2015年11月5日木曜日

一見の価値あり、伐採~運材の歴史

貴重な歴史を刻んだ道具たちをご覧下さい





 森林文化アカデミーのJIRIです。 本日、テクニカルセンターA棟の資料展示を追加及び模様替
えしました。

 大きな変更は、全国育樹際で子どもたちが丸太を運んだ「木曳き車」の展示、そして長良川の
筏流しの模型と解説」、そして「チェンソーの歴史が学べるコーナー」です。

 「長良川の筏流し」
  ここに紹介する伝統的な『長良川の筏流し』は郡上市美並町高砂の古川林業の故古川茂樹
さんと地域の皆さんによる再現記録『木の旅 長良川』に記されたものです。
 古川家は有名な林業家であり、文政10年(1827年)に八代当主、古川七兵衛義明が郡上藩に
植林を願い出ている記録があります。
 その古川家の先代当主、茂樹さんが6年間にわたって、古川家を中心にした、当時の林業を
再現し、一冊の書籍を残してくださいました。
 長良川流域は多くが燃料材となる薪炭林でしたが、古川家は用材を生産する林業家として
地域をまとめてきました。

 長良川流域の木材は、昭和9年に旧国鉄の越美南線が全線開通するまでは長良川に木材を
流し、三重県桑名まで流送していました。
 山で4.5mの長さに切った木材は、樹皮を剥いで屋根材などに利用しました。当時の樵(杣人)
は積み上げた樹皮の量で賃金換算されていました。

 木曽地方では、山で刃広斧で角材に仕上げましたが、長良川流域は樹皮を剥いだ丸太のまま
流送され、美並町の高原までは一本一本バラバラに流送されました。
 高原で4.5m×3の筏に組んで、美濃市の洲原神社前、美濃市立花、美濃市港町と筏を組み直し
ながら、桑名まで送りました。 
 長良川の木材の筏流しは、鮎漁の終わる10月1日から翌年の4月30日までとされ、鮎の魚場と
しての長良川を守りながら、山と川、そして海につなげる木材搬送手法であったのです。

 模型は実際の1/10モデルで作成しました。 


 チェンソー(Chainsaw)の歴史は面白く、ガソリンエンジンのチェンソーは1918年にアメリカで開発
され、全重量は95Kgの巨大なものでした。

 世界初のガソリン動力チェンソーはドルマー社の創立者エミール・ラープ(Emil Lerp、1927年)
です。
 ドイツのFESTOOL社は1929年に2人用、4サイクルガソリンエンジン、重量64Kgのポータブル・
チェンソーを世界で初めて発売開始しました。
 その後、アメリカでは1938年に重量36~54Kg、1941年には54~64Kg、2人用2サイクルガソリン
エンジンが実用化されました。
 アメリカのマッカラー(McCulloch)工業機器社の初期のモデルは重く、長く、二人用に作られて
いました。あまりに重いため、車輪を備え、発電機から電線で動力を供給されるものもありました。

 日本では、1920年頃、ドイツ製の重量67Kgの機械を青森大林区署の貯木場に玉切試験用に
導入されたそうです。1947年には重量38Kg、2人用4サイクルガソリンエンジンが実用化されて
います。


 第二次世界大戦後、日本でもコピー商品化が進み、富士産業のC-13などが作成されました。
1950年代には重量十数Kg、1人用が各国で開発され、1960年代に入りアルミニウム合金技術と
エンジン設計が進歩し、重量10Kg以下の機種が生産され、世界的に普及する契機となり、日本
でもマッカラー製のチェンソーが利用されました。
 この頃からチェンソーは、一人で運べるほど軽量化し、1970年代には防振対策が進み、更に
2000年代には2.2kg程度の最軽量のモデルが開発されるようになりました。
 現在は1人用2サイクル1気筒エンジンが主体で、排気量18.3~121cc、本体重量2.7~13.8kgと
大小様々なタイプが市販されています。
 振動障害予防の観点から、排気量40cc以上のチェンソーは振動加速度29.4m/s2(3G)以下と
するよう定められています。
 現在市販されている機種では、50.1ccで6.1m/s2(0.6G)と低い値の機種もあります。
 ※数値は、H22.4現在市販チェンソーの「チェンソー・刈払機の振動・騒音等測定値一覧」林業
機械化協会調べより

 展示機械の一部は「マッカラー社製(MAC35)」 排気量54CC 出力3ps 総重量12kg、回転数
7,500rpm 振動加速度10G。 1945年頃のアメリカ製チェンソーで、振動障害対策は施されてい
ません。

 「マッカラー社製(SUPER2-10AUTOMATIC)」 排気量54CC 日本普及版、このチェンソーは
「黄色のマッカラー」の愛称で多くの山林作業者に愛用され、高出力・高速回転が魅力でした。
拡大造林事業で天然林伐採に多用されました。ラップラウンドフレームハンドルにより左右自由
に使えるようになっています。
 「ヤンマーディーゼル製(RH57)」 排気量57CC 総重量10.15kg(本体7.9kg)、振動加速度0.5G
 1974年(昭和49年)、世界初のロータリーエンジンを採用。従来のピストン運動とは異なり、往復
運動がなく回転運動によることから、振動や機械的騒音も小さく、振動加速度は0.5Gの低さで、
従来の3分の1となりました。
 「富士産業製(C-13)」 排気量148CC 出力2.5ps 総重量34kg、4サイクルサイドバルブエンジン
2人持ち用
 1948年(昭和23年)、日本初の国産チェンソーとして開発された機種で、ガイドバーを回転させ
ることができます。

 「旧ソビエト製(Druzhba4型)」 チェンソー本体を地面に設置して使用するタイプで、ガイドバー
 が垂直から斜め、水平と回転させることができます。
  1973年(昭和48年)に振動障害対策用の試験機として購入された機種で、2000年以降もロシア
で同型が生産販売されています。

 「ホームライト社製(ZIP)」 排気量77CC 出力5ps 総重量11kg、回転数7,000rpm 振動加速度
10G、 1955年頃のアメリカ製のチェンソーで、振動障害対策は施されていません



 他には手鋸、手斧、鳶、鶴も展示解説されています。



 手橇や木馬も展示、一部展示を変更しましたが、飛騨市河合町で再現した写真などによる
解説も充実しています。



 以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。

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