2014年2月14日金曜日

粗朶を用いた河川工事の見学



里山プロジェクト実習は、里山の自然を理解し、保全する方法を考えるためのプロジェクト型実習です。保全とは、単に保護するだけでなく、積極的な管理を含む考え方です。里山の場合は、何らかの形で再び利用してやることが、積極的な管理につながります。

さて、タイトルにある「粗朶」とは何でしょうか? 粗朶とは、おじいいさんは山に柴刈りに、というときの、あの柴のことです。柴は里山の林から伐採した広葉樹の低木類を束ねたもののことで、河川の護岸工事の際に資材として使われます。粗朶が河川工事で使われると、里山にも手が入り、保全につながるというわけですね。

株式会社加藤工務店のご好意で、今回は愛知県尾張旭市の矢田川で行われている護岸工事の現場を見学させていただきました。まず川底にあたる部分には粗朶単床工が施工されます。粗朶単床とは、粗朶を格子状に配置して木の杭でとめ、中に栗石(砕石ではない!)を詰めて動かなくしたものです。河床が削られるのを防ぐ働きがあります。河床から河川敷にあがる傾斜部には柳枝工が施工されます(写真1)。資材の一つである粗朶はアカデミーの近所、関市の里山林で伐採されたものです(写真2)。


写真1

写真2
柳枝工の資材には、生きたヤナギの枝が使われます。格子の中に敷いてあるのがヤナギの生枝です(写真3)。柳枝工は普段水に浸からない場所で施工されますが、使用された木材が腐朽する前にヤナギの枝が芽をふいて根付き、土砂をとめる働きをするのです。先人の合理的な知恵には感心します。まさに生物素材ならではの特性ですね。

写真3
粗朶とは違い、1本1本長いものを束にしたものが積んでありました(写真4)。これは「しがら」といって、格子を編むのに使われます。粗朶を使った工事の施工を行っている井納木材株式会社の井納社長によれば、このしがらを生産できる里山林が少なくなっていて、調達が難しくなっているそうです。直径は数センチですが、枝が少なく、通直に伸びた幹は、林内の低木などには少なく、切り株から一斉更新させた林に多いので、昔のように手入れをしていない林が多い昨今では、確かにこのようなあまり見かけることが少なくなりました。

写真4
学生も教えていただいてしがらを編むのに挑戦してみました。簡単なようでいて、手際よく作業を進めていくのはなかなか難しそうです。思わず真剣(?)な顔に(写真5)。

写真5

粗朶・しがら・杭・栗石など、今回の護岸工事で使われる資材のほとんどが天然素材です。天然素材は耐久性が低いように思われがちですが、常に水面下に浸かっている粗朶の部分は腐朽せず、コンクリートよりも耐久性が高いことが知られています。さらに粗朶は多くの水生生物の住みかになり、川の自然が豊かになります。多自然型工法が普及して川の自然も山の自然も豊かになったら素晴らしいですね。

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