2012年9月28日金曜日



越美セミナー 境界を越えて いとしろ 『 おもしろ いとしろ 』 に参加させていただきました。



石徹白(いとしろ)は、昭和の大合併の折、越境合併により大部分が当時の岐阜県郡上郡白鳥町(現・郡上市)に編入される以前には、福井県大野郡に属していた村で、日本海に注ぐ九頭竜川の支流、石徹白川上流にある。
この地域は、ヤジリや土器など縄文時代の遺物も数多く出土し太古からひとが住んでいた地域という。

石徹白の一番北側にある集落、上在所には、白山の開祖である泰澄が開いた「美濃禅定道」の拠点としての「 白山中居神社 」が鎮座している。
「 白山中居神社 」は、雄略天皇の時代から護国鎮護のために剣が奉納されたと伝えられており、平安時代から江戸時代初期にかけて、藤原能信、藤原秀衡、今川義元、柴田秀勝、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康など、数多くの武将の信仰を受けたという。
また、奥州平泉藤原氏 秀衡からは、金銅仏『 虚空蔵菩薩 』(国、重要文化財)が寄進されている。この仏像は、明治の「神仏分離」以後、他の仏像や仏具とともに、別の場所に安置され、地域の人たちの手で大切に守り続けられています。(後述)



初日、
午後2時から 『 おもしろ いとしろ 』講演会
長年、石徹白地域の歴史と白山信仰の研究をされてきた 上村 俊邦 氏 と
元NHKディレクターの 水谷 慶一 氏 の掛け合いで、
石徹白地域の歴史や自然環境などの特性やユニークさについてお話を伺いました。

            

白山中居神社の元々のご神体と伝えられている『 磐境(いわさか) 』と呼ばれる巨石。
毎年、夏の盛り、7月の第3週にこの『 磐境 』をお祭りする『中居夏祭り』が、一日かけて行われるそうです。

           

白山中居神社宮司 石徹白隼人氏から「有り難いお話」をいただく参加者。
「こころがはれた」、「気持ちがスッキリした」と云われている参加者もいらっしゃいました。
礼拝(らいはい)

           

夕食の後、引き続き、地元の方々と参加者の交流会が行われました。
それぞれの地域の悩みや取組みについてとても有意義な意見交換がされていました。

           

二日目、
朝の散歩、田畑の中の道を、白山の開山「 泰澄(たいちょう)」の木像を安置する大師堂まで歩きました。この大師堂を管理する上村氏より、泰澄坐像や他の仏像、仏具がここに安置された経緯や地元のひとでこの建物を建てたことなどをお聞きしました。また、同じ敷地内の別の建物に平泉から贈られた虚空蔵菩薩像も安置されています。

        

「村の古老に聞く」と題して石徹白忠(いとしろ ただし)氏のお話を伺いました。
石徹白忠さんは、民俗学者 宮元常一が、昭和12年、17年に石徹白を訪ね、話しを聴いた石徹白藤之助(とうのすけ)氏 のお孫さんです。
藤之助おじいさんの縄文コレクションや中居神社文書から調べた資料が、永く謎だった豊臣秀吉の生年月日の確定に繋がった話や上杉家の家系図を提供した話などとても興味深い内容でした。

         

更に、今は福井県に属す、旧石徹白村の一部だった「小谷堂(こたんどう)」という地区名は、アイヌ語や縄文の言葉に通ずると考えられるという。
「コタン」はアイヌ語で「集落」を意味し、「どう」=「と」(アイヌ顔には濁音はない)は、沼や池のような水の溜まっているところを意味するという。

         

移動して、11時ころからは、『12人の運動会』にセミナー参加者も参加させていただきました。
小学校に着いたころには、ちょうど、『大相撲石徹白場所』の熱戦の最中(さなか)でした。高学年女子による必死の取組みです。土俵際でハラハラする5分近くの接戦で、声援も盛り上げります。

         

小学生12人を囲み、父母も先生も地域の人も、セミナーの参加者も声援を一緒にした一体感で、何の違和感も無く同じフレームのなかに納まり… 
「はい!チーズ」 パチリ!!

         

「玉入れ」にも参加させていただきました。
ほとんどが、セミナー参加者でした。
他に、綱引き、借り物競走、一般のリレーなど数多くの競技に参加させて頂きました。


 

小学生12人、全員による一輪車の演技。
左はしの二人が作るアーチの中を右端の子から手を繋いだまま潜り抜けて行く、これを6回出来るまで繰り返す。やっと三度目の挑戦で成功。
セミナー参加者の何人かの目は、うるうるしていました。

     

オプション(希望者のみ)、
将来は地域電力の地産地消も視野にめざす、小水力発電の見学です。
豊富な農業用水を活用して、低落差でも発電できる螺旋型水車の説明を聞くセミナー参加者。
当地では、2008524(土)・25(日)の2日間、『岐阜小水力発電シンポジウム in石徹白』が開催され、先進地ということで最近は行政や地域づくりの団体の見学も多いそうです。

     

用水路に設置された『 螺旋式ピコ水力発電装置
発電機には、自転車のハブダイナモを使用しています。
将来は、集落内のすべての街灯をこの発電機の電力でまかないたいという。

     

後ろの壁で輝いているLED街灯の前で夢を語るNPO『やすらぎの里いとしろ』の理事長K氏。この発電装置 プラス 街灯のシステムを愛称で『ピコピカ』と呼ぶそうです。
『ピコピカ』の「ピコ」は「一兆分の一」を表わす単位で、すごく小さいということ指し、「ピカ」は、その小さな電力で輝くLED街灯を指しているそうです。

      

三日目、
あいにくの雨空で、石徹白大杉への早朝ハイキングは中止になってしましました。「残念!!」

白山中居神社近くのコミュニティーセンターで、三日間の「まとめ」と「ふりかえり」をしました。参加者も地元の方も自由にこの三日間で感じたことや石徹白へのそれぞれの思いを語り合いました。
やはり、いっしょに寝食を共にすることで、親しくなり、より深いと所まで話せる仲になれるのだなーとしみじみ感じました。
それぞれの思いを胸になごりを惜しみながら帰路に着きました。
きっと、多くの参加者が、また石徹白を訪ねることは間違いないでしょう。

山村づくり講座 ふじお記


螺旋式ピコ水力発電装置 』『ピコピカ』の詳細は、公式ホームページ
http://fearth.org/pikoweb/
をご参照下さい。