2012年10月5日金曜日

森と海・暮らしの復興 大槌町吉里吉里地区ボランティア・ツアー(その1)

アカデミーの教員・学生の4名で、岩手県大槌町の震災復興まちづくりの現場へ
ボランティア・ツアーに参加してきました。

今回のボランティア・ツアーの企画運営団体は、NPO法人共存の森ネットワーク。
「森の聞き書き甲子園」を続けてきた高校生OB達が作ったNPOで、アカデミーの
授業で非常勤講師にも来ていただいた澁澤寿一さんが理事長をされています。3.11
大震災の3ヵ月後から「被災地の聞き書き101」というプロジェクトを展開して、
津波以前の大槌の暮らしぶり、被災当時の体験、その後の復興への思いなどを丁寧
に聞き取ってきました。今回はその関係性を土台に、ボランティア100名以上が現地
へ入り、作業ボランティアというよりは、現地の方の言葉でいえば「吉里吉里の今を
感じてほしい」、ボランティア側の「吉里吉里を応援する気持ちを感じてほしい」と
いう、思いの共有・今後に向けた連帯の土台づくりに重きを置いた活動でした。


928日午後に車で岐阜を出発して東京まで。東京からツアー・バスに乗り込んで
29日早朝に大槌町へ到着。午前から夜まで現地見学・ボランティア作業・被災者の
方の話を聞く会などに参加し、30日は再びツアー・バス、車移動と、まさに「弾丸
ツアー」のスケジュールでしたが、やはり現地へ行ってみないと感じられないこと
分からないことが多々あり、疲れを補って余りある体験でした。


最初にガイダンスを受けたのは大槌町役場の庁舎前。震災津波が襲ってきた当時、
町長や職員の方々が避難誘導に最後まで努力され、多くの犠牲者を出しました。


吉里吉里地区に到着し、6グループに分かれて地区内のミニツアーに出かけました。
住民の方が、当時の状況や、現在の復興の動きを語ってくださいました。

夜、それぞれの宿で、被災者の方の体験談を聞く会を開いていただきました。今では
淡々とした様子で話される体験のすさまじさに、皆しんとして聞き入っていました。
復興へ取り組む今も、漁業商業の再開への困難、分断されたコミュニティ再生の複雑
さを知りました。


最終日。閉会式の後は、「復活朝市」で地元のお母さん達が元気にお店で商売。子ども
達が「獅子踊り」「虎舞」などの伝統芸能を披露してくれました。熱い思いが伝わって
きます。


山村づくり講座で取りあげているエコミュージアムの考え方に「記憶を前へ」という
言葉があります。過去の記憶を収集し、未来へ伝えていくべき記憶を確認しながら、
一人ひとりの人生史を未来の地域づくりへ繋げていく作業のことです。今回の大槌町
では、生きる【生存条件】・暮らす【コミュニティ再生】・働く【仕事を作り直す】と
いった、地域づくりの根幹からの再生にとりくむ住民の方々の姿にふれて、私たちが
逆に教えられ、同時に私たちの持ち場でとりくむべき事を考えさせられました。

※NPO共存の森ネットワーク「被災地の聞き書き101」について、詳しくは下記ビデオ
 を参照ください。Satoyamaイニシアティブ「暮らしの復興に向かって」
ボランティア・ツアー報告(その2)へ続きます。

文責:嵯峨創平(山村づくり講座)
写真:嵯峨創平、和田賢治、天池信正、藤井伊男