2011年6月6日月曜日

森林文化アカデミーのテクニカルセンターに、新しい展示ができました

森林文化アカデミーでの研修などで多く使われるテクニカルセンター。
今回、そのテクニカルセンターのエントランス部分に山仕事の道具たちが新規展示されました。

ここに展示されたものは、飛騨・世界生活文化センターの「岐阜県ミュージアムひだ」の収蔵品を中心に、
長良川流域で使われた道具を追加展示してあります。

大物は山から木材を運搬するのに利用した「木馬(きんま)」や「手橇(てぞり)」です。
そのほか、木を伐採したり、丸太に玉切ったり、丸太を角材に加工するのに用いた鋸(のこぎり)や
与岐(よき:斧・鉞)、丸太を転がしたり、積み上げるために利用した鶴(つる)や鳶(とび)などです。



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 手橇の写真(一本橇にキリ、ヒノキ、クリの丸太が載っています)

写真のような手橇(一本橇)に丸太を載せて、雪の斜面を下っていきました。
実際には展示物の近くに掲載してある写真のように大量の木材を載せて、何キロもの距離を運搬しました。




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 木馬の写真(木馬に木材を乗せて、人が軌道の上を滑らせて運搬しました)

写真のような木馬は雪のない時期に丸太を運搬するのに用いました。
木馬の橇部分はカシの木で、ほかの部分はナラなどで、木材を載せる部分をつくります。
これに多くの丸太を載せ、鎹(かすがい)で止めて固定し、人力で木馬を操作しながら運搬しました。




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 鋸の写真(いろんな鋸が展示されています)

写真用にいろんな形の鋸が展示されており、細長い鋸でも柄の短いものは伐採用に、
柄の長いものは丸太に玉切るのに用いた「横挽き鋸」です。
横挽き鋸は刃一枚一枚が切り出しナイフの形をしています。
この鋸も同じ大きさの刃が揃ったものは「笹刃」、ところどころおが屑排出用の大きな穴のあるものは「目抜き」と言います。

また、一際、縦にも横にも大きな鋸は「大鋸(おが)」または「前挽き鋸」と言われる「縦挽き鋸」です。
こちらは江戸時代中期に開発されたもので、鑿の刃が多数並んだ形をしています。
この鋸を使った風景が葛飾北斎の浮世絵「遠江山中(とおとみさんちゅう)」、「本所立川」でも見られます。




是非、皆さんも一度、見てみてください。

川尻秀樹