2012年10月5日金曜日

森と海・暮らしの復興 大槌町吉里吉里地区ボランティアツアー(その2)

その1は山村づくり講座 嵯峨先生が書いてくれましたので、ボランティアツアーの趣旨や内容はそちらを参考にしていただけたらと思います。



さて、その2は私、ものづくり講座の和田が書かせていただきます。

今回このツアーに参加したのは、私が取り組んでいる木工を通した復興支援活動の参考したいと思ったからです。

私は、昨年12月に宮城県七ヶ浜町にボランティアに行きました。その時から、被災地支援について自分に何ができるのかという疑問が頭を離れなくなりました。岐阜にいる人間は、現地に張り付いて活動もできない、かと言って寄付金を出すだけというのも支援のあり方としてちがうのではないかと思ったのです。そして、それぞれの人がそれぞれの立場でできることを継続していくことが重要なんだと感じました。メディアから震災や復興についての報道が少なくなっても、自分たちの仕事を通して、自分たちの好きなことを通して、少しでも東北の支援につながることを継続していくことが大事なんだと、思いました。

そこで始めたのが「森から海へのエール」という自分の仕事である木工を通した支援活動です。 その活動を通して、東北の漁業復興支援活動をしているNPO団体へ少額ではありますが寄付を続けてきました。そしていま、活動を初めて10ヶ月になります。今被災地の現状はどうなのか、復興に向けて新たなフェーズに入っているのではないか、遠隔地にいる人間からできる支援はどう発展していけるのか、そんなことを行きの夜行バスで考えていました。



今回行った大槌町吉里吉里地区は、非常に地域としてのつながりが強いところです。それは、若い人や都会の人から見れば普段の近所付き合いは「大変」と思ってしまうかもしれません。しかし、こういう非常時の結束力はとても強いものを感じました。そして、現地の方の被災体験やその後の復興に向けての取り組みなどお話を聞かせていただくと、また自分たちの町を作っていこうという強い思いも感じました。それは、披露してくださった獅子踊りや虎舞からも伝わって来ました。



一方で、婦人会のお母さんは、「被災した町を見ても涙は出なくなった。ちょっとの辛いことでは涙は出なくなった。でもこうやってボランティアの方が来てくれたり、勇気づけられる歌を聞いた時、思わず涙が出てしまう。それは普段感情を我慢しているからかもしれない。」とお話し、震災が起きて1年半がたった今でも訪問してくれるボランティアの人たちがどれだけ心強いかということを感謝の言葉で述べてくださいました。



しかし、勇気づけられるのはボランティアのほうです。自分の家が流され、家族が被災し、それでも自らその町を案内し、津波が襲ってきた時の話をし、そしてこれから復興に向けての思いを話す現地の人たちの強さに私たちは勇気をもらいました。

現状は仕事がなく、人口の流出も歯止めが効かないそうです。そんななかでも明日を見てがんばろうとする人たちがいます。そんな人達の後押しをするために、遠くにいる私たちは何ができるのか。その答えは、やはり昨年12月に考えた答えを同じ事でした。自分にできることを継続する。ただ、その形は、復興計画が実際に動き出し、現地で仕事を創りだして行かなければいけない、新しい町と産業を生み出して行かなければいけない、その上で生活を成り立たせて行かなければいけない、そんなフェーズに入ってきた時、少しずつ変わっていくのかもしれません。



今後も、そういった現地のニーズを汲み取りながら、復興支援の形を考えていきたいと思います。遠くにいても寄り添う気持ちで。

今回は、吉里吉里地区のみなさん、ツアーを主催したNPO法人共存の森ネットワークのみなさん、協力・支援をしていただいた神田交通、ファミリーマートのみなさん、ありがとうございました。