2014年8月6日水曜日

ニホンミツバチ、巣落ち、そして去っていきました


先日、少しご報告しましたが、アカデミー内に設置した巣箱に棲んでいたニホンミツバチ達がいなくなりました。原因は7月末の猛暑時の巣落ちです。

7/25(金)、午前中はいつもと同じように、ミツバチ達が出入りをしていました。暑くなってきたので、入り口付近にでてきて扇風している個体も多かったのですが、いつもと変わらない風景でした。

午後になり、気温がぐんぐん上昇、ご存知のように意識がもうろうとするような暑さとなりました(この日、多治見市では全国最高気温の39.3度を記録したそうです)。このときはあまりミツバチのことを意識していなかったのですが、夕方になって、通りがかりにふと巣箱のひとつに目をやると、なんだか巣箱が真っ黒に見えます。よくみるとミツバチの大群で巣箱が覆われているではありませんか。

入り口から大量のミツバチが溢れ出しています


上に置いたブロックもミツバチに覆われて、なんだかわかりません。。。

アカデミーに置いてある他の2つも見てみると、でてきているミツバチの数に若干違いはあれど、どれも似た状況です。蜂蜜が巣箱の外に大量に流れ出しているものもあります。

これは巣落ちしたに違いないと思い、いつもお世話になっているニホンミツバチ協会の会長さんに連絡したところ、とりあえず落ちた巣板を撤去して、垂れた蜜をきれいにするようにとのアドバイス。しかし学生はたまたま実習で出かけてしまっていていません。一人でミツバチのたかっている重い巣箱を持ち上げて、うまく処理ができるのか。どうしようか考えあぐねていたところ、タイミングよく学生が実習を終えて帰ってきました。

数人の学生とともに作業に取りかかります。興奮したミツバチに刺されないようきちんとネットも被り完全防備して作業に臨みます。大量に巣箱の外側に集まっているミツバチを払いのけ、巣箱を持ち上げてみるとやはり巣板が落ちています。

落ちた巣板。多量のミツバチが流れ出た蜂蜜に溺れていました。

巣板は手で取り出しましたが、底板に大量の蜂蜜とそれに溺れたミツバチ達が溜まっています。ざっとバットに流し込みますが、他にも処理しなければならない巣箱があるため蜜をきれいに拭き取る余裕がありません。夕闇が迫る中、とりあえず他の巣箱も同様に処理を行いました。

一日置いて7/27(日)、巣箱は3つとももぬけの殻となっていました。観察できなかった土曜日のうちに見切りを付けて旅立って行ったようです。主がいなくなり、しんと静まりかえった巣箱には、早速アリやキイロスズメバチが集まってきています。スムシと呼ばれる蛾の一種もそのうち巣食い始めるでしょう。この日はオープンキャンパスだったので、業務がはじまるまでの小一時間でできることを行うことにしました。オープンキャンパスのため来ていた学生とY先生に手伝ってもらい、アリがまだ入っていない2つの巣箱を建物に運び込みました。取りあえず残された蜜は何とか回収できそうです。

その後、放課後の時間を使って蜂蜜を絞ることにしました。重箱の上の方の段には蜜室があり、蜂蜜がためられています。上の段の隙間にパン切り包丁を入れ、切り離すと残された巣板に蜂蜜がぎっしりとありました。

ぎっしり詰まった蜂蜜

アリが入ってしまった巣箱からも蜜を絞ります。蜜室のフタを削り、細かく切ってザルにしいたネットにいれていくと、すぐにポタポタと蜜が落ちていきます。蜜が落ち切るのに2、3日かかるかなと思っていましたが、大半は丸一日で落ちていました。

細かくした巣板から蜜を絞ります

作業途中に蜜の詰まった巣を食べてみると、その甘さとなんとも言えない香りに驚き。ニホンミツバチは周辺にある様々な植物の花から蜜を集めてくるため、その蜂蜜は複雑な味と香りになると言われます。また巣箱の位置により訪花していた植物が違うようで、その蜂蜜の色が微妙に異なっています。

微妙な色の違いがわかりますか?

最終的に3つの巣箱から約10リットルの蜂蜜を絞ることができました。巣落ちにより流れてしまったものがありましたが、これだけ採れれば良いと思うしかありません(出て行かざるを得なかったミツバチ達には申し訳ないですが)。

出て行ったミツバチ達、どこか良い場所を見つけていると良いな〜と思っていたら、アカデミー建物の床下を選んだ群れがいたようでした(構内をいつも清掃していただいているYさんに教えていただきました。ありがとうございました)。

ここなら涼しいかも。安住の地になるとよいのですが。。。

もう手を離れてしまったミツバチ達ですが、暖かく見守っていただければと思います。

今回の巣落ちでは作業に追われ、あたふたとしてしまいましたが、ミツバチ達が身をもっていろいろと教えてくれたような気もします。異常とも言えるここ数年の猛暑、人間はエアコンをつければなんとかしのげますが、自然の生き物達はそうはいきません。急激な環境の変化に追いやられていく生き物たちの声が聞こえたようでした。
ただし巣落ちに関しては、巣箱の構造や置き場所、被陰等により改善できる部分も多いようです。半分はなんとなく巣箱を用意した我々の責任。今回のことを教訓にミツバチの暮らしやすいお家づくりを追求していきます。