2013年4月6日土曜日

イノシシ専用の獣道にオオカメノキの花が咲く

イノシシ専用の獣道オオカメノキの花が咲く





 森林文化アカデミーのマルチメディア棟からテクニカルセンターに上る道路沿いの法面の
斜め下に一直線につけられたイノシシ獣道があります。

 そこでオオカメノキが、例年より20日ほど早く花を咲かせていました。
  オオカメノキ(Viburnum furcatum )は、スイカズラ科ガマズミ属の落葉小高木です。
 樹高は2~4mくらい、葉は枝に対生し、形は円形で葉の先端は尖り縁は全縁になります。
葉の皺が多く、形が亀の甲羅に似ているため「大亀の木」とか。別名の「ムシカリ」は、葉が
虫に食われていることが多いためとも言われています。





 さて、イノシシの獣道、2枚目の写真で判りますか?
左上にオオカメノキの白い花が見え、その手前の株立ちした木の右横を通って、手前下に
道がついています。



 よく判らない人は3枚目の写真なら簡単でしょう。
 左上から右下に道が出来ているのはわかりますか。
 ここを週に何度か50~60kg級のイノシシが通っています。




 さて、オオカメノキはこの獣道の森の端で咲いていました。
 両性花のまわりに大きな5枚の花弁を持つ装飾花が縁どり、大変きれいです。

 昔、山で作業する杣人(そまびと)は、自分の家で煮炊きに使う薪や刈芝などを持ち帰って
きました。

 そのとき薪や刈芝は「ネソ」と呼ばれる木の小枝で結わえたのですが、その「ネソ」は樹皮
も木もしなやかで、丈夫であり、しかも折れにくかったので、それを縄代わりに使ったのです。
 藁で作った縄は長期間風雨に晒すと腐ってボロボロになってしまいますが、木の「ネソ」な
らば長期間頑丈なのです。しかも「ネソ」は山にはいくらでもあります。

 この「ネソ」の代表はマンサクですが、他にもオオカメノキ、ガマズミ、サワフタギ、カマツカ
なども、「ネソ」と総称されていたのです。


 本年度から「野生動物管理概論」という講座も新設されますが、基本的に自然をよく観察
して植物や動物の痕跡探し(アニマルトラッキング)できることが、山で生活する第一歩かも
しれません。
              以上、JIRIこと川尻秀樹でした。