2011年9月28日水曜日

吉野林業地を視察しました

 9月19日~21日の3日間、横井先生と林業再生講座の1年生4人は授業の一環で
「森林施業研究会現地検討会(奈良合宿)」に参加してきました。奈良県吉野という
全国有数の林業地を見学してきましたので、その様子をご紹介します。
 
 その前に少し「吉野林業」についてご紹介します。吉野林業といわれている地域は
奈良県の中部を流れている吉野川上流域にある川上村、東吉野村、黒滝村の3村で
構成されている地域を指します。吉野地方では古くから人工造林が行われ、1500年頃
��室町時代!!)に川上村で造林が行われた記録が残っているそうです。さすがに
その時代から残っている林はありませんが、200年生や250年生の人工林を見学して
きたので写真と合わせてご覧下さい。


1日目[9月19日(月)]

 台風15号の直撃が心配される中、奈良県へ出発。
 到着して、まずは奈良県黒滝村で山守※をされている大西さんに90年生や120年生の
人工林を紹介していただきました。

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 吉野では密植して年輪幅の狭い木材をつくることを目的に人工林をつくってきました。
もちろんそのままでは樹が成長できないので間伐を行い、最初1ha当たり6500本植えた
林を120年生では1ha当たり約300本にまで本数を減らします。40年生、50年生の人工林
しか見たことがなかったので、100年生を越える人工林は人工林ではないような不思議な
林でした。

 そして、驚いたことに間伐した材はヘリコプターで集めるとのことです。木材の単価が
高い吉野ならではの集材方法です。

※吉野では「山守制度」といって、山の所有者と管理者が別という方法がとられています。
山守さんは山林の保護管理、経営を山林所有者(山持ちさん)の代わりに行っています。

2日目[9月20日(火)]

 2日目は昨日も案内してくださった大西さんに、250年生のスギの伐採跡地を見せていた
だきました。

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 吉野では伐採後丸太をすぐに市場に運ぶのではなく、6~12ヵ月は林内に放置し「渋抜き
��葉枯らし)」を行います。葉が付いている穂先が斜面の上になるように倒し自然乾燥すると
木材の色が良くなるそうです。

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 250年生のスギ。同級生の野村君がこんなに小さく見えます(黄色い服の人が見えますか?)。

 午後は清光林業さん(アカデミーの卒業生が2名働いていらっしゃいます)の人工林を見学
しました。

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 清光林業さんでは従来のヘリコプター集材に加え、材価の安い若齢の間伐材は林道を
つくって搬出しています。伝統的な吉野林業をやりながら、低コストで仕事をすることにも力を
入れている企業さんです。時代に合わせて林業の経営方法を変える。しかし伝統は守る
という姿を拝見し、とても勉強になりました。

3日目[9月21日(水)]

 最終日です。当初の予定では大台ケ原(奈良県南部上北山村)でシカの食害などを
見学する予定でしたが、台風15号の影響で断念。本日は予定変更で市場と樽丸工場を
見学しました。

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 こちらは「競(せり)」の様子です。吉野では競で木材の値段を決めています(岐阜県の
木材市場の多くは入札という形で木材の価格を決めています)。競人が「さ~いこうか、
2万円、2万5千いこうか、2万5千円。ちゃりん♪(値段が決定したら鐘を鳴らす)」というように、
魚市場のような掛け声で、リズム良く次から次へと木材価格を決定していきます。入札だと
紙に希望の値段を書いて木材を購入するという方法なので、競人が必要なく、いつでも
どこでもできるというメリットがありますが、売れない木材も出てきてしまうそうです。競をする
ことで、売れ残りがないというメリットはありますが、競ができる人が必要ということで最近では
競をしない市場が全国的には多いそうです。どちらがいいというのははっきり言えないそうですが、
あの競のリズムが聞けなくなるのは何だか寂しい気もするので、木材の競が残っている吉野は
貴重な存在だと思いました。

 最後に樽丸作りの工場を訪れました。樽丸とは酒樽の材料である吉野杉を樽の測板の
形に割った材料のことです。

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 完成品の「樽丸」。樽作りを行っている大阪の伊丹などに送るそうです。
 
 「樽丸」作りの工程をご紹介します。

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 まず丸太を割ります。今は機械で丸太を割るそうですが、昔は写真のように丸太に”大割包丁”や
“ヨキ(斧)”を刺して、その上から木ヅチで叩いて割っていたそうです。吉野杉は繊維がキレイに
通っているので、意外と力を入れずに割れるとのこと。

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 次に職人さんが先程割った木片をさらに5分割して“クレ”という板をつくっていきます。
 そのクレの厚さをそろえて出来上がりです。

 この削り方、どこかで見たことがある!と思ったら、アカデミーの木工の先生、久津輪先生が
行っている「グリーンウッドワーク」と同じような方法です。久津輪先生はグリーンウッドワークを
イギリスから学んだそうですが、日本でも昔からこのようなスタイルで木を削っていたのですね。
 
 これで奈良合宿全行程が終了しました。
 200年を越えるスギを見たり、木材市場を見学したり、樽丸づくりの職人技を見たり、吉野林業
大満喫の3日間でした。

☆おまけ☆

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 1日目、2日目の夜(夕飯を食べた後)にセミナーが行われた際の横井先生です。こんなラフな
姿で講義をする横井先生を初めて見ました!しかもこの写真、夜21:30に撮影・・・。参加者は
森林総合研究所の研究者や大学教授が多く、皆さん夜まで熱く議論されていました。

 今回の合宿では有名林業地の見学ができただけではなく、専門家の方から仕事の話や林業の
話を聞くことのできた大変貴重な体験でした。

��林業再生講座1年 吉川)




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