2011年7月14日木曜日

森林整備の要 第二回「施業プランナーステップアップ研修」

森林整備の要 「施業プランナー」のうち、

昨年までに基礎研修を終えた人たちを対象とした「ステップアップ研修」
の第二回目を郡上市大和町で開催しました。



今回は岐阜大学総合情報メディアセンター教授の篠田成郎先生をお招きして、「流域環境を改善するための人工林施業の考え方」 と「簡易モニタリング手法」と題して、講義と実習を実施しました。

これまで、林野庁や林業行政関係者が行ってきたこととは全く異なる森林土壌や森林水文(森林の水収支のこと)の考え方、目から鱗、新しい発見の連続です。


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これは森林に降った雨が、その後にどのような経路をたどるか森林水文学的お話し、「なるほど」の連続です。話は、尾張藩の森林政策、長良川流域の江戸時代における森林行政、長良川での鮎(アユ)や天子(アマゴ)の漁獲量の経年変化まで、単に森林だけをみていません。





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これからの山の管理はどうすべきか。」、これまでの間伐材利用スタイルでは間伐材が枯渇することまで示唆されました。



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山の現場では間伐してないスギ人工林と適正に間伐されたスギ人工林で、土壌水分がどれほど違うのかを、参加者自身が観測と実験をしました。高分子ポリマーシートなども利用しました。




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継続的に森林からしみ出る水を4年以上、365日観測している小さな堰堤で、雨が降ると間伐した林の水はどのような水が出てくるのかを説明する篠田先生。




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間伐地や無間伐地で土壌円筒(直径5cm)の筒状の土壌を、深さ5cm採取して、そこに50ccの水を60秒かけて滴下する。

土壌を通して出てくる水が濁るのか濁らないのか、出てくるスピードは速いのか遅いのかなど、目で確認。

最初は10ccがしみ出てくるまでの時間を測定、次いで注いだ50ccの水のうち最終的にしみ出てくる水の量はどう違うのか。おもしろい結果が出てきます。


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最後に篠田先生が、各データを元に総合評価。ただし重要なのは今回の一回のデータ数値ではありません。もっとも肝心なことは、継続して同じ方法、同じ間隔で測定し、そのデータがどのように変動するかです。

一時的なデータに惑わされず、継続して森林を見て行く視点を教えて頂きました。 

川尻秀樹