2015年4月19日日曜日

「コミュニティビジネス(CB)起業論-実践編」スタート!


クリエーター科2年生の新科目「コミュニティビジネス(CB)-実践編」は、卒業後に起業を目指す学生のための実践的な授業です。各人の事業計画を磨き上げるためにビジネススキルを学ぶことはもとより、先輩起業者や起業者相互のネットワークづくりを通じて、各人のビジネスマインドを涵養してくことを目標としています。
 
4月の初回はいきなり合宿形式の2日間集中演習です。5人の受講生は、最初に1年次に作成した各人のビジネスプラン(事業構想)を発表しました。なかなか面白いアイデアが並んでいますが、まだまだ穴も多い…。 

この発表を受けて次のステップでは、和田先生から「そもそもビジネスの目的とは?、ビジネスモデルと事業計画の違いは?」といった基本講義を受けた後、[顧客にどんな価値を提案するのか×利益の出し方×そのプロセス]を組み合わせた「9セルマトリックス」を考えていきました。自分の事業構想のあいまいな点や矛盾点が整理されたと思います。
 

夕方から、一人目のゲスト講師としてクリエーター科12期生の卒業生で「郡上木履」というブランドを立ち上げた諸橋有斗さんを迎えて、先輩起業者のお話を聞きました。諸橋さんは、ものづくり講座の授業を通じて「郡上踊り下駄」を地産地消のヒノキ材で作ることを思い立ち、その実現のために課題研究に取り組むかたわら「東海若手起業塾」にも通って助言を受け、在学中の夏には実際に「踊り下駄100足」を製作し販売しました。


卒業後は、㈱郡上割り箸に在籍して下駄事業部を立ち上げ、先輩や仲間の支援も受けながら、順調に販売数や販路を伸ばしています。「日本一かっこいい下駄ブランドを創る」というこだわりを持ちながら、最終目標は「郡上の森林に貢献すること」だと言います。事業構想の動き出しから2年間の実践で得たさまざまな実践ノウハウや経営データまで披露していただき、受講生は大きな刺激を受けたことと思います。


 
2日目は、二人目のゲスト講師として愛知学院大学経営学部教授の鵜飼宏成先生をお迎えしました。鵜飼先生は「アントレプレナー(起業者)教育」の専門家として、大学で多くの学生を指導しながら、名古屋圏の企業や商店街と学生が提携した商品開発やテストマーケティングを続けてきた経験豊富な方です。
 
今回の演習では「ビジネスゲーム(トータルゲーム製造業編)」というボードゲームを使って、経営者(起業者)が身に付けたい経営感覚をつかむグループワークを一日かけて行いました。
 

31組でボートを囲み、コインを使いながら、[原料を仕入れ→製品製造の機械と人を動かし→市場で販売して利益を上げる]流れを体験します。各期末には損益計算書や貸借対照表を簡易にしたフォーマットで決算も行います。


 これを56期繰り返した後で、ふりかえりを行いました。同じ資本金でスタートしたにもかかわらず、9名の参加者の最終業績には大きな違いが生まれました。そこから各人が考えた「経営者としての教訓」を出し合い、それを簡易に整理しながら、鵜飼先生が実際のビジネス環境や企業経営の実例と結び付けながら解説してくださったので、かなり実際的な勘所に近いものが得られたのではないでしょうか。
 
 
 まとめのコメントとして、事業経営者(起業者)にとって真に大切なのは、経営資源を戦略的に組み合わせながら利益を出す仕組みを構築すること、変化する市場の流れを読んで的確に対応できる判断力であると指摘されました。こうした経営感覚を身に付けるには、自分自身の考え方のクセや陥りやすいパターンを自覚し、日頃からバランスの取れた価値観やポジティブな行動規範を心掛けていくことが必要です。



 受講生の皆さん、第1回の授業はいかがだったでしょうか?この授業で学ぶエッセンッスがぎゅっと詰まったような中身の濃い2日間でしたが、これからじっくり鍛えて実力を伸ばしていきましょうね。
ゲスト講師のお二人にも篤くお礼を申し上げます。
 

報告:嵯峨創平(山村づくり講座)