2012年6月5日火曜日

クリエーター科2年生 「木材の流通と販売戦略」でニホンカモシカと出会う

 森林文化アカデミークリエーター科、林業再生講座の2年生を対象とした「木材の流通と販売戦略」の第二回目を開催しました。

 今回も岐阜県庁の県産材流通課の中通技術主査をお迎えしての講義と、岐阜県森林組合連合会の岐阜林産システム推進センターの樋口所長による現地研修の二本立てで、午後にはニホンカモシカのお出迎えもありました。

 前回に引き続き、中通さんから
現在、太い木材(丸太)が売れない理由、どんな木材利用があるか、「岐阜証明材推進制度(ぎふ証明材)」、「ぎふ性能表示材」など、様々な流通の問題をお聞きしました。

 最近では木材価格や間伐手遅れなどなど、様々な問題から標準伐期齢を通り越して長伐期化しつつあり、必然的に長伐期化すれば立木は太くなります。しかし現在の一般的な木材利用では、皮剥きのバーカーや製材機の条件など、様々の問題から直径が50cmを越えるような丸太は敬遠される傾向があります。
 目標がないまま立木を大きく仕立てても、利用されないなら意味がない。何のために林業をするのか考える必要があるのです。

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 「岐阜証明材推進制度(ぎふ証明材)」は木材を利用するすべての人が容易にかつ安心して岐阜県産材を利用できることを目的に、合法的に伐採された岐阜県産材の履歴証明をするものです。
 また、「ぎふ性能表示材」とは、JAS規格に準じ岐阜県が定めた含水率・ヤング係数・寸法などの測定・表示基準をクリアした ぎふ証明材です。ぎふ性能表示材は岐阜県産スギ横架材スパン表と連動しており、長期優良住宅認定の際 構造計算に適用できる構造材として使えます。

 「曲げヤング係数」とは木材のたわみ難さを表す性能数値で、数値が大きいほど木材がたわみ難く堅いことを示し。住宅の梁桁の断面決定に重要な計算根拠として必要な性能数値で、曲げヤング係数を測定して区別することを「グレーディング」と言います。曲げ強度は木材が折れ曲がるまで、どれだけの強さまで耐えられるかを示すもので、目安としてスギE70の曲げ強度は、米マツE110と同等の強度です。

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 丸太の太さ、小丸太、柱的寸、中目材、尺上材の良材と並材の違い。スギはある程度太くなれば梁桁材に使われるが、ヒノキは使われない。この梁桁材で曲げヤング係数による性能表示が需用者によって大切な情報となります。


 午後からは、関市洞戸の山林で岐阜林産システム推進センターの樋口所長さんから、山を診る木を見る。つまり単に立木を眺めるのではなく、山の立木一本一本をお金にするための木の見立てをする。診断することを学びました。

 林道を走る途中、山の住人のお出迎えを受けました。ニホンカモシカは林道をしばらくゆっくり走り、車から5mくらいの林の中からこちらを眺めていました。

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 さて、現場で樋口さんから現場の航空写真情報、現場の林分状況などの説明を受けます。解説されたばかりの四万十式作業路上で、この林分を上層間伐すればha当たり125 m3、劣勢木間伐すればha当たり84 m3となる。この林分は過去2回の間伐実績があり、枝打ちも実施されている。
 一般的に森林所有者は、太い立木や枝打ち材であれば、「お宝」と考えがちだが、本当にそうだろうか?

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 樋口さんは一本の立木をさして「さて胸高直径は何cmだと思いますか?」と質問され、学生は悩む。樋口さんが「直径は32cm」かなと言われ、測定するとその通り。さすがに本職は違う。
 次ぎに、「樹高は何mだと思いますか?」、私が「例えば18mとか」と言うと、学生から「20m、25m、30m」と声が出る。実際には20m弱。

 樋口さんは一見、真っ直ぐに見られがちの立木がどのように曲がって成長しているのか。その曲がりは3mに採材すべきか、4mか、6mか。など曲がりの許容範囲を考えながらA材の採材を伝授してくれました。
 一律の採材ではなく、いかに収入を上げることが必要なのか。単に太くても利用価値のない年輪幅、偏心を見抜くこと。樹皮から遅すぎた(太くなってからの)枝打ち跡、目切れ、目回りなどを予測することの重要性を説きました。

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 作業路を解説したときの伐根(切り株)から読み取れるもの、もしも4寸角(12cm角)を採るとどのような品格の木材となるのか。年輪成長は、色合いは、年輪の具合から読み取れる林分の施業履歴はどんなことか。樋口さんが約30年間にわたって蓄積した知識の一端を教えて頂きました。

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 山に来て、立木を単に眺めていてはダメ。一本一本、吟味して、少しでも山で儲かるように考える。何が欠点で、何が高く売れるのか。

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 根曲がり材でも社寺建築の隅木材破風材で思わぬほど高価に取引されることもある。いかに多くの情報と、いかに多くの売り先と、いかに現場の技術者意思疎通があるか。こうしたことの重要さを教えて頂いたのでした。

 今回は中通さん、樋口さん、そして特別出演のニホンカモシカさん、有り難うございました。
 次回は、システム販売や浜問屋、製材の流通を探ります。以上、ジリこと川尻秀樹でした。


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