2014年4月1日火曜日

長良川鵜飼船の調査

森林文化アカデミー・ものづくり講座教員の久津輪です。
3/30〜31の2日間、長良川鵜飼船の調査が行われました。神奈川大学、日本常民文化研究所、瀬戸内海歴史民俗資料館、岐阜市歴史博物館、岐阜市うかいミュージアム、岐阜市役所、関市役所、森林文化アカデミー、それぞれから和船研究者、鵜飼研究者、行政関係者が集まって行われたものです。

まずは岐阜市歴史博物館の倉庫を見学。この鵜飼船を含む長良川鵜飼用具一式(122点)は、国の重要有形民俗文化財に指定されています。

鵜飼船の全長は13メートルにも及びます。
私はまだ和船の勉強を始めたばかりで詳しいことは分かりませんが、和船研究の先生が、この船は日本の川船の原型を残す非常に貴重なものであること、これだけの大きさのものが一定の需要のもとに作られ続けているところは日本でもここだけであること、などを話しておられたのが印象的でした。


係留されている観覧船と造船所も見学。観覧船の造船所は岐阜市営です。木造和船の造船所を自治体が抱えるのは全国でここだけだそうです。


森林文化アカデミーのある美濃市には、82歳の現役船大工、那須清一さんがおられます。
遊び心あふれる看板。手前は平面図、裏は側面図になっているのが分かりますか?

那須さんはお元気でした。全長9メートルほどの漁船を製造中です。ただ、漁船の需要はここ数年でめっきり減ってしまったとのこと。那須さんの住む集落でもかつてはほとんどの家がアユ漁をしていたそうですが、多くがやめてしまったのだそうです。


最後に、郡上市の船大工、田尻浩さんを訪問。若い頃、那須清一さんのもとで8年間修行した方です。今は鵜飼の鵜匠が乗る船はすべて、田尻さんが作ります。現在も岐阜市の鵜匠の船を製造中でした。

和船づくりも、木の選び方、組み方、道具の使い方など、細かく聞いていくと実に興味深いことばかりでした。たとえば、板を縦に継いでいく時、普通は下の写真のように継ぐのですが、


側板のへりだけ下の写真のように継いであります(追掛け継ぎ)。ここは乗り手が膝を当てたりして特に力がかかることから、前後左右にずれないように特にこうして継ぐことになっているのだそうです。
今回の調査に同行して、この地域の木造和船の技術が貴重な財産であることを改めて感じました。技術が残るためには、使う文化を育てなければなりません。漁船の需要がなくなる中、新しい発想での取り組みが求められていると思います。森林文化アカデミーとしても何ができるか、これから考えていきます。
この調査を企画してくださったのは、森林文化アカデミーでも非常勤講師をお務めいただいている石野律子先生(手前左)。石野さんのおかげで立場の異なる多様な人がつながりました。人のつながりができると、困難な状況でも前に進めるような気がしてきます。つなぐ人は重要ですね。石野さんに感謝です。


明るい話題のオマケをひとつ。田尻さんが「いま作っている船が終わったら仕事がなくなる」とこぼしていたその時、なんと岐阜市から鵜匠さんが訪ねてこられて、私たちの目の前で鵜飼船を1艘注文して行かれました。これにはビックリ。
田尻さんにはこれからも船を作り続け、できれば後進も育てていただきたいです。


船大工、運行業者、研究者、愛好家など、和船に関わるさまざまな立場の人たちが有益な情報を交換しあい、技術や文化の継承に役立てることを目的としてメーリングリストを運営しています。関心ある方は以下のフォームからご登録ください。
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