2014年5月11日日曜日

知る・創造する・伝える力~ものづくりと暮らしゼミ~

GW明け、アカデミーキャンパスも新緑に包まれました。


クリエータ科では新入生が分属を決め、専門科目が始まりました。ものづくり講座も、「ものづくりと暮らしゼミ」がスタート。今一度「暮らすこと」を、2年間を通して見つめ直す授業であります。日々の当たり前の生活は、習慣として、無意識に過ぎてしまいます。その暮らしを意識することが大切であると考えます。何故なら、モノは暮らしを豊かにするためにつくられ、今、「豊かさ」とは何か?が問われているからです。

初日は恒例の「伝えるワークショップ」。ペアを組み、お互いの持ちモノを通して人柄を伝える課題です。与えらた時間は3時間。1日限りの展示会です。

10:45
先ずはそれぞれの大切なモノについて知るところから。人生は「選択」の連続です。選んだモノも然り。モノの聞き取りをしながら、実は人を知ることがテーマです。

 

13:15
集めた情報を、創造力を駆使し、キュレーション。伝えるための展示手法を模索します。自身の過去を振り返りスキルを選択し、限られた時間の中でそれぞれが自分に出来る手法で制作に入ります。


その間に展示会場を選択し、展示台を選び、伝えるためのしつらえ」を協力して準備します。
会場に野の花が飾られました。
もてなし」の気遣い、こころの余裕・・・とても大切ですね。
でも15時から展示会開始。どうなるのでしょう?


14:50
制作も佳境。
ギャラリートーク10分前・・・

15:05
5分遅れで完成!伝える時間、ギャラリートークの開始です。
伝える相手は、ものづくり2年生及び教員。
どこから来て、なぜこの場を選択し、どこへ行こうとしているのか?
そして、相手の大切なモノを通して、その人柄を伝える。持ち時間は各自10分程度。
 
先ずは、1年生代表から展示構成の説明。会場入り口の野の花がさりげなくて良いですね。 
 
自然光も意識した、掃き清められた空間。
キャプションも端材等を生かしたシンプルなモノとなりました。
  

本年度の展示手法の傾向は、オリジナリティーとしては少し物足りない展示でした。
過去にはこんなキャプションも!

 
しかし・・・、会場入り口には、初めてタイトルパネルの設営。
互いの調和の取れた「間合い」。花を飾る気遣い。限られた時間を「私」に使うのではなく、「私たち」のために使う姿に、マズローの言う「自己実現欲求」の先の「利他」の段階。つまりコミュニティーのための時間の使い方、ソーシャルな眼を感じました。
  
   
「私から私たちへ」  しつらえ・もてなし・間合い・もったいない
日本人の感性価値
大切な価値観を共有できた時間でした。


 作品をいくつか紹介しておきます。

初めて人を展示の一部に!
「彼女はモノの展示では表現しきれない・・・」と圧倒されたキュレーターの姿を通して
彼女(外見からは想像できない)が、今まで経験してきた、様々な人との出会いや
目には見えない財産が伝わってきました。

サイズの小さなハサミ。
何気ないモノの背景を知ることにより、それを大切なモノとして選んだ人の人柄を・・・そして今につながる一貫性が伝わりました。


青木繁の有名な絵画「海の幸」(写真右上の額)。
実は初めて赴任した職場近くの海岸の風景でもあり、アカデミー入学前の春に改めて対面してきた絵画でもそうです。始まりがあれば、終わりがあり、また始まりでもある・・・展示された3点すべてから、節目を大切にする人柄が伝わりました。


一期一会

ものづくり講座 
松井勅尚からの報告でした。