岐阜県立森林文化アカデミーでの取得資格の一つ、「樹木医補」
この樹木医補のための 「造園土木」として、今日は「土壌学」の講義と実習を行いました。
講師は樹木医でもあるジリこと、川尻です。受講生はクリエーター科とエンジニア科の7名の若き精鋭たち。
午前中は、森林土壌や緑化地の土壌について、3時間の講義を受講してもらいました。
午後からは
(1)埋め立て地で填圧された造成土壌
(2)盛り土法面の土壌
(3)有機質が豊富で根系の発達した森林土壌
(4)有機質が乏しく根系があまり発達していない土壌
について、「土壌断面調査」をしました。
最初に(1)埋め立て地で填圧された造成土壌です。
この土壌は想像以上に堅く。剣スコで思いっきり踏み込んでも2cmしか掘れない。唐鍬でも数センチしか掘削できない。
非常に堅く、乾燥した土壌でした。同じ場所にはケヤキやトチノキ、クスノキ、ホオノキが植えられていますが、順調に成長しているのは植栽木ではなく実生発生したアカマツです。とくに水分要求度の高いトチノキの生長は悪く、現場の土壌には植物の根系はほとんど見られません。下の方には廃棄物らしき青い残渣物質が堆積していました。
次に、そこから30mほど離れた(2)盛り土法面の土壌を掘ってみます。ここはもともとの地山に土砂を盛った場所です。こんどは簡単に掘れます。
吹きつけ緑化された草地ですが、造成後12年ほどで表層土が少し腐植が入り込んで、黒くなってきています。土壌全体は赤土です。
次は、この盛り土法面から10m横の(3)有機質が豊富で根系の発達した森林土壌です。コナラやリョウブ、ヒサカキの生えた林では土壌は柔らかいのですが、根系が多くなかなか掘れません。
根を唐鍬や剪定鋏で切りながら約30cm掘りました。森林土壌はA0層、A層、B層と層位がはっきり見分けられます。
白黒のスケールは10cmごとに色分けされています。良い土壌では土壌は柔らかいが、根系が多くて土壌断面を採るのが大変なことが分かります。
最後に、森のコテージ下のツブラジイのある斜面で(4)有機質が乏しく根系があまり発達していない土壌を調査しました。
ここは土が粘って、なかなか掘れません。根系は前の土壌断面ほどありません。周辺にはツブラジイ、リョウブ、サカキが生えていますが、土壌に湿り気や堅さが違います。
今回は深さ50cmの土壌断面を掘って、層位区分をA0層、A1層、A2層、B1層、B2層と分けました。それぞれについて、「土性」や「水湿状態」、「土壌構造」、「土色」を調べます。
「土性」は土壌に砂が多いか年度が多いか。ここの土壌は「微砂質壌土と埴質壌土、埴質土」でした。
「水湿状態」は土壌を親指と人差し指でつぶして、水分の状態を見ます。ここの土壌は指に湿り気を感じる「潤」ばかりでした。
「土壌構造」は「粒状と塊状」でした。
最後に「土色」を土色帖で判定します。ここの褐色森林土壌は、7.5YRか10YRの色合いです。
色見本と併せて 10YR6/8とか、7.5YR4/6とか判定しました。
さて、今日の午後はヤブ蚊と戦いながらの土壌断面調査、みなさんご苦労様でした。本当に良い土壌はどうなっているのか。それを知れば、自ずと緑化地の土壌改良はどうすべきかが分かります。
これからも樹木の成長ににとって大切な「土壌」、もっと勉強して行きましょう。
報告 ジリこと 川尻秀樹 でした。