2015年11月11日水曜日

200年以上続く古川家の林業を見る

家訓を守り、山を守る、それが林業なのか


 1810年から林業を営んでおられる郡上市美並町の古川家の林業経営を学ぶため、クリエーター
科林業再生講座2年生が朝から夕方まで、所有山林を見せて頂きました。

 今日は朝9時から夕方5時まで、社長の古川秀樹さんが所有山林の管理を含めて所有山林の
一部をご案内して下さいました。

 古川家の8代当主である古川七兵衛義明が文政年間に植林を郡上藩に上申した歴史があり、
その名残の造林木が古川家の裏山に2本残っています(上記写真)。

 古川家の所有山林は約1550ha、標高約800m以上の部分は天然林のまま保存されており、
無理な林業行為はされていません。

 古川家の山々を一望しようと、美濃市、関市、郡上市境を走る林道から遠望しました。
山並みはまるでジオラマ模型のように、よく見渡せます。


 写真では分かりづらいですが、正面は御嶽山右端は恵那山、左端は乗鞍岳が見えています。

 遠望した林分は、施業の違いによって林相、樹齢の違いがモザイク状に見ることができました。

 古川家の山林はスギ人工林が287ha、ヒノキ人工林が662ha、天然林が約564haほどあり、
人工林によっては造林木が3代目となる林地もあります。


 伐採は皆伐も実施するが、伐採の主体は間伐と択伐。 間伐・択伐は約10年間隔で実施され
枝打ちは実施していません。

 途中で森林公社の関係者の方々と一緒に、古川さんのお話しを聞きました。

 この現場で収穫されたスギで最も樹高があったのは、110年生で45mであったそうです。


 現在では1haの立木を伐採しても、差し引き収入は300万円ほどにしかならない。しかし、
再造林するとこの300万円を投資しないと、人工林が成立しない。

 だから林業は厳しい。 再造林用の苗木は福井県の味真野を使っている。


 斜面に生えているヒノキは約10年ごとに間伐しているが、間伐作業に入る前に林内を下刈り
している。この約110年の林も昨年間伐したばかりとのこと。


 星宮神社近くには、スギの約130年生の林とスギの186年生の林が接しています。

下の写真の切り株は、今年の全国育樹祭のための「木曳き」に用いたスギを切った切り株。

 この切り株は、森林文化アカデミー卒業の松山さんが、見事に伐採したものだそうです。
切り株には梢が挿してありました。

 次に向かった現場は、古川七兵衛義明が文政年間に植林した名残のスギが2本残る現場。

 ここは古川家の裏山に当たり、ここに200年生の人工造林木が生き残っているのです。
斜面の下側にあるのが下の写真の個体。
 

 斜面の上側にあるのが、下の写真の個体。直径は1.5m以上あります。 江戸時代の文献にも
しっかり記された現物が目の前に生えているのです。


 さて、最後に訪れた場所では、古川家と他の所有者との境がはっきり分かる場所がありました。

 下の写真の中央が境界で、左側が他の所有者、右側が古川家。 何でも隣接地が伐採されると
生えていたヒノキの枝が空いた空間に枝を伸ばそうと曲がるそうで、ここでもそうした形成が見られ
ました。

 一日中、古川家の林業を見て、説明を受けましたが、内容によってはマル秘技術もあるので
ブログに記すのは控えさせて頂きました。
 
以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。