2015年7月24日金曜日

地元の木(アベマキ)を使って小学校の卒業記念品をつくる



毎年ものづくり講座で行う「地域材のクラフト開発」という授業があります。これは、岐阜県内の施設などと協業でオリジナルグッズを開発し、実際に販売などを行うものです。過去には清流国体グッズや岐阜市のうかいミュージアムのミュージアムショップ、美濃加茂市のみのかも文化の森のオリジナルグッズを開発してきました。

そして今年取り組んでいるのは、美濃加茂市の山之上小学校の卒業記念品です。これは、森林文化アカデミーが美濃加茂市と可茂森林組合とで取り組んでいるプロジェクトが発端になっています。

美濃加茂市には豊かな里山風景が広がるエリアがあります。その里山林に多く自生しているのが「アベマキ」という樹です。アベマキはクヌギに近い樹種でコルク層が発達します。このコルクを利用する事例はありますが、木材としては非常に硬く、反る、ねじれるなど厄介な材で、薪や炭には適しているのですが、木工の材料としては全く利用されてきませんでした。

このアベマキが大きくなりすぎて、しかも大量にあるという現実に困っていた美濃加茂市は、チップ材として出していたのですが、なんとかいいかたちで利用できないか、ということでアカデミーに相談してきたのです。そこで、さまざまな検討をした結果、地元の小学校の学校机の天板として活用するプロジェクトを始めることになりました。

今年1月、生徒たちが見守る中、大きなアベマキの木を伐採


このプロジェクトでは、6年生が伐採、制作に関わり、翌年入学する1年生にプレゼントする流れなのですが、肝心の6年生はものとして何も残らないじゃないかということから、卒業記念品もアベマキで作りたい、という話になり、この 「地域材のクラフト開発」という授業で取り組むことになったのです。

4月から何度か市役所担当者や森林組合の方たちと協議しながら、試作品を作り、小学校の保護者からも意見を取り入れながら進めてきたのですが、7月10日に美濃加茂市役所庁舎にて、副市長や教育長、小学校の校長先生などにお集まりいただき最終プレゼンをさせていただきました。



これまで、「中学校にあがるということ」とはどういうことなのか、「地元の木で作られたものを持つということ」はどういうことなのか、いろんな角度から考え、また自身のこれまでの経験も踏まえ、学生たちはものを作り、その思いをプレゼンに込めて発表しました。






プレゼンを聞き、アイテムを手にしてくださった方みんなが、「 ものとしてどれも素晴らしく、捨てがたい」とおっしゃってくださいました。しかし、一つ選ばなければいけません。投票の結果、冒頭の写真にある「アベマキのシャープペンシル」に決まりました。



最後、日比野教育長から総評で、「使えば使うほど壊れていくものが多い中、木でできたものは使えば使うほど味が出る。これが地元の木で作られていればなおさらいい。」 というお言葉がありました。改めて木工という仕事が人々の暮らしに寄り添える尊い仕事だと感じました。

さて、今回決まった卒業記念品は、さらなるブラッシュアップを経て、量産体制に入っていきます。また追って報告したいと思います。こうご期待^^