2013年8月28日水曜日

「行燈(あんどん)づくり」参加者募集(小中学生対象)

[みの木育寺子屋オープン講座] 
『行燈(あんどん)づくり』

―美濃の心の『灯り』をつくろう―

トントンカチカチ「げんのう」を使って、ホオノキの「あんどん」をつくろう
 
 
森林文化アカデミーでは、美濃市教育委員会と連携し
「みの寺子屋オープン講座『行燈(あんどん)づくり』~美濃のこころの「灯り」をつくろう~」
を実施します。
 

日時  平成25106日(日)
         [午前の部]    9301200 (2時間30分)
      [午後の部] 13301600 (2時間30分)
 
会場   岐阜県立森林文化アカデミー「森の情報センター」 
    
対象者   小中学生(小学13年生は保護者同伴)

 定 員  午前の部・午後の部とも10(先着順、定員になり次第締切ります)

参加費  300円(当日徴収します)

  申込方法  所定の申込書(申込書は美濃市教育委員会にあります)に 必要事項を
                           記入して下記期間に教育委員会人づくり文化課までお申込みください。
  申込期間  99日(月)~ 927日(金)
☆ 問・申込先 美濃市教育委員会人づくり文化課(0575-35-2711)
 

2013年8月24日土曜日

森林所有者に森林経営計画を提案せよ! 第9回 施業プランナー 育成研修

森林経営計画で「林業のテーマパーク」を提案 施業プランナー研修


 今回で折り返しとなる施業プランナー育成研修の第9回目、今回は森林文化アカデミーの演習
林33haを題材に、森林経営計画をたてて、森林の管理方針を所有者に概要説明することを目的
とした研修です。

 これまで演習林ではプロット調査や作業道線形踏査など様々な研修を実施してきました。今回は
その演習林の広葉樹林、スラッシュマツ林、ヒノキ約50年生林、スギ約50年生林、ヒノキ約100年生
林を対象に、生産林と環境保全林に区分し、それをどのように管理して、経営して行くかを検討し
ました。



 先週から事前にもらっていた森林簿データや森林基本図、林小班図をもとに各自が事前に練っ
た私案をグループ内で協議し、4つのグループで独自の森林経営計画をつくるため、再度、演習
林での最終チェックに向かいました。


 研修室に戻ってから、各グループともしばしの作戦タイムの後、パワーポイントによるプレゼンの
ためのスライドづくりに入ります。


 事前に意思統一して、現場に行ったのに、戻っていざ骨子をまとめると、方向性が変わっている。

 JIRIからは以下のような、指令がホワイトボードに示される。


 1.森林経営計画そのものが説明できているか?
 2.目標林型が素人でもわかるように具体的に表現されているか?年齢ではない大きさ。
 3.将来的に「この山」をどう経営するのかが語られているか?
 4.全体的(33ha)に語られているか?
 5.施業について、内容や目的、目標が明確か?




さて、午前中から午後3時までかかって、やっとプレゼン資料の素案ができました。

 発表です。

 最初のグループは、下の図の右側の緑色の部分は「環境林」、青色の部分は「木材生産林」と
し、環境林は広葉樹の育成。生産林は作業道のあるところは、定期的な利用間伐で収入を上げ
るが、作業道から遠い範囲は切り捨てのみで、主伐時に架線集材する。・・・・・何とも、切り捨て
がもったいないプレゼン。・・・これで所有者は納得するのか。

 また環境林の広葉樹林も施業について、踏み込み切れていない。



 作業道は現在ある幅員2mほどのキャタトラ道を幅員3mに拡幅して利用する。拡幅に要する経
費は立木で相殺する。



 現在、約50年生のスギ林は、100年生で直径80cmを目指す。林分イメージは下の写真。



 現在、約50年生のヒノキ林は、80年生で直径40cmを目指す。それまでは利用間伐。
林分のイメージは下の写真。


 現在、100年生の林分は全体の面積の14%ほど、これは道際は利用間伐するが、今後どうする
かは、120年生の時に再検討する。



 各グループが様々な経営計画を立て、グループによっては現在約50年生のヒノキ林が平均直径
24cmで、1,200本/haのところは樹冠が込んできているので今回間伐するが、100年生で直径
50cmのところは500本/haで樹冠が接していないので間伐しない。スギ50年生で直径28cmのとこ
ろは700本/haで樹冠が込んできているので間伐する。

 またグループによっては、ヒノキは土台材が売れているので、直径24cm以上の小曲材を利用間
伐するとかの提案もありました。



 最後の4つめのグループの発表は、
   「林業のテーマパークをつくる」 というもの



 この33haには様々な林分が混在しているので
   それを「人に見せる」 つまり「林業のテーマパーク」を提案する。

 林分は各々、研修林、体験林、モデル林、指標林、レクレーション林、木材生産林とし、
森林林業のモデル地区としての情報発信拠点として位置づける。

 ヒノキ50年生林分は直径26cmほどになる80年生まで、10年間隔で利用間伐し、80年生で主伐
し、再造林地や美濃市特産のコウゾ造林地も設定する。
 100年生林分は見本林として、適正に管理し、適度に択伐する。

 森林空間を「林業空間」としてだけで考えるのではなく、「多用な森業空間」として、位置づけ
様々な体験活動などでも収入が上げられるような場所をつくる。

 こんな発表もありました。

 最後に、発表を聞いて頂いた横井先生からは、様々なコメントを頂きましたが、
  「施業プランの積み重ねることで森林経営計画という大きな方向性が見えてくる」などの意見も
頂きました。

 今回も暑い中、皆さんご苦労様でした。

以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。

2013年8月23日金曜日

下呂市馬瀬植生調査報告



下呂市馬瀬では合併前から「馬瀬地方自然公園づくり委員会」を中心に馬瀬地域を自然公園に指定し、地域活性の取組をすすめています。

 山村づくり講座では委員会と共に下呂市馬瀬でエコミュージアム設立のための自然資源調査をしています。今回は風景林調査ということで、惣島地区の通称「佐口山」の植生を調べました。


調査地の入口には鉄柵があり、シカが里地へ入ってこないように仕切って有りました。この地域でのシカによる獣害は深刻そうです。







途中に廃屋が1軒あり、生活の営みの跡が感じられます。日本各地の山村がこのようになりつつあるのが残念です。









 廃屋の入口付近には沢水を使った洗い場のようなものがありました。







シカ柵から歩いて30分、ようやく調査地に到着。予想通り林内は礫だらけ。今にでも落石に遭いそうな気分です。注意深く巻尺で長さ50m幅5mの調査範囲を設定しました。


若いS君が巻尺をもって斜面を上がっていったのですが、なにせ傾斜50度の急斜面! 登るのにハアハア降りるのにヒヤヒヤ。安全第一で準備OK.さあこれから毎木調査スタートです。

1本1本の樹種名、胸高直径、階層、起点からの位置を記入、そしてその場で同定できないのは、葉を採取し樹皮の写真を取り、アカデミーに帰って図鑑で調べる。それでもわからないものは、先生に尋ねる。

 途中途中でヒルが足元から上ってないか、背中に付いてないかを互いにチェックし、又誤って石を下に落としても助かるように、一直線に並ばないように、声をかけ合って注意して測定しました。

残り10mのとこで突然S君の悲鳴。何だと思って見ると、S君が手袋を投げ捨てて「ハチハチハチ」と言いながらこちらへ逃げてきました。そう、S君がある高木を測定し終わったその時にハチの襲撃があったのです。手袋の上から刺されて針が届かなかったのが幸いでした。高木の下の石の隙間にハチの巣らしきものが見え、その上を数匹のハチが旋回していました。どうやらアシナガバチのようです。



ハチ騒動が静まるまで、巣から離れた場所で調査を続行し、それから徐々に巣の近くの未調査場所へ移動。恐る恐る測定をし、調査終了。巻尺を撤収し、ハチの巣を迂回して降りてきました。


今回の調査地は礫がちの急斜面のためか、フサザクラやキブシが優占、その他にイイギリ、ウワミズザクラ、ケケンポナシ、イタヤカエデ、シロモジ、シラキ、そしてチドリノキが生育していました。針葉樹はカヤのみでそれも低木がほとんど。やはり山崩れが頻繁に起きていて、更新しても高木に成長できないのでしょう。


今日もいろいろ有りましたが何とか無事に終了。明日はデータ整理と解析です。それが終わったらまた現地調査に入ります。いろいろあって緊張のし通しでしたが、充実した1日でした。

自然の調査は一区切りですが、馬瀬での調査は社会科学的な調査も含めてまだまだ続きます。またご報告しようと思います。









クリエーター科 山村づくり講座2年 天池信正

明宝中学校の「聞き書き」授業4回目~作品化に向けた編集ワークショップ


郡上市立明宝中学校の総合学習の時間で進めてきた「聞き書き」授業も今日で最終回。生徒達が頑張って書き起こした原稿用紙の束が頼もしいです。1人10分で約10枚、聞き書き時間が40分弱だから、1グループにつき40枚の素材が揃ったことになります。

これを今日は、作品化へ向けて「文末の整理」「文章の刈り込み」「小見出し付け」などの個人作業を行い、グループ全員で作品全体の流れを構成し、最後にタイトルを付けます。ちょうど夏の日差しが強く照る下で、向こうの山の緑を背景に向日葵が元気よく咲き誇っています。



前半は「個人編集作業」といって、録音した通りに全てを文字化している原稿を整理していく作業です。間投句や言い間違えを削除し、あいまいな文末を補い、聞き手の問いを文章を語り手さんの一人語りの形に直し、同じ内容の繰り返しや同内容の段落を整理していきます。こうすることで、まるで「問わず語り」のような形で、お年寄りの人生史の語りが浮かび上がってきます。アカデミーの学生も各グループに張り付いて中学生の作業をサポートしました。生徒達はかなり集中して、ちょっと疲れたみたい。




後半は「「グループ編集作業」です。前半の作業が完了していないグループもあったけれど、生徒達の疲れ具合をみて、グループで手を動かせる作業に切り替えました。語り手さんのお話に段落ごとに小見出しを付け、それをハサミで切り取って台紙に貼り付けていきます。この台紙を並べた長~いテーブルを囲んで、お話の流れを読者にも理解しやすいように整理し、さらに段落ごとの文章も刈り込んでいきます。




通常「聞き書き」の作業では、最初の素材原稿から作品原稿まで作業をすると、分量は1/8~1/10になると言われています。今回はそこまで整理できなませんでしたが、夏の暑い環境の中で、中学生かなり粘って作業を完成させてくれました。作品タイトルも『山菜が好きになった理由』、『農業の苦労と農業の・・・』、『野菜づくり~今と昔のちがい』、『どじょうまい』、『やらんことなし』、『ケチャップ一筋二十年』と決まりました!


この後の編集作業から「聞き書き集」小冊子の完成までは、明宝振興事務所とNPOななしんぼの編集者が引き取ってくれます。秋にはきっと素敵な小冊子が出来上がることでしょう。中学生のみんな楽しみに待っていてね。後日、中学校の先生達と反省会を持ちましたが、「今年は手探りで大変だったが、生徒達の表情は意欲的だったし、お年寄りも大変感謝してくださった。」「ぜひ続けましょう。」とのお言葉を戴きました。明宝中学校の「聞き書き」授業;中学校~地域活性化~外部専門機関(森林文化アカデミー)の連携モデルとして、定着・普及していくと良いですね。


記: 山村づくり講座 嵯峨創平

2013年8月22日木曜日

日本の和傘 絶滅の危機を救え〜エゴノキ・プロジェクト

 ものづくりの教員・久津輪です。今年1月に実施したエゴノキ・プロジェクトのことを、岐阜県山林協会の機関誌「森林のたより」に書きました。このブログでは紹介していなかったので、ここに転載します。なお、このプロジェクトがきっかけとなり、2つの新しい動きがあります。そのニュースは文末に。



 岐阜は日本一の和傘の産地ですが、和傘づくりにエゴノキが欠かせないのはご存知でしょうか。竹の骨をつなぐ「傘ロクロ」と呼ばれる部品に使います。細かい刻みを入れても折れない粘り強さが求められ、他の樹種では替えがききません。岐阜では昔からこの樹を「ロクロギ」と呼んできました。

 いま、岐阜はもとより全国の和傘づくりは困難な状況にあります。中でもそれを象徴するのがこの傘ロクロです。これを作るのは全国でも岐南町にある木工所、一軒だけ。後継者はありません。そしてこの木工所へエゴノキを納めていた人が県内にいたのですが、その方が去年亡くなってしまったのです。それは、日本の和傘づくりが絶滅しかねないということを意味します。

 和傘づくりの最盛期は戦後間もない昭和25年頃。岐阜だけで月間100万本もの傘が作られたといいます。そのため傘づくりは、傘骨、傘ロクロ、紙貼りなど高度に分業化され、必要な材料も専門の人に任せておけば納めてもらうことができました。山側もエゴノキを集めるのは簡単でした。炭焼き用に伐った雑木から選り分けておけば、炭より高い値段で和傘業者に売れたのです。

 しかし今エゴノキを集めるには、それだけを探して山を歩かなければなりません。しかも通直で節がなく、直径が5センチ程度と、和傘に使うには様々な条件があるのです。森林文化アカデミーでは和傘業界からの情報を聞いて去年の夏から県内各地で調べてきましたが、山に入る人が高齢化している、価格が見合わない、太さや形状が条件に合わないなどの理由で、まとまった量のエゴノキを調達できるところは見つかりませんでした。

 諦めかけていた昨年末、たまたま訪れた美濃市・片知地区で、まっすぐなエゴノキに出会いました。地元の方は子どもの頃、この森で小遣い稼ぎにエゴノキを伐っていたのだそうです。そこで地元の林業グループ、岐阜の和傘業界、森林文化アカデミーの教員や学生に呼びかけ、エゴノキ・プロジェクトを立ち上げました。片知の森で全国の和傘づくりに必要なエゴノキ1年分、400本を採取しようというイベントです。ブログやfacebookなどでも情報発信したところ、東京や鳥取からも和傘に関わる人たちが集まってくれました。

 プロジェクトでは、エゴノキを継続的に採取するための新しい仕組みづくりを心がけました。分業でやってきた山側の人と材を利用する和傘業界の人が、顔の見える関係をつくり一緒に作業すること。雑木林のエゴノキがどんな美しい和傘に生まれ変わるのか、職人さんから山側の人に伝えてもらうこと。金銭的に見合わない部分を補うため、教育として学生たちにも関わってもらうこと。さらに一般市民にも呼びかけて、楽しく学びながら地元が誇る伝統工芸を支えてもらうこと。

 プロジェクトには50人もの人が集まり、2日間で500本のエゴノキを伐り出すことができました。しかも品質は、これまで傘ロクロづくりに携わってきた職人さんが最高級と讃えるものでした。この成果は、地元の森を生かす活動をする人たちにも、和傘業界の人たちにも、大きな励みになったようです。

 そして2年目の今年、さらに新しい取り組みが始まっています。森林文化アカデミーの学生1人が地元林業グループと共同で、エゴノキの資源量調査を実施中です。和傘用に持続的に採取できるか、去年伐った株からの萌芽の状態はどうか、シカの食害はどうかなど、植物生態学の教員の指導のもと調査を続けています。またエゴノキ・プロジェクトの参加者の中から、傘ロクロ職人の後継者をめざして1人が森林文化アカデミーに入学しました。彼には木工の基礎を学んでもらい、和傘業界へ送り出すことにしています。


 森林文化アカデミーの役割は、豊かな森林文化を次の世代に伝えるために、森を育て、人を育て、社会のしくみをつくること。エゴノキ・プロジェクトは、その具体的な実践例のひとつです。



 さて、ニュースを2つ。
(1)今年のエゴノキ・プロジェクトが11月23日(土)に決まりました。全国の和傘職人さんたちも参加してくれることになっています。
(2)傘ロクロをつくる職人、長屋一男さんが、国土緑化推進機構が選ぶ「森の名手・名人」に認定されました。森林文化アカデミー学生のインターンシップ受け入れなど、後継者育成に取り組んでいることも評価されました。おめでとうございます!


木造建築の新しいかたち(その30)【短期技術研修:耐震セミナー(第3回)】

構造を勉強するときに、いくつか大きな山場を迎えます。
最初に遭遇する難所の頂きは、「柱軸力」拾いです。

私も学生の頃、この柱軸力で悩んだ日々を送っておりました。
今でもこの頃のことを夢でうなされています(笑)

きっと、この短期技術研修に参加している皆さんも悪夢を見ることになるでしょう(笑)


ここを乗り越えると構造をちょっと好きになることができますが、ここで断念すると構造嫌いになってしまいます。


第3回は、その「柱軸力」について。参加者の皆さんは、構造が好きになってくれたでしょうか。

柱軸力は講義すべきポイントがたくさんあります。

柱軸力は難しい。

この日は講義が盛り上がってしまいましたので、予定を演習は第4回に繰り下げました。

2013年8月21日水曜日

木造建築の新しいかたち(その29)

アカデミーでは、いろいろな方々とコラボレーションしています。
アカデミーの自力建設プロジェクトにて、岐阜市立女子短期大学の皆さんがコラボレーションしました。
今年度の自力建設プロジェクトの土工事と、2005年度自力建設プロジェクトの建物「SWITCH」(駐輪場)の塗装工事を1泊2日で体験しました。

まずは、講義をしました。

まずは講義から。

次に塗装の前処理として、紙ヤスリでひたすら磨きました。
塗装の研修です。まずは前処理。

非常に綺麗に塗装することができました。

綺麗になりました(1)。

逆光ですが・・・、綺麗になりました(2)。



2013年8月20日火曜日

木造建築の新しいかたち(その28) 常時微動測定機VSスマートフォン

建物は人が感じない程度の揺れで常に振動しています(常時微動)が、その振動を測定することを「常時微動測定」といいます。

近年の研究成果から、常時微動測定の結果からは、建物の剛性や最大耐力、地震を受けた際の損傷状況、耐震補強効果などを推定することができます。

従って、新築の住宅はもちろんのこと、既存の住宅の測定依頼も非常に多いですし、社寺建築や学校建築などの測定も増えてきています。


私はコツコツ木造建築の常時微動想定を実施してきているのですが、スマートフォンにも加速度計がついているので、スマートフォンでも常時微動測定をすることができないかどうかをアカデミーの建物で検証してみました。


スマートフォン・アプリもなかなかやりますね。


常時微動測定機VSスマートフォン

検証結果は・・・。アカデミーの授業「木造建築病理学」の中でお話し致しますので、学生さんや科目等履修生になられている実務者の方々は、お楽しみにしていて下さい。

木造建築の新しいかたち(その27)【短期技術研修:耐震セミナー(第2回)】

2013年度の森林文化アカデミーの短期技術研修では、仕事帰りの夜間(18:00~21:00)に、全10回実施する連続講座として、火曜(通う)寺子屋と称して、耐震セミナーを実施しています。
この耐震セミナーの目的は、木造建築の許容応力度計算方法のマスターです。
各回の前半は講義、後半は演習という形式で実施しています。

今年度は20名程度が受講しています。

第2回目は、「荷重・外力の計算」について。

遠路はるばる参加なさっている方もおります。岐阜では、大垣、揖斐、中津川などからも参加しておりますし、大阪から参加している方もおります。

演習を真剣に取り組んでいます。

講義も真剣です。

毎回3時間の中で講義と演習を実施していますので、どうしても宿題が多く出てしまいます。宿題なんて、何十年か振りの方々ばかりです。しかし、参加者の皆さんは宿題をこなした上で、次の回へ出席して戴いています。


2013年8月19日月曜日

「平均集材距離を小さくする路網計画」 路網計画支援ツールの利用  施業プランナー技術維持研修第2回開催

路網計画支援ツールで作業路計画を評価する 技術維持研修第2回



 森林文化アカデミーのJIRIです。今回、平成25年度「施業プランナー技術維持研修」の第2回目
を開催しました。
 題目は「ITを活用した路網開設にかかる評価」として、岐阜県森林研究所の古川部長研究員
んと、臼田専門研究員さんに講師をお願いして、路網評価におけるアナログツールの活用から
デジタルツールの活用について、ご指導頂きました。



 森林作業システムと路網は切っても切り離せない関係にあるが、路網の評価には地形の数値化
が必要となります。

 施業地の平均傾斜、高いところと低いところの差をあらわす起伏量、谷の密度など、地形指数による量的把握が重要。

 平均傾斜の把握には、寺田法や方眼法、ホートン法などがありますが、今回は寺田法とホートン
法を合わせたような手法で実施。


 上の写真は1/50,000の地形図を見た場合の想定です。
 これが見慣れた森林計画図(施業図)ならば1/5,000なので、平均傾斜の求め方は異なります。

1/5,000の平均傾斜 Ii=(N×h)/(4×r)、N:円周と交わる等高線数、h:等高線間隔、r:半径


 アナログな手法で地形指数 I を求めて、緩、中、急、急峻にランク分けします。
下の写真のように半径5mmと10mmの二重円定規をつかって、等高線との「交点」を数えます。
これが相当大変な作業、・・・・時間がどんどん過ぎて行く!



 施業団地の面積を求め、谷の数を数え、谷密度を計算して、地形指数を求めます。
手で計算すると本当に大変。・・・これでは、仕事になりません。



 さてさて、お次は「路網配置と平均集材距離」についてです。

  路網計画では、
     「平均集材距離を小さくする路線計画」が重要だよね!


 平均集材距離という考え方、重要なのになかなか普及しない。・・・なんで!
①手作業での算出に手間がかかる。
②コンピュータではプログラミングが必要。
③GISを利用するには、精度や普及率などのハードルもある。加えて、GISソフトは平均集材距離
  を計測できるような機能を有していない。

 岐阜県森林研究所には、岐阜県下各地の斜面の傾斜分布も完備しており、これも利用して
対象林分のデータを駆使すれば、なんとかなるかも?


 ちなみに点格子法によって、平均集材距離を推定してみましたが、みな大変な作業にウンザリ。


 基本を学ぶためには、アナログな解析の経験も重要。
各自が一生懸命に計算していきます。


 さて、アナログ手法で苦労した後は、路網計画支援ツールで入力してみると、なんと一瞬で
路網からの平均集材距離が計算され 、図化されました。



 また、数値化したものを表示させることも、いとも簡単!

  


 この路網計画支援ツールは森林研究所の古川部長と、東京農工大学の松本先生によるソフト
です。

 まだ開発途中とのことですが、森林所有者に説明するツールの一つとして、利用価値のある
ソフトなのです。

 
 さて、技術維持研修ご参加のみなさん、今回の技術も熟練すれば、また一つステップアップする
ことになります。頑張って下さい。
 次回は現場研修です。間伐地と無間伐地での水収支のモニタリング研修です。
 
以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。