2012年11月22日木曜日

森林GIS・治山GISを学ぶ「森林情報」クリエーター科1年生

 クリエーター科林業再生講座の「森林情報」で森林GIS・治山GISを学びました。
メイン講師はジリこと川尻秀樹、今回は最初にGISやGPSについて説明、その利用方法や価値を
講義し、レーザー光線による航空測定でのレーザープロファイリングなどについて基礎知識を入れ
ました。
 そして、レーザーコンパスによる測量と樹高測定などを簡単に体験実習し、午後から岐阜県庁の
治山GIS森林GISを学びに、県庁に行きました。


 県庁の重要案件を取り扱う部署であり、林政部森林整備課の協力を受けて、セキュリティの厳し
い中枢の部屋に入れて頂き、森林整備課の園山技術主査、治山課の梶浦技術主査から説明を受、け実際にパソコン操作を体感しました。


 治山課の梶浦さんからは、治山GISの必要性について、実際の土砂流出地での現状とその復旧
工事も含めて説明を受けました。

 岐阜県には治山堰堤や谷止工などの施設が22万ヶ所以上あり、治山GISにはそれらのデータ
がすべて網羅されています。・・・スゴイ!
 
 上の写真が土砂流出状況、下の写真が堰堤を入れるなど対策後の写真です。
 こうした土砂流出の予測を事前にできれば、危険地域の事前把握に役立ちます。それを治山GIS
で考えています。


 これは岐阜県の治山GISでのシミュレーションです。図の青線で囲んだ範囲は降雨の集水域、
そこに集中豪雨が降って土砂崩壊するとどこから土砂が出るのか示したのが赤点、そして流出
した土砂が下流域のどこまで達するのかを示したのが、上の方の黄色い部分です。
 谷から流れ出た土砂は図の左側の上流側にも流出し、右側の下流側に大量に出て行く予測が
されています。
 赤点の部分から多くの土砂がでるので、そこに谷止工などを設置すれば効果的、これが治山
GISで視られます。


 さらに驚くことに、岐阜県庁の治山GISでは、予測される流出土砂量から写真のような堰堤も簡
易に設計してくれます。これで概略の予算予測をつけることができます。これまたスゴイ

 次に森林GISについてです。
園山さんからは森林簿のデータを基礎に森林GISを作っていること、来年からは第3期の森林GIS
に変更されることなどをお聞きしました。
 森林簿は県庁が地域森林計画をたてるため、市町村が市町村森林整備計画をたてるため、そし
て森林所有者や森林組合等が森林経営計画をたてるために配布されることなども説明を受けて
森林GISの基礎演習を行いました。


 学生が使用するノートパソコンは大変高価で、一台200万円もします。引率した私は授業よりも、
パソコンに何か無いことを祈るばかり!
 林分の小班ごとに、条件設定を変えると、何枚ものレイヤーがかぶさったデータが表示されま
す。


 時々、入力にとまどうと園山さんが、記憶にとどまらないようなスピードで入力してくださいました。
小班界を林種別に表示するとか、人工林を樹種別に表示するとか、一瞬で欲しい情報が手に入り
ます。

 今回のデータは県庁だけのデータであり、一般には公開されていません。岐阜県庁では森林整
備のさらなる推進のためGIS事業に積極的に取り組んでおり、取り組み状況は全国的にもトップ
水準です。
 こうした貴重な体験ができるのも、岐阜県立の森林文化アカデミーの利点だと感じ、林政部の
みなさまに感謝して、学生とともに帰路につきました。