みなさん、JIRIです。今日はクリエーター科1年生の林業再生講座と山村づくり講座の学生を対象
とした『野生動物管理概論』で、郡上市和良町で岐阜県農政部の酒井義広獣害対策監から獣害
対策と地域づくり、「平成の里人 ~集落の絆で防ごう鳥獣害被害・耕作放棄地~」をご教示頂き
ました。
酒井さんは耕作放棄地を含めて20haの田畑の畦畝に防草シート(幸作シート)を敷設し、鳥獣
害対策として猪鹿鳥無猿柵(いのしかちょうむえんさく)等の設置、絆ベストなど追い払い活動、
退散鳥獣というロケット花火の銃、グリーンツーリズム活動などなど、職務を越えて地域に密着
しか活動をしています。
岐阜県には約5万頭のニホンジカがいるが、毎年15000頭ほど捕獲しないと増加する。
鳥獣被害は①集落住民総参加、②侵入防止柵の周年設置、③餌場・呑み場の解消、
④追い払い隊の結成と服装、 ⑤有害鳥獣の捕獲駆除
猪鹿鳥無猿柵は設置が肝心。
意外に効果があるのが高さ60cmくらいまでの「目隠し」、単にワーヤーメッシュ柵でもステンレス
ワイヤーの入った猪鹿鳥無猿柵でも、見える限りは完全防御できない。
いかに目隠しするかが重要。
田畑の畦の草はニホンジカのご馳走。 だからこそ、防草シートで完全に被えば餌もつくらず、
かつ草刈りの手間も省ける。
防草シートをマルチの代用に穴を空けて、植物を栽培すれば良い。
獣の防御には餌場環境、行動ルートも知らなければダメ。
戸隠神社の森はコシアブラやヒサカキなど、様々な樹木がニホンジカの食圧を受けて景観が
一変してしまった。
最近はパワースポットとして観光に訪れる人もいるので、社叢林の中に猪鹿鳥無猿柵を設置し、
植生復帰し始めた。この柵は黒っぽいため、近づかないと目視できない。
捕獲したニホンジカの頭が池の中に入れてありました。池の鯉と微生物が上手に骨だけにして
くれます。
気持ち悪と思われるかもしれませんが、こうして得られたスカルプ標本や角は道の駅で販売し、
現金収入となるのです。
最後に「退散鳥獣」というロケット花火専用銃の製造工房を訪問し、様々なタイプの銃を見学。
ステンレス管のハイブリット銃や三連発銃、平成の威鉄砲なども見学し、その後は畑で試し打ち。
最後に、酒井さんは『日本人の歴史は雑草と獣との戦いであった』と述べ、地域住民みんな
で、如何に雑草対策と獣害対策に取り組むかを力説されました。
以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。