エンジニア科1年生の『伐木造材実習』、本日は非常勤講師の江崎林業代表、江崎尚史さん
指導によるアカマツのマツ枯れ立木伐採です。 サポートは杉本先生とJIRIです。
今回は岐阜県森林研究所駐車場上にある樹高20m~26mの約50年生マツ枯れ被害木など
3本の伐採です。
最初に、「本日向かう立木はどれか」、全員で駐車場から見上げました。
写真中央に、3本のアカマツがありますが、これすべてが伐採対象です。下から見るとまっすぐ
のように見えますが、近づくと相当な曲がりがあり、しかも手前側(斜面下側)に傾いています。
伐採に当たって、塩で清め、御神酒を捧げ、「山の神」への儀礼をします。
これは江崎林業の作法に則り、学生も一緒に、アカマツの命を頂くことと、作業の無事を併せて
執り行いました。
伐採者、一番手は岐阜県出身の山口くん。 今日はハスクバーナの560を操作しています。
江崎さんが見守る中、大型で相当切れ味の良いチェンソーに、ドキドキしながらの作業です。
直径50cmほどですが、ガイドバーが長いので、一方向からスイスイ切ることができます。
斜面に斜立しているので、アカマツの木材繊維に直角になるよう受口や追い口を切るため、
一見斜めに切っているように見える切削面をつくる必要があります。
作成した受口は斜面に平行(アカマツの木材繊維に垂直になるよう)作成されています。
幹に巻き付けてある細いワイヤーロープは、幹の裂け止めです。
山口君が作成した受口について、江崎さんが解説。
向きはどうか? 深さはどうか? 角度はどうか? 総合的に「良い受口」であったので、一安心。
最終仕上げの追い口切りは、受口下面から指3本分上に決定。 クサビを打ち込みながら、
切り進みます。
伐採は切削ヶ所だけでなく、周辺にも気を配りながらですので、山口君も上下左右に気を配り
ながら切り進みました。
裏方では、アカマツに掛けられたチルホールワイヤーを引いています。原田君が、合図に併せて
ワイヤーを緊張させます。 ワイヤーは引きすぎても、緩くてもダメ!
切り方と息のあった作業ができて、安全な伐採が成立します。
共同作業の結果、20m以上のアカマツが目標通りに横倒しになって行きました。
周辺に生えていた広葉樹を傷めることなく、バッチリ伐採でき、倒れ込む瞬間です。
自分が伐ったアカマツの丸太と山口君。
「安定良し!」のかけ声の後、江崎さんが造材して下さった丸太とツーショット!
緊張した瞬間から、安堵の時間に!
二番手は浜松市出身の安間君。
彼は共立のチェンソーで受口づくり、やはり江崎さんが寄り添って、アドバイスしながら切り進み
ます。
このアカマツは3本中、最も斜立し、かつ曲がっています。 厄介なアカマツです。
写真の受口では、どこに倒れるのか不安に感じるかもしれませんが、これも木材の繊維に直角
に切断しているためです。
どれほど曲がっているのか。 この写真で確認して下さい。本当に弓なりです。
これを等高線上、つまり受口方向に倒す必要があるのです。
横から撮影すると、受口も、アカマツの傾きも、ヤバイよね! でもこれでOKなんです。
安間君は江崎さんの手助けを受けながら、追い口を切っていきます。
これまた、見事に狙った方向に倒れていきました。 この写真は着地する少し前の瞬間写真
です。株元もズレることなく、見事に着地しました。
さて、3本目の伐採下準備です。
枯れたアカマツにチルホールワイヤーを掛けるため、安全帯をつけてペッカーラダーに登り
作業をします。
三番目の伐採手は茨城県出身の河合君。
江崎さんのアドバイスを聞きながら、必死にチェンソーのエンジンを回します。
このアカマツは3本のうち、最も枯損が進行しており、木材も乾燥しています。
しかも樹高は26mと太さの割には高い。
乾燥した木材であるため、材の粘りが少なく、緊張しながらの作業が続きます。
受口を作った後、上方確認。 そして、追い口を入れる高さを確認。
「アカマツは枯れている」 「木材は乾燥している」 「木材の強度は弱い」 「風が吹いている」
・・・・・だから、受口下面から指一本上を追い口ラインとする。
追い口ラインが決定したら、いざ伐採!!
江崎さんのサポートを受けながら、追い口を切り進みます。 ここで重要なのは伐り過ぎない
こと。 どこで止めるか、どれくらいの「ツル(Hinge)」をつくるかの見極めが重要。
さて、3本の伐採が終了したので、
学生全員で「山の神」に仕事の終了とお礼の「二礼二拍手一礼」をして下山したのです。
これも江崎林業の習わしを体験したのです。
今回は森林研究所からの御依頼に応えての作業でしたが、単に作業したのでなく、誰かの
お役に立てた充実感を感じながら、明日に備えて機械整備をしたのです。
以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。