 
 
 次に冨田地区を訪れ、展望台から農村景観日本一の田園風景を眺めました。その後、冨田地区に残るかやぶき屋根の民宿「茅の宿とみだ」で農村景観を守る取り組みをNさんやYさんより伺いました。冨田地区ではNPO法人「農村景観日本一を守る会」が中心になり、「茅の宿とみだ」の運営や草刈りボランティア、都市農村交流を行い、地域資源の活用を推進しているとのことです。
 


 
 
 
 両地区において、地域を訪れる人が増加するという効果が生まれているほか、地元の人が周りの景観を気にするようになったり、富田地区において、都市住民との交流事業が始まったりと、様々な変化が生まれています。一方で、地域の人の間でも景観に対しての意識の違い(やる気のある人とない人)があるなど課題も明らかになっています。今後は今行っている活動をいかにして地域ぐるみで行い、景観を維持・活用していくかを考えていくことが大事になってくると感じました。

 
以上、山村づくり講座2年の最賀が報告しました。

2014年10月27日月曜日

「森の遊園地!?」学校の森が、遊びの森に大変身!

「学校じゃないみたい!」

木に登ってロープで竹を結んでいる女の子が、目をキラキラ光らせながら叫びました。


いやいや、これが学校です。そしてこれが「学び」です。

昨年に引き続き、可児市の南帷子小学校の小学校5年生と一緒に校庭の隣にある「わんぱく山」を舞台に3日間かけて「遊びの森」づくりをしました。

1日目は、アカデミーの森に遊びに来てもらい、森の中の遊び場のイメージをつかんでもらうのと、自分たちの森に飾りたいオブジェを好きなように創ってもらいました。そして遊び場づくりに欠かせない道具の使い方と、ロープワークも知ってもらいました。


2日目は、朝から晩まで「わんぱく山」の中で作業。材料を周りの森の中から自分たち伐って来て、好きな現場で好きなように「遊び場」を手作りしてもらいました。
子どもたちは、休み時間も忘れてものすごい集中力で何時間も作り続けます。

思い思いにロープや木の枝や竹を使って(切り出すのも自分たちで)滑り台だの、はしごだの、秘密基地だの、揺れる回廊だの、みるみるうちに生まれて来ます。

そしてそれぞれの遊具をつなぐロープの道。時には2メートル以上の高さを通ります。





















3日目は、仕上げの作業&遊びの時間。これまた1日中山の中です。
全ての遊び場が完成し、その周りに色とりどりのオブジェが放たれると、
森の遊び場に命が吹き込まれたようでした。

はしごを作っていた男の子が「低学年の子が登れるようにするには、
このくらいの高さかな」とつぶやきながら高さを調整していました。






















「思いやり」って教えられるものじゃなくて、自然に生まれてくるんでしょうね。

作業も終盤の頃、子どもたちの笑い声に混じって、大人の歓声が!
と思ったら、先生が、大はしゃぎで子どもたちが作ったブランコに乗ってぶ〜らぶら。。
「きゃはははは〜」






















森で遊ぶと、子どもも大人も優しく、おおらかに、楽しくなれちゃうようです。

「ノコギリとロープさえあれば、森でなんでも作れるんだね!」

最後に道具を片付けながら男の子がぽつりと言いました。森と子どもがつながった瞬間です。今年も我々のねらいが子どもたちにしっかりと伝わったようです。また森で遊ぼうね!


自然体験活動指導者
インタープリター養成コース
なんちゃってせんせい
萩原ナバ裕作











森と木のふれあいフェア 参加

 10月25日(土)、26日(日)の2日間、森と木のふれあいフェアが岐阜県庁を会場にして開催されました。その後半の10月26日(日)には、「紙一枚で強い柱をつくる選手権」(通称:アカデミーカップ)を開催致しました。どれだけ強い柱をつくることができるかを競うワークショップです。

 アカデミーカップのルールは簡単で、
  1) A4版の用紙を1枚だけ利用する。
  2) 柱の高さをA4短辺の長さ以上とする。
  3) 切ったり、貼ったりしてよいが、セロテープは紙と紙の接着だけに利用する。
というものです。
 ルールが簡単なので、1歳児の挑戦者もおりました。


アカデミーカップ
みんな、一生懸命に考えて、強い柱をつくっていますが、お絵かきに夢中な子も多かったです。

アカデミーカップ
だいぶ、高くおもりとしての木材を載せています。どれだけの重さを載せることができるかな。

アカデミーカップ
 危ないところは、アカデミーのお兄さんやお姉さんに手伝ってもらいながら、おもりを載せました。


 参加者は130名でした。
 この日の記録は、14.78kgでした。「けんじ」くんと、「だんへい」くんが優勝しました。
 おめでとうございます。

 これまでの最高記録は(複数回試行錯誤の上) 26kg です。
 初めての挑戦での最高記録は 25kg です。

 また、いつの日か、皆さん挑戦してみてください。


 スタンプラリーで、スタンプ集めると「木のしおり」がもらえるコーナーも大盛況でした。



 それから10月25日、26日の2日間、
 別のブースでは森林文化アカデミー 木造建築講座 自力建設の紹介を致しました。
 大きな模型(1/10)も飾りました。

木造建築講座 自力建設の紹介ブース

 今年の自力建設は、昔のいかだによる長良川での木材運搬を照らす灯台を背景にしています。そのいかだの展示もさせて戴きました。

いかだの紹介
 建物の模型については、来月開催(11/8、11/9)の翔楓祭でも こはランド に飾ると思います(場所がもらえれば・・・)。

 ぜひ、こはランドへも遊びにいらしてください。

2014年10月25日土曜日

驚異的、なんと今日一日で250人が集材架線体験?

丸太に見立てたスナック菓子を運べ!


 こんにちは、JIRIです。今日と明日は岐阜県庁で「森と木とのふれあいフェア2014」が開催さ
れ、森林文化アカデミーも林業再生ものづくり木造建築の3分野が出店。

 なんと林業再生講座のところには、未来の林業理解者となる子ども達が250人も訪問。この人数
は森林文化アカデミー始まって以来の快挙!

 教員は杉本、和田、辻、JIRI、そして事務局の杉田さん、そのほかクリエーター科林業再生講座
の笠木、松葉、飯嶋、ものづくり講座の久野、エンジニア科の丸山、山田です。

 私たちのブースの横には古田知事が訪れ、木材チップの遊び場前でインタビュー。


 他の会場では林業用の機械、グラップル操作の選手権も実施ていました。
 丸太の積み上げとペットボトル載せなど、器用に操作される様子を見ることができました。


 チェンソーメーカーのスチール社のブースでは、子どもさんがチェンソー操作体験。
ぶーんぶーんと音を鳴らして、ゴムのソーチェーンが回転していました。


 さて、わが森林文化アカデミーの林業再生講座の『山仕事プチ体験』では架線集材
を子ども達に体験してもらいました。

 今日の現場は県庁前、しかもスナック菓子の「うまい棒 集材」、しかも発注者は涌井学長。

 木のおもちゃだけが『木育』でない、林業そのものでも『木育』につながる
活動が出来る

 今回の索張りはエンドレスタイラー式集材。 さぁ挑戦だ!!


 ご両親と来てくれたお子様、操作方法を真剣に聞き、集材作業を初体験!

 操作指導の杉本先生と補佐役の飯嶋さんのアドバイスに従いながら、うまく「うまい棒」を
先柱方向から元柱方向に運びます。

 さて、体験が終了したらお父さんと一緒に記念撮影!

服装も決まっています。きっと未来の林業を背負ってくれる貴重な人材だと確信したのです。


 あれれ、飛び入りの誰か?  そうそう木育の○○さん、今日250人のお子さんに混じって唯一の
大人? いや昔の子ども? 楽しそうに操作して下さいました。


 そして、またまた誰でしょう。 ものづくりの和田先生と息子さん。

 林業機械の操作はピカ一、ひょっとすると木工よりも林業に向いている素質を感じる。
彼もきっと未来の林業家だ。




 
 エンジニア科の山田さんも女の子にうまくアドバイスし、うまい棒とポカリスエットを運搬していまし
た。  何に注意して架線を操作したらよいか。上手に指導する山田さんも立派な林業女子。

 「期待の星」だね!・・・・頑張って下さい。
さて、明日は小原先生の「小原カップ」も開催されます。是非、県庁前にお越し下さい。

以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。

2014年10月24日金曜日

中部森林管理局との連携で架線集材の現場を見学

今年も中部森林管理局との連携事業で、
クリエーター科の1年生が集材現場の見学を行いました。


昨年度から、
中部森林管理局とアカデミー並びに森林研究所との間で
連携強化を進めており、 その一環でアカデミーの授業の中で国有林の事業現場の
見学を行っています。


案内して頂いたのは、
中部森林管理局森林技術・支援センターの井上様と、
岐阜森林管理署の柴山様です。

見学したのは、架線集材と作業道開設の現場です。
架線集材の見学の様子を報告したいと思います。


現場は下呂の椹谷の国有林です。
あいにくの雨で集材している光景は見ることが出来ませんでしたが、
架線の索張りの様子は観察することが出来ました




集材機です。2胴+エンドレスドラムが1つです。




索張り方法はエンドレスタイラー式で、
主索は22mm、荷上げ索は12mm、エンドレス索は10mmです。



先日、クリエーター科1年生も参加して集材架線を
演習林内で設置しましたが、その時は主索12mm、荷上げ、エンドレス索8mm
という小規模なエンドレスタイラー式ですので、
とても規模な大きな印象を受けました。


架線集材は設置コストが高いため、
集材量が稼げる皆伐で使われるが多いですが、
この現場では、間伐作業でした。

先柱の方角です。
ガスがかかっていましたが、間伐した後の様子を見ることが出来ました。




国有林の現場は傾斜が急な箇所が多く、
今でも架線集材を実施しているところがあります。


架線集材の技術が失われつつある中、
国有林では研修等を実施して、技術の継承も行っているとのことでした。


椹谷といことで、椹の出材もありました。木曽五木の一つです。



なかなか出材の現場を見ることが無かったので、
貴重な経験でした。

軽くて水に強いので、お櫃やこけら葺きに使われますが、
需要に変動があること、構造材などでは流通していないことから、
とても材価が安いとのことです。




そのほか、国有林の材の売り方や採材の方法などについても
教えて頂きました。

材の販売については、システム販売といって、
市場でセリにかけるのではなく、現場で仕分けを行い、
直接、工場に納入する方法を採用していました。


架線の現場もさることながら、
材の販売や出材の契約方法について、民有林とは異なる仕事の形態も
知ることが出来ました。


中部森林管理局の柴山様、井上様ありがとうございました。