エンジニア科 2年生の授業 「林業IT」
この授業は 森林GIS について学ぶため情報処理室と演習林の両方を使って実施されるもので、今回が最終回です。
今回も岐阜県森林組合連合会の顧問であり、技術士でもある中島義雄先生をメインとし、ジリこと川尻が補佐役で、前回の演習林データなどをもとにコンピュータ操作を実施しました。
最初に情報処理室で、コンピュータ上に様々な演習問題を出して、頭のウォーミングアップです。
日本列島を出して、静岡県から300km圏内にある都道府県を自動表示する練習です。これは「空間検索」で実施します。
ほかにも、「属性検索」では属性テーブルのフィールドのデータに基づいて検索し、計算式を入れる「フィールド演算」や、距離や面積、座標などを自動的に計算する「ジオメトリ演算」を実施しました。
その後には、「ジオプロセシング」の各種、(1)インターセクト、(2)ディゾルブ、(3)クリップ、(4)バッファーなどを操作体験しました。
さて、これからが今日の本番です。
下の写真のうち、森林文化アカデミーは左上にある黒い屋根の建物です。そして赤色の線で区切ってあるのが演習林です。
次の写真は前回の平面直角座標系でジオリファレンスしたものに、前回デジタルコンパス(レーザーコンパス)で測量したデータを重ねたもので、中央上部の薄く白抜けした部分が測量した区域です。
測量したデータを写真に重ね合わせると、既存の小班ポリゴンの線と大きなズレが生じます。これをエディタを利用して修正します。
修正するときにうまくいきません。うまくいかないのは、このデータがスパゲティーと称される絡んだ状態高で、カーナビゲーションに採用されているトポロジーであれば一点を操作すれば簡単に修正されます。
さて、修正が終了したら、標準地の林分をコンピュータ上で推測します。一区画 400 m2 内に、何本の立木が成立しているのか、写真を拡大して 樹冠 の数をかぞえます。
学生が数えると、一区画に 15 ~ 32 本/400m2 と大きなばらつきがでました。これをコンピュータ上で数えるようなアナログな方法をとらなくても、レーザー光線で林分の本数や樹高、枝下高などを測定する手法もあるようですが、数億円かかるそうです。
実際に、前回学生が400m2 で標準地調査したデータでは4つの標準地で各々10本、11本、12本、14本でした。
中島先生によると、現時点では現場で人が数える方が安価で正確。人間によるアナログな林分調査の方がコンピュータ上で見るよりも優位であり、現場の技術が重要であることがわかります。
ちなみに画像データに「等樹高線レイヤ(ポリゴン)」を追加し、次に「標準地ポイントデータの作成と、エディタによるポイント作図をします。
標準地の樹高を知るため、標準地ポイントレイヤに等樹高線レイヤを「空間結合」させます。
下の写真中央の 赤いポイントが標準地ポイントデータ、その属性テーブルを見ると、写真下のようにAvg Contour(平均樹高)が17.56m と表示されました。
こうしたデータをもとに、標準地の蓄積量を計算すると、各プロットが400m2当たり 3.24 m3 ~ 6.37 m3 の蓄積と推測されました。
このデータをラスタ化して、ほかのポイントの樹高を推定してやれば、事前に作業を作成するときに、利用間伐できるところを推測しながら、地形や地質に合わせて線形を入れることができるのです。
今年の2年生は、このGISの操作がうまく、全員がスムーズにコンピュータ操作できました。中島先生、有り難うございました。
以上報告、ジリこと川尻秀樹でした。