2011年5月19日木曜日

こんなん咲いてました82

今の季節、公園などで真っ白な花を一面に咲かせて目立つ木があります(上写真)。
ほとんど葉っぱを覆い隠すように咲いているので、遠くから見ると、まるで雪を
かぶったようです。

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わが森林文化アカデミーでも、小さな木が道沿いに並んで多数植えられていますが、
小さくてもあふれんばかりに花をつけています。

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この木は「ヒトツバタゴ」といって、国内では自然には木曽川に沿った東濃地方およ
び長野県の一部と、対馬にしか分布していない珍しい樹木です。見慣れない木という
ことで、ついた別名が「ナンジャモンジャノキ」だそうですから、該当する地域以外
では本当に珍しい木だったのでしょう。

実はこの種には、実をつける木とそうでない木があります。実をつける木が咲かせる
花には雌しべと雄しべがありますし(写真右側)、実をつけない方の木には、雄しべ
だけしかありません(写真左側)。こういった性表現を専門的には「雄性両全性異株」
といって、珍しいとされています。さすが珍しい「ナンジャモンジャ」だけに、性表
現も珍しいですね。

津田先生がアカデミー構内に植栽されている47個体を調べたら、両性個体が33、雄
個体が13、花がなくて不明の個体が1個体だったそうです。私は実のつく個体が好ま
れるのですべて両性個体だけかと思っていたのですが、そうでもなさそうです。苗を
挿し木ではなくて実生から生産しているとすれば、このくらいの比率になるのでしょ
うか。

��個1個の花は小さくて目立ちませんが、大量に花をつければ昆虫に対するアピール
力は強いですよね。くだらないギャグでも畳みかけられるとつい笑ってしまうような
ものでしょうか。ちなみにヒトツバタゴの属名であるChionanthus は、ラテン語で
「真っ白な花の」という意味だそうです。わかりやすい名前ですね。

ヒトツバタゴの真っ白な花を見たい人は、ぜひ森林文化アカデミーへ!