2012年7月20日金曜日

こんなん咲いてました89


ようやく梅雨もあけて、本格的な夏がやってきましたね。森林文化アカデミーも夏休みに突入しましたが、集中講義や夏期の実習・インターンシップなど、学生にとっては休む暇もないのではないでしょうか。有意義に過ごしてもらいたいものです。

今回ご紹介する花は、アカデミー構内の林の中に生えていました。ノヤマトンボというラン科の植物です。蘭と言えば、開店のお祝いに送られる胡蝶蘭のような派手な花や、野外では絶滅に瀕している貴重な植物が多いような印象ですが、実は雑木林など、結構身近なところにも、目立たずひっそりと生えている種類があります。


しかし、遠目に見ると地味ですが、近くに寄ってよく花を見ると、とんでもなく奇妙な形をしています。一昔ブームになったクリ○ネや、見ようによっては妖精が乱舞しているように見えなくもありません。足元にメルヘンの世界ですね。


この花をよくよく見ると、黄色いものが見えます。長さは2mm弱くらい。先に小さな吸盤がついています。ちょうどしぼみかけた風船のようにも見えます。これが花粉塊です。ランの仲間は、基本的に塊になった花粉を昆虫に運んでもらいます。


穴の奥にある蜜を吸うために昆虫が頭を突っ込むと、背中に吸盤がくっついて花粉塊が次の花に運ばれるという仕組みになっているのでしょう。よくできています。ランの中には、特定の昆虫を雇って花粉を運んでもらうために、花の形態をその昆虫の形に合わせているものが多くみられます。決まった虫が訪花してくれるなら、次も同じ花に行って花粉を届けてくれる確率が高くなるからです。

それにしても、ランはなぜ多くの花粉をひとまとめに花粉塊にしてしまうのでしょう?
ばらばらにして多くの虫に多くの花へ運んでもらった方がいいような気がするのですが??

こんなことが気になってしまう方は、ぜひ森林文化アカデミーへ!