山村づくり講座が毎年開催している短期技術研修「農山村サポーター交流会ぎふ(通称:農サポ)」が2月20日に森林文化アカデミーで開催されました。今年の特徴は、岐阜県「清流の国ぎふまちづくり実践隊養成講座(略称:養成講座)」と共催で開催したことです。県内の地域おこし協力隊、集落支援員をはじめ、行政担当者、地域団体、それに都市部の連携団体も集めて、過疎地域へIターンする若者達に関わる60数名が一堂に会して、実践報告と交流を行いました。
平成26年度の「養成講座」は、山村づくり講座の教員が企画運営を応援して、9月20日にスタートしました。第1回は、藻谷浩介氏の「里山資本主義に基づく地域活性化への提言」と題した基調講演に始まり、3つのコースの導入ワークショップが行われました。多くの過疎地域で地域おこし協力隊等の課題となっている①特産品づくり、②空き家活用、③ファシリテーションです。
その後、第2回~第3回は「特産品づくり研修コース」を名古屋学院大学教授の秋元浩一先生が、「空き家活用研修コース」を美濃丈プランニング事務所代表の中田誠志氏が、「ファシリテーション研修コース」を認定NPO法人ムラのミライ専務理事の竹内ゆみ子氏と森林文化アカデミーの嵯峨が、それぞれ講師を務めて見学・実習・座学などを重ねてきました。
今回は、午前中その成果発表会が「養成講座第 第4回」として行われました。①コースの発表は山県市集落支援員の山口晋一さん。山県市の農家レストラン「舟伏の里へおんせえよ~」を拠点に新たな特産品「北山おばぁがー」を開発した経緯について発表しました。
③コースの発表は下呂市地域おこし協力隊の中桐由起子さんと白川町地域おこし協力隊の山本葵さん。研修で学んだ4つのスキル(事実質問、事実にもとづく政策提案、地元学インタビュー、ファシリテーショングラフィック)を使って、任地でファシリテーションを実践した成功と失敗の成果を発表しました。
ここまででも内容ぎっしり。これらの題材をさらに掘り下げ繋ぐために、農サポ連携団体である「東海サポ人ネット」が準備したお弁当を食べながら、昼食を兼ねた交流会が行われました。養成講座の3コースに加えて、東海サポ人ネットがホストとなったフリートーク「田舎暮らし楽しんでる?」も開催。大きな会場をラティスで4つに仕切り、簡易会議用テーブル「えんたくん」も導入して、密度の濃い意見交換が行われました。
最後は、養成講座の講師陣4人が揃って「まちづくりトークセッション」を行いました。「新規参入人材と農山村コミュニティのコラボ」をテーマに、各コースの研修成果と課題から見えたポイントを取り出しつつ、会場の発言も交えて討論を行いました。印象的だったのは、モノの成果が見える「特産品」「空き家」も、コミュニケーションに焦点を当てる「ファシリテーション」も、同様に人と人・モノとモノの【つながり】が重要だと指摘した点、そして「このままでいいや」という沈滞ムードから【一歩ふみだす】きっかけ作りが大切だと言っていた点でした。
参加した皆さんのアンケートにも、印象に残った言葉がたくさん書き留められていました。また「新しい出会いがあって有益だった」というコメントも。2つの研修が合体した初めての試みは、内容充実で刺激的な会となりました。参加者スタッフの皆様に篤くお礼申し上げます。
記:山村づくり講座 教員 嵯峨創平