2014年4月8日火曜日

こんなん咲いてました95

ヤマザクラ


いよいよ明日は入学式です。森林文化アカデミーでも新入生を迎えるべく静かに準備が進行中です。アカデミー入り口付近のソメイヨシノは今を盛りと咲き誇っています。今年は桜を背景に入学式を迎えられそうです。

「木漏れ日の塔」と満開のソメイヨシノ

ソメイヨシノは人が関与してできた園芸品種ですが、アカデミー構内には野生の桜も生えています。アカデミーが開学する際に、元々あった林の一部が構内に残されているからです。その中にヤマザクラの木があります。ヤマザクラは葉が出てしまえば他の緑に埋もれてしまってわかりませんが、春先の今の時期だけは一面に花をつけて自己主張しています。

アカデミー構内のヤマザクラ

ヤマザクラは花の時期と同時に出葉するので、赤茶色い新葉と僅かに桃色に染まった花弁の取り合わせが実に上品です。ソメイヨシノは展葉に先だって開花するので派手ですが、一方でどことなく出来過ぎというか不自然さもあるような気がします。その点ヤマザクラは赤茶色の葉が添えられているおかげで野生の趣が色濃く出ているように思えるのですが、いかがでしょうか。

生態のお話をしますと、サクラ属の野生種は、遷移の初期に現れる陽樹である場合がほとんどです。先駆種であればギャップが形成されたところで更新するため、地形的に崩れやすい場所に集中して出現しそうですが、この時期に山の斜面を観察してみると、ヤマザクラが開花している場所は、そういった場所に限られていないように見えます。明るい広葉樹林であれば、乾燥した尾根部を除けば幅広い環境で生育できる種なのかもしれません。

山の斜面で開花するヤマザクラ

その一方で、時々山の斜面でヤマザクラの密度がまわりに比べて高いところも見かけます。これは選択的にヤマザクラを切り残した結果ではないかと思います。昔の吉野の花見も、想像するにただ野生のサクラを愛でるだけでなく、選択的に切り残すことによって望む景観を作っていたのではないでしょうか。

ヤマザクラだらけの斜面

ソメイヨシノはオオシマザクラとエドヒガンの2種類の野生のサクラが関与してできたと言われていますが、最近のDNA解析を用いた研究で、わずかではありますが前述の二種のほかにヤマザクラ特有の遺伝配列を持っていることが明らかになったそうです。園芸品種の形成に関与している野生のサクラとしては、エドヒガンの名前がよくあがりますが、ヤマザクラも多くの園芸品種の形成に関与しているようです。ヤマザクラはそれだけ昔から日本人と暮らし続けてきた桜であるといえそうです。



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