2015年2月27日金曜日

駅前オープンキャンパス1回目を実施しました

昨日,岐阜駅前の岐阜シティ・タワー43の2階特設会場で,駅前オープンキャンパスを実施しました。第一回目の昨日は林業再生講座と山村づくり講座の紹介を行いました。写真は林業再生講座の授業風景を紹介している様子です。

前回の駅前山村留学に引き続き,岐阜シティ・タワー43さんの施設を利用させてもらいましたが,普段の本学でのオープンキャンパスとは一味違ってポップな感じが良いですね。お立ち寄り頂いた皆さま,ありがとうございました。

今日も木造建築講座とものづくり講座のオープンキャンパスが同場所で18時からあります。ご興味ある方はお仕事の帰りにでもお立ち寄り下さい。

また,岐阜シティ・タワー43の2階には,普段から本学の情報が展示されていたり,印刷物も置いてありますので,ご興味のある方はお立ち寄り下さい。



2015年2月24日火曜日

自分の成果を示せ!

学長の見識あるアドバイスに耳を傾けよ!
 
 
 今日は森と木のクリエーター科の課題研究発表です。年代層は24歳~70歳、前職も教員
や公務員、会社員、NPO職員、大学生などさまざま。そうした学生が長い者は1年以上、短
い者でも半年以上にわたって研究してきた内容について発表しました。

 
1.笠木遼一さん「林業の労働災害はなぜ起こるのか」
 林業は死傷年千人率が約30人と他の産業に比べ高い。今回調査したA事業体はその数値が
142.9人と非常に高いため、過去の災害を分析すると全体会議による情報共有や、安全対策
としての防護ズボンの着用義務について、組織として取り組むことが重要であることが分
かった。

2.竹川大登さん「森林所有者が行う立木の在庫管理」
 静岡にある実家の会社が生産する原木の流通を探る中で、自社が三重県に出荷した原木
を地元の製材所が購入している事実を知り、流通の無駄を省く直接取引の重要性を感じ
た。そこで地元の製材所が欲しい情報を山側が提供できるよう、自社有林の在庫を立木で
把握できるようなシステムの構築を検討した。

 
3.富井邦彦さん、「ナラ枯れ材の利用促進に向けたテストマーケティング」
 林内に放置されるナラ枯れ材の利用に向けて、マーケティングを行い、木工製品を試作
して一般の消費者がどのような感想を持つのかを調査。見た目、性能、金額から、消費者
が購入したいと思うおもちゃを製作をすることで、ナラ枯れ材が利用されることが分かっ
た。

 
 涌井学長からは労働災害についての認識や木材流通における山側の考え方、利用されて
いないナラ枯れ材利用に向けた研究に対し、それぞれ今後に向けたアドバイスと評価があ
りました。

 
 
4.蒲 隆夫さん、「被差別部落の高齢者介護予防」
 過去本人が関わり支援しながら共に生活してきた被差別部落の高齢者を対象に、木工
を核として地域に出やすくなる環境づくりを実践。
 木工は誰に対してでも、介護予防効果になり、地域の人や子どもたちとの交流につなが
り、NPO団体職員の意識の変革など、高齢者は地域に出て行くきっかけづくりに重要だと感
じた。

5.久野茂治さん、「親子の気持ちが通い合う、木のおもちゃ開発」
 おもちゃにはコミュニケーショントイ、ヒーリングトイなどがあるが、遊びを広げるた
めの「カタカナカー」を試作し、親子がコミュニケーションをとるためのおもちゃを提
案。

 
6.多和 寛さん、「和傘の傘骨の簡易な製造方法の確立」
 和傘の傘骨となる竹加工は、岐阜市在住の60代の方2名が全国の材料を担っている。そ
こで和傘材料づくりで機械化が進んでいる骨屋と轆轤屋を引き継ぐため、割の行程を切
断、削りの行程をサンダーなどで実施し、和傘をつくってもらってその精度を検証した。

 


 学長からは、ややもすると偏見される方々や高齢者に優しい切り口で取り組んだ研究、
おもちゃを通した新しい生活環境づくり、伝統工芸のためのイノベーションについて、
評価とアドバイスがありました。

 


7.伊藤恵美さん、「山村リワークの可能性をさぐる」
 うつ病に対して農山村の資源を応用した山村リワークができないかを検証した。共感や
協力してくれる人・専門家・機関を探して、関わってくれる人が自信を持ち、笑顔になれ
る場を作りたいと感じた。
 


8.最賀哲司さん、「伝統野菜の認定制度が地域づくりに及ぼす影響」
 小さな集落で守られてきた伝統野菜は苦い・辛い・不揃・手間がかかるなどマイナスポ
イントも多い。しかし限られた地域で栽培されることで、高齢者の生き甲斐的な側面があ
り、今後それをどう継承・販売していくかが重要であることが分かった。

 国際園芸アカデミーの上田善弘学長さんから、最賀くんの今後の進路、長野県阿南町で
の活躍に向けたエール。涌井学長からは伝統野菜をつくる上での獣害に対するコメントが
ありました。


9.松浦弘典さん、「他出者の集落参画。集落復帰についての研究」
 地方では人の空洞化につづきムラの空洞化が起こり集落の限界がくる現実。そこで他出
者である自分が移住しようとする広島県大竹市で、地域住民といかにコミュニケーション
をとり、どう集落復帰するかを検討し、他出者の復帰につながるポイントを探った。

10.水野三正さん、「都市緑地に残存する天然生二次林の樹種多様性」
 名古屋市の明徳公園、猪高緑地、平和公園南部緑地などで77種の木本種を確認し、名古
屋市の都市緑地保全への提言を検討した。種多様性の観点からもこれ以上緑地を開発する
べきでなく、また緑地の利用履歴の違いによって多様性が異なり、低木層には外来種のト
ウネズミモチやヤツデなどを確認した。

 


 涌井学長からは、リワークについてSD法とPOMS法利用についての提言、身土不二の諺から伝統野菜の可能性についてのアドバイス、多くの場合観念論に陥りがちな移住について実際論で切り込んだことへのエール、都市緑地の階層構造や遷移について、HEP指標などで緑地が生態系の中でのどのような位置づけになる検証をして欲しいとの発言がありました。

 


11.梅田弾平さん、「横架材端部の仕口耐力評価」
 近年の木造住宅はプレカットが常識になりつつあるため、その仕口を評価し、仕口耐力
早見表を作成した。今後は大梁(受け梁)仕口を評価する必要性、横架材では大梁と小梁
のバランスがとれた仕口設計の必要性を確認した。
 


12.遠藤比路子さん、「空き屋てれこ活用」
 2013年に日本の空き屋率は13.5%7.4戸に1戸が空き屋)。空き屋活用とワープステイを
促進するためには、中間支援組織が必要である。そこで地域の方に信頼される空き屋イン
タープリターの活用をする。空き屋が「てれこ(人の手を入れて交互にする)」に活用さ
れれば、楽しい地域になると考える。

13.タイ カロさん、「中国向け日本産材を使った木造住宅仕様の在り方」
 中国からの留学生であるタイさんの視点で、木材の入手が困難となった中国へ日本産木
材の利用を提案する。日本の軸組工法は中国の木造建築手法に似ているため、日本の木材
(集成材)とシステム化されたドリフトピン金物工法を併せて中国に輸出する。

14.ベン ユウさん、「断熱・気密工事における施工精度向上のための取り組み」
 省エネ対策のためには、外皮性能の重要性を意識することが必要不可欠と考え、文献で
社会的課題を調査、温熱環境専門家へのインタビュー、設計者・実務者へのアンケート実
施。そして外皮性能目的を理解してもらうことと、頭でなく体験してもらう重要性を確認
した。

15.山田実那子さん、「環境と人が共有する建築」
 レイチェルカーソン女史のサイレント・スプリング、国連開発計画のミレニアム開発目
標などから、「持続可能な建築をつくるには環境と人の相互作用が必要で、その建築の中
では環境と人が共存している」という仮説を立て、その検証を実施した。

 
 さて、涌井史郎学長からは、2×42×6の工法を先取る仕口耐力評価を取り組んだ
意味、空き屋の利用に対する不動産屋さん的活動の重要性、中国と日本との比較を通
して日本の木材利用のビジネスモデルの可能性の高さ、そして断熱・気密による問題
に具体的に取り組んだことの意義、バイオクライマティックデザインから見た建築を
つきつめたことに対し評価をされました。



 さて、朝から多くの卒業生や一般の方々に混じって、森林文化アカデミーの課題研究発表を
聞いて下さった国際園芸アカデミーの上田善弘学長さんからも全体評価をいただきました。
 
 上田先生は、森林文化アカデミーの幅の広い課題研究につて、その取り組み方や内容、成果
にエールを送って下さいました。有り難うございました。
 
 最後に、涌井学長が2日間にわたる課題研究について総評。
森林文化アカデミーで過ごし、学び、身につけた実学とその成果を集大成した学生たち、
そしてそれに応援して下さった先輩たちや多くの方々、そして学生たちとともにこの
ステージまで課題研究を指導してきた教員に対して、その過程と成果を評価する内容の
言葉を述べられたのです。


 さぁ、みんな、後は論文の完成だ。まだまだ頑張って下さいよ。
以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。
http://gifuforestac.blogspot.jp/2015/02/blog-post_13.html

2015年2月23日月曜日

新しい一歩を記すための学長アドバイスに胸を熱くする。

研究の成果を語れ!森と木のエンジニア科 課題研究発表


今日は岐阜県立森林文化アカデミーの「森と木のエンジニア科」課題研究発表でした。


1.飴村泰生さんの「ハンノキ林伐採による谷津田放棄田の植生変化」
 伐採区では開空度が広くなったことで水温が高まり、植生が豊になり、植生種が別の
ものに入れ替わることも分かりました。また放棄田を掻き起こすことで、南方系植物と
北方系植物の両方が生育できる環境をつくれることが分かった。
 
 

2.池井 さんの「森と子どもをつなぐ空間づくり」
 子どもが主体となってつくるツリーハウスづくりに取り組み、ここで重要なのが大人
が子どもの能力を信じること。環境を整えること。子ども自身が積極的に森に関わる
ためにもツリーハウスが有効であった。

3.加藤洋平さんの「関市役所前の街路樹におけるイラガ類の食害」
 モミジバフウの街路樹で発生するヒロヘリアオイラガ、ヒメクロイラガの防除法を
検討。年2回発生している可能性も見られ、イラガ類が若齢時に幼虫のいる枝を切り落
とし焼却するとか、ヒメクロについては食害木の下につくる繭を除去するのが有効で
ある。

 
4.亀川侑真さんの「アーボリスト技術を応用した樹木メンテナンス」
 アーボリスト(樹護士)技術の習得とそれを応用してエノキに着生したヤドリギ100
体を切除し、アーボリスト技術とぶり縄、ラダー、高所作業車と安全性や経費を比較し
て、その有効性を確認した。


 各発表の度に、外来者や学生、教員から質問が出る。学生は四苦八苦しながら、それに答える。
クリエーター科の横内さんは何度も質問をしていました。


 5.久世達記さんの「岐阜県揖斐川町春日地区におけるチャノキ地域栽培品種系統の遺伝的変異」
 春日地区では既に1793年(寛政5年)にお茶が茶栽培されており、現存する品種の遺伝子
型を検索するため169個体の地域栽培系統を解析した。春日地区のものは宇治と同等の遺伝
的多様性があり、遺伝資源的価値が高いことが分かった。
 
6.清水一馬さんの「竹チップの肥料効果と竹林の管理について」
 竹チップは堆肥の温度上昇を促進し、堆肥化し易いことが分かっている。その効果を
ハツカダイコンの成長比較で見ると、チップは小さい方が有効で、市販の化成肥料に遜色
なく効果が高くなった。また竹林面積の1.5倍の畑に肥料を供給できることも分かった。

7.谷口大昴さんの「利用促進を目的としたコミュニティスペースの改善」
 コミュニティスペースには実用的機能や修系景的心理的機能があるため保育園での
スペースづくりを試みた。緑ある休憩スペースを設定することで、子どもたちの環境
教育にもつながると考えられた。


8.出口 さんの「効率的なヒノキの伐根処理方法の検討」
 効率的な掘削・根起こし方法を探るため、演習林のヒノキを題材に検討した結果、ヒノ
キは根が横に張るため、切り株周囲を均一に掘削するのではなく、太い側根のみを切断す
れば良く、また切り株が高い方が堀取り易いことが分かった。

9.富樫 さんの「仲介業者を介さない原木流通」
 原木を直接取引する際、加工業者側には安価に大量入荷させて選別する場合と、生産者
に選別させる方法があるが仲介業者の手数料を省けるだけでも両者にメリットがあり、自
家での木材生産に応用できる取引を模索した。

10.内木翔太さんの「自然への関心を高めるための図鑑製作」
 エピソード記憶と意味記憶を結びつけて図鑑をつくることにたどり着き、それを20種の
樹木について一般的な図鑑と試作図鑑で比較検討した結果、樹木と人との関わりを体験で
きる樹種はより記憶に残り、かた試作図鑑の有効性が認められた。

11.丹羽 さんの「淡水産紅藻類カワモズク類の生育環境とその分布」
 アカデミーの小川に生息するアオカワモズク、チャイロカワモズク、ユタカカワモズク
の3種について調査し、水温や降雨が影響し、年に2回の発生が見られることが分かっ
た。また関東の生息分布のように塩類濃度の高い水質環境でなくても生育することが分
かった。


12.羽柴草太さんの「林業と共存する森林空間利用」
 涌井学長が言われる“森林空間は木材生産だけの場ではない”を具体的に検証するた
め、冒険の森事業による林業地をアスレチック化する事業を調査。所有者は土地を貸すだ
けでも年間80万円の収入が得られ、もしも体験者多ければ、森林から得られる収益は相当
高額となる。

 
13.畑中 さんの「ヒノキ人工林の材の太さや年輪幅と樹冠幅の関係」
 演習林のヒノキの樹冠幅などを測定し、樹幹解析をした結果、樹冠幅が大きくなれば樹
冠長も大きくなり、胸高直径が大きくなることが分かった。年輪幅を均一に育てるための
樹冠幅のコントロールを意識した施業の重要性が分かった。

 
 
14.東屋憂輝さんの「皆伐放棄地の森林再生の可能性について」
 郡上市の皆伐放棄地の現状を岐阜県の“水源地域における森林整備基準”に照らして、
広葉樹の天然更新が可能かどうかを調査検討した。広葉樹林が隣接するかどうかよりも、
ササの密度の方が影響力が大きく、また有用広葉樹の更新にはほど遠いことが分かった。

 東屋さんの発表に、クリエーター科の黒木さんから質問。学生の説明不足もあり、
質問のお陰で全容が把握できることもしばしば。

 
 
15.細江康雅さんの「0.25サイズの林業機械を使った生産性の向上」
 南飛騨森林組合で利用されているベースマシン0.25サイズについて、その生産性が高い
ことの理由を探った結果、高い路網密度(100mha)、操作性を重視した機種選定(スト
ローク式)、市場価格を反映させた造材方法の指導が大きく影響していた。

 

16.松原正哉さんの「ニホンジカ等に対する食害抵抗性スギ品種の可能性」
 森林被害の7割を占めるシカの害に対し、食害抵抗性が見られる天然絞品種“雲外と中源
3号”について検討した。一般的なシカ害対策では資材費が多くかかるが、こうした品種を
導入すれば低コストの造林にもつながり、今後有効な品種であると考えた。

17.御船弘巳さんの「森林利用者の緊急時対策のための看板設置」
 何の表示もない演習林に緊急対策のための看板設置に向け、視認性などを検討した。消
防署の方にもアドバイスを頂き、連絡ポイントの携帯電話電波状況、看板の色合い、夕暮
れや夜間を考えた反射材の有無などについて検討した。

 
18.山口将吾さんの「和傘ろくろ原料の持続的供給のための森林管理について」
 和傘のろころに利用されるエゴノキを継続手に収穫するため、美濃市片知の山の駅ふく
べで、伐採後の生育状況を調査。ササの有無、切り株の高さ(高伐り)、皆伐と択伐によ
る萌芽数や枯死株の有無、シカの食害状況を検討し、高伐り皆伐区やササ残し皆伐区が有
効で、切り株は直径10cm以下の方が萌芽数が多いことも分かった。


 
 最後に涌井学長の言葉
 今回の課題研究発表は現在日本の森林・林業が抱える問題ばかりであり、そうした意味
でも価値のある発表であった。
 学長は発表者一人一人に、きめ細やかな好評をされ、学生たちの研究を評価し、明日に
向かって考えるためのアドバイスをされ、その言葉にエンジニア科の学生は皆、胸を熱く
したのです。

 今日はエンジニア科のみなさん、疲れましたか?まだ論文の集大成が待っていますの
で、最後まで頑張りましょう。

以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。

http://gifuforestac.blogspot.jp/2015/02/blog-post_24.html

 

2015年2月21日土曜日

短期技術研修「農山村サポーター交流会ぎふ2014」開催しました


山村づくり講座が毎年開催している短期技術研修「農山村サポーター交流会ぎふ(通称:農サポ)」が2月20日に森林文化アカデミーで開催されました。今年の特徴は、岐阜県「清流の国ぎふまちづくり実践隊養成講座(略称:養成講座)」と共催で開催したことです。県内の地域おこし協力隊、集落支援員をはじめ、行政担当者、地域団体、それに都市部の連携団体も集めて、過疎地域へIターンする若者達に関わる60数名が一堂に会して、実践報告と交流を行いました。


平成26年度の「養成講座」は、山村づくり講座の教員が企画運営を応援して、9月20日にスタートしました。第1回は、藻谷浩介氏の「里山資本主義に基づく地域活性化への提言」と題した基調講演に始まり、3つのコースの導入ワークショップが行われました。多くの過疎地域で地域おこし協力隊等の課題となっている①特産品づくり、②空き家活用、③ファシリテーションです。

その後、第2回~第3回は「特産品づくり研修コース」を名古屋学院大学教授の秋元浩一先生が、「空き家活用研修コース」を美濃丈プランニング事務所代表の中田誠志氏が、「ファシリテーション研修コース」を認定NPO法人ムラのミライ専務理事の竹内ゆみ子氏と森林文化アカデミーの嵯峨が、それぞれ講師を務めて見学・実習・座学などを重ねてきました。


今回は、午前中その成果発表会が「養成講座第 第4回」として行われました。①コースの発表は山県市集落支援員の山口晋一さん。山県市の農家レストラン「舟伏の里へおんせえよ~」を拠点に新たな特産品「北山おばぁがー」を開発した経緯について発表しました。


②コースの発表は東白川村地域おこし協力隊の樋口銀次郎さんと白川町地域おこし協力隊の堀大樹さん。恵那市岩村地区の空き家バンク、同市串原地区の古民家改修塾、兵庫県篠山市の古民家リノベーション事業について学んだ結果を「空き家活用のポイント」としてまとめて発表しました。


③コースの発表は下呂市地域おこし協力隊の中桐由起子さんと白川町地域おこし協力隊の山本葵さん。研修で学んだ4つのスキル(事実質問、事実にもとづく政策提案、地元学インタビュー、ファシリテーショングラフィック)を使って、任地でファシリテーションを実践した成功と失敗の成果を発表しました。


ここまででも内容ぎっしり。これらの題材をさらに掘り下げ繋ぐために、農サポ連携団体である「東海サポ人ネット」が準備したお弁当を食べながら、昼食を兼ねた交流会が行われました。養成講座の3コースに加えて、東海サポ人ネットがホストとなったフリートーク「田舎暮らし楽しんでる?」も開催。大きな会場をラティスで4つに仕切り、簡易会議用テーブル「えんたくん」も導入して、密度の濃い意見交換が行われました。




 

最後は、養成講座の講師陣4人が揃って「まちづくりトークセッション」を行いました。「新規参入人材と農山村コミュニティのコラボ」をテーマに、各コースの研修成果と課題から見えたポイントを取り出しつつ、会場の発言も交えて討論を行いました。印象的だったのは、モノの成果が見える「特産品」「空き家」も、コミュニケーションに焦点を当てる「ファシリテーション」も、同様に人と人・モノとモノの【つながり】が重要だと指摘した点、そして「このままでいいや」という沈滞ムードから【一歩ふみだす】きっかけ作りが大切だと言っていた点でした。


参加した皆さんのアンケートにも、印象に残った言葉がたくさん書き留められていました。また「新しい出会いがあって有益だった」というコメントも。2つの研修が合体した初めての試みは、内容充実で刺激的な会となりました。参加者スタッフの皆様に篤くお礼申し上げます。


記:山村づくり講座 教員 嵯峨創平

郷土工芸品フォーラム〜みんなで課題を共有する

公開イベントではないので告知していませんでしたが、2/26に森林文化アカデミーでこんなフォーラムがあります。材料の枯渇や後継者の不在など、岐阜県内の工芸品づくりに共通する課題をみんなで共有しようというものです。県庁の地域産業課のご尽力によって実現します。

このフォーラム、いくつかの点で画期的です。
まず県と市、産業課と教育委員会という垣根を超えてみんなが集まること。伝統的なものづくりには産業課が工芸品として、教育委員会が文化財として関わります。今回は県の地域産業課が主宰ですが、県の教育委員会、岐阜市・関市の教育委員会の方々も参加されます。
そして、県内の多くの作り手やメーカーの代表者の方々が一同に会すること。岐阜提灯、美濃焼、美濃和紙、岐阜和傘、岐阜うちわ、のぼり鯉、山中和紙、東濃桧製神棚、鵜籠。これだけの方々が参加してくださるのは、このような集まりへの期待があるのだろうと思います。

昔から作られてきた工芸品は地域の宝もの。それをみんなで一緒に支えよう、という気運が生まれるか。私も期待しています。

2015年2月20日金曜日

木質バイオマスは地域の未来を変えられか!?

人口1400人の村で年間に消費されているエネルギーを金額すると、なんと5億円!

ガソリン、灯油、電気代などにかかったお金は、すべて地域外に出てしまいます。
お金が地域外に出るということは、雇用が生まれず人も地域から出てしまう…


というお話からスタートしたクリエーター科「木質バイオマス資源とその利用」という授業、

今日は、実際にある町に薪ボイラーを設置することで、どれほどの効果が生まれるのか、
その試算を行いました。

講師は、同じく特定非営利活動法人 地域再生機構の森大顕さんです。


ケーススタディとしては、年間100,000ℓ程度の灯油を使用している温泉施設を想定。
規模感としては、年間10万人程度の利用者がある温泉施設とのこと。
年間1000万円程度が地域外に流出していることになります。

薪ボイラーを導入した際に、どれだけの費用対効果が出るかを試算しました。







その結果、すべてのエネルギーを薪で代替すると、

542m3の薪(原木換算)が必要になり、
548万円の費用(薪代除く)がかかることが分かりました。


そこから、サプライチェーンを考え、どれだけ原木価格に還元できるかを
考えました。





そうすると、約4400円/ m3で原木で買い取れることが分かりました。

試算には薪の加工費や原木ストックの土地代なども含め、
温泉施設の年間経費削減効果は0として、計算しています。





さらに、これまで地域内から流出していた金額のうち、
地域に取り戻せる金額を算出しました。


地域に取り戻せる金額は、原木代金だけではありません。
薪の加工費や、ボイラーの運営人件費、灰の処分代など、いろいろ雇用が生まれます。

合計すると、年間で470万円を地域内に取り戻せることが分かりました。
1世帯分の所得を賄うことができます。4人家族であれば、町内人口も4人の増加です。



今日は、以上のように、だいたいの相場感を掴んだり、バイオマス導入の試算を行う際の考え方を理解するために、シミュレーションを行いました。


さて、全体を通してのまとめです。

地域にバイオマス利用を導入する際に大事なことは、

① 実情をしらないコンサルの試算結果を鵜呑みにしない
 ・ 薪の比重を考慮に入れているか、ボイラーのエネルギー効率を過大評価していないか
  いろいろ落とし穴があります。

 ・ 実際に他の事例の視察を行ったり、聞いたり、実情をよく知る人から情報を集めることが大事です。


② 経済効果だけでバイオマス利用を考えない
 ・ 例えば薪ボイラーに関して、どこでもかしこも重油削減効果が出るわけではありません。間違った設計をすると、逆に赤字が膨らむことにもなりかねません。重油の削減効果だけではなく、地域の雇用が増えたり、資源を使うというメリットもあります。

 ・  経済効果だけでバイオマス利用を進めるのではなく、もっと大きなビジョンが必要です。この前のグループワークでは、「町民全体で町を活性化する」という目的を立てましたが、こういう大きな目的の設定が大事です。







木質バイオマスは地域の未来を変えられる! 

しかし、人任せではなく、地域の人がビジョンを考え、ボイラーの選定やサプライチェーンの設計含めて、自分たちで決断し、誇りのもてる仕組みづくりを構築することがが大事ということですね。


講義をして頂いた、地域再生機構の森様ありがとうございました!!



2015年2月19日木曜日

駅前山村留学の第一回目を実施してきました!

昨晩,岐阜駅前の岐阜シティ・タワー43で駅前山村留学を実施しました。駅前山村留学は本学の山村づくり講座での学びをアクセスの良い岐阜駅前で体験してもらおうという趣旨のもと,企画されました。今回は第一回目ということで「山村の隠れた名品を訪ねる旅」という内容で,卒業生の柏春菜さんと在学生の前原融さんに,それぞれの取組をお話してもらいました。

柏さんの発表では「岐阜県郡上市明宝へ,ようこそ」というタイトルで郡上市明宝の魅力を紹介してもらいました。そして,現在,柏さんが明宝ツーリズムネットワークセンターで取り組んでいる「体験観光ツアー」についても紹介してもらいました。

そのコンセプトは「今ある地域資源を活かす!」です。郡上市明宝では,「農家民泊」や「寒水(かのみず)踊りと下駄づくりワークショップツアー」,「日出雲のめぐみ田植え・稲刈り体験会」などを実施しているとのこと。春夏秋冬と季節ごとのイベントが目白押しです。詳しく知りたい方は明宝ツーリズムネットワークセンターのブログを御覧ください。

続いて,前原さんの発表では,前原さんが人生をかけて?岐阜県高山市朝日町で取り組んでいる「わらび粉プロジェクト」について紹介してもらいました。

「皆さんは本物のわらびもちを食べたことがありますか?」との問いかけから始まり,ワラビの地下茎を掘るところから始まる伝統的なわらび粉づくりの話に,みんな聞き入ってしまいました。

その後,前原さんによるわらび餅づくりの実演がありました。本物のわらび粉でできた,のびーるわらび餅に参加者のみなさんもおどろいていました。

二人の話には参加者からも活発な質問があり,1時間半の予定時間はあっという間に終わってしまいました。参加いただいた皆さま,ありがとうございました。第二回の内容や時期はまだ未定ですが,どうぞお楽しみに!

2015年2月17日火曜日

駅前オープンキャンパスは来週です!

岐阜シティ・タワー43で開催の駅前オープンキャンパスが来週末にせまりました。アカデミーへの入学を検討されている方はこの機会にぜひお越し下さい!

場所:岐阜シティ・タワー43 2階 特設会場
アクセス抜群! JR岐阜駅に隣接,名古屋駅からも18分と近いです

2月26日(木)18:00〜20:00 林業再生講座,山村づくり講座
2月27日(金)18:00〜20:00 木造建築講座,ものづくり講座

18:00〜19:00 各講座の学びと進路について30分ずつ説明
19:00〜20:00 講座ごとに個別相談

来年度入学希望者もまだ間に合います!

希望者はこのリンク先のフォームから登録をお願いします。締め切りは2/25(水)16:30までです。もちろん当日参加も可です。どんどんご応募下さい!