2013年2月25日月曜日

24年度 第16回 施業プランナー育成研修 事業予定発表 最終

 平成24年度の第16回「施業プランナー育成研修」

  施業プランナーになるべく、5月から合計16回(宿泊研修を含めると17日)の研修を実施してきた
成果を発表する「事業予定発表」をもって、約10ヶ月に及ぶ研修が終了となります。


 

 発表は岐阜中央森林組合、㈱遠藤造林、(有)美山木材、いび森林資源活用センター
協同組合、揖斐郡森林組合、(社)岐阜県森林公社、中濃森林組合、郡上森林組合、
八百津町森林組合、恵那市森林組合、付知町森林組合、恵南森林組合、付知土建
株式会社、小坂町森林組合、飛騨高山森林組合、飛騨市森林組合、㈱長瀬土建、
㈱林工務店の方々18名。

 各自が集約化した現場の事業計画や進捗状況を報告しました。評価のポイントは集約化や施業
提案、目標林型、収支計算、進捗管理など様々なポイントがありますが、そもそも「経営計画」に
結びつくようなものになっていなくては意味がありません。


 県庁森林整備課の長沼課長も多忙な中、発表会のためお越し下さり、研修受講者にエールを送
って下さいました。

 
 今回は女性のプランナー受講者もあり、なんと森林文化アカデミーの卒業生の方です。女性進出
の少ないこの分野、大変貴重な紅一点なのです。
 彼女の勤務する森林組合では、板材として製材できる木材生産を主目的に、目標林型を定め
て、伐採業者に不良木を中心とした間伐を依頼する事業内容となっていました。
 一部の利用間伐では収入が見込めないことや、立地条件が黒ボク土壌であることなど、様々な
難問をかかえる現場で苦慮していました。
 
 
 
 ある建設業の方は、建設業としてではなく、林業の会社としての新しい第一歩を踏み出す覚悟を
もって取り組んでおられる内容を示して下さり、素材生産費は13,500円/m3とまだまだ高いものの
、「シルブの森」ソフトによる検討やホイール式グラップルの利用など、将来性のある取り組みを紹
介してくれました。
 
 
 各自、集約化した森林での路網計画や間伐計画を図などで説明していきます。多くの発表者が
路網の線形に苦慮し、発表者によっては架線系(スイングヤーダ、タワーヤーダ、ラジキャリ)や
従来からの集材架線を組み入れて発表しました。
 
 
 
 
 
 
 発表者によっては、2枚上の写真のように、急傾斜地に無理矢理作業路を開設して、路網延長を
稼いだ事業地もあり、未立木地のつづくような「つづら折り作業路」に対して、横井先生から厳しい
指摘というか、当然のような指摘を受ける人もいました。
 現場を管理監督しながらの仕事、本人も相当悩んで実施した現場であったことを考えると、今回
の反省をふまええて、次回はより良い作業道の検討をしてくれるものと期待しています。
 
 
  今回は建設業界が設立した協同組合の他に、林建協働による発表も3件ありました。
林建協働とは例えば森林組合と建設業が協働で実施するもので、建設業の方々は作業を開設や
工程管理などの面で、林業分野よりもしっかりした面が多々見られました
 
 しかし建設業の方達によると、「これまで建設関係の座談会では多くの方が参加するのが常識
あったが、林業のための座談会を開催しても参加者は本当に少ない。19人に対するご案内で
6しかお越しにならず、愕然とした。森林や林業に対する関心の低さを改めて感じた。」
 
 との意見も出ました。
 
 
 建設業の人たちは、林業に対してある意味無用な先入観が無く、施業プランナーで習得された考
え方や技術を駆使して、提案型集約化施業に取り組んで下さっています。
 
 
 
 多くの林業事業体の人たちと違って、目標林型自体の理解度も高く、現実可能かどうかはさてお
き、写真のようなシミュレーションもある程度描いて、所有者説明できるレベルにまで来ています。
 

 



 最後の発表者は飛騨の岩佐さんでした。岩佐さんの現場は10~12齢級のスギ林が多く、この林
で胸高直径50cm、樹高24m、立木密度455本/haの林分を目指しています。

 
 
 岩佐さんはシミュレーションの中で、最終的にどれくらいの収入が得られるのかをA材・B材・
C材に分けて計算したものの、対象地は搬出できないような林分が多く、切り捨て間伐になってし
まうことや、所有者の理解が得られにくいこと、があることも発表されました。
 
 あわせて今後は広葉樹の活用も組合として取り組み、同時に森林環境税などの事業支援も視野
にいれて活動していきたいと発表されました。
 
 
 
 こうした発表の中でも、普及員を代表として高井AGさんが、森林環境税導入の可能性について
良いアドバイスをされ、発表を通して多くの研修者が森林環境税の利用に光を見い出す一面もあ
りました。
 
 
 最後に県庁森林整備課の高井森林経営対策監、上級森林施業プランナー候補生の恵南森林組
合の戸根さん、そして講師陣の横井教授、杉本助教からも講評を頂きました。
 写真は恵南森林組合の戸根さんで、先輩として大変有り難いお言葉を頂いたのです。
 
 
 最後は研修受講者が森林文化アカデミー篠田学長から修了証を授与され、記念撮影です。
研修者と篠田学長、横井教授、杉本助教、そして川尻が一緒に写真に収まったのです。
 
 プランナー受講生の皆さん、これからが本番です。多くの後輩の見本となるべく、頑張って下さ
い。
 
 最後に、研修を受講されました皆様、研修に送り出して下さった会社の皆様、講師陣を努めて下
さった業界の皆様、そして研修をバックアップして下さった県庁、森林研究所、森林文化アカデミー
の皆様、本当に有り難う御座いました。
 また川尻個人的には、最後まで良く動いて下さった下野技術主査やTAの佐藤さん、渕上さんに
も感謝致します。
 
 以上、報告JIRIこと川尻秀樹でした。また、5月にお会いしましょう。