2012年2月13日月曜日

成瀬力造先生、圓谷公康先生をお迎えした「岐阜県 施業プランナー研修」 in 森林文化アカデミー

平成23年度の森林整備推進の要 「岐阜県 施業プランナー研修

その第15回基礎研修&第9回ステップアップ研修の合同の研修会が森林文化アカデミー
のテクニカルセンターで開催されました。

なお、施業プランナーステップアップ研修は今回が最終回で、残すは基礎研修のみとなります。

さて、今回が岐阜県森林組合連合会業務部顧問の圓谷公康先生と株式会社豊田自動織機 AL事業部コンサル担当部長の成瀬力造先生をお招きしました。

お二人とも、生産管理、工程管理、管理システム、原価改善から総合的なコンサルティングまで、幅広い分野での指導実績をお持ちですので、今回は合同の研修と位置づけて貴重な考え方を学びました。

まず、午前中は圓谷公康先生による「林業における事故と安全管理」についてです。

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講義の前段では「安全とは」、「管理とは」とう説明もありましたが、チャールズ・ダーウィンの言葉を引用され、
「最も強いものが生き残るのではなく、It is not the strongest of the species that survives,
 最も賢いものが生き延びるわけでもない。nor the most intelligent that survives.
 唯一、生き残れるのは変化できるものだけである。It is the one that is the most adaptable to change. 」


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そして、林業でもPlan Do Check ActionのP・D・C・Aサイクルを回し続けることの重要性を説かれました。

加えて、林業でもQCD、つまりQは品質(曲がり、腐り、割れ、含水率、強度、歩留まり)、Cはコスト(作業者人件費、機械償却、燃料費、管理費)、そしてDは納期(短納期、安定供給)。

これを考えながら、まず最初に心がけるのが「安全第一」です。
安全配慮義務やリスクアセスメント、KY活動など様々な事例を出して説明されました。

安全活動を中心とした組織内での意識と心構え、指導の方法についても生産管理の分野から深く開設して頂きました。

最後に、
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この「真剣だと知恵がでる 中途半端だと愚痴がでる いい加減だと言い訳ばかり」という言葉を見聞して、私自身が反省した講義でした。


 午後からは株式会社豊田自動織機 AL事業部コンサル担当部長の成瀬力造先生による「リーダーの条件 ~部下を育てて自分も育つ~」です。

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成瀬先生は最初に相田みつをさんの「花を支える枝 枝を支える幹 幹を支える根 根は見えねんだなあ」という詩を紹介され、研修を受講する者の本質を問題提示して下さいました。

最初に1.「違いの分かる人」について
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違いの分かる人は、(1)広範囲に観察できる人
(2)多角的な見方ができる人
(3)自己否定を厭わない人
(4)率先して垂範できる人
つまり、お客様目線で、物が見えて全体最適に取り組める人。鳥の目をもち風を読み、行動でき、時には事項否定も厭わない。そんな人材が違いが分かる有能な人なのです。・・・私も胸にグサリときました。


2つ目は「凡を極める」です。
私たちが普段、「あたりまえ」と感じてしまっていること、それへの振り返りです。生業とは何か、会社とは何か、私たちは「あたりまえのことを、あたりまえにやらせられる人か?」

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われわれの役割は「今日からできるあたりまえのことを(原価の基。Q.C.D.)を下げる努力と、管理し維持・更新して行くこと。」

��つ目は「巷に学ぶ」です。働くと動くの語源、人偏の意味を考えます。
仕事の中で「働く」と「動く」が混在していないか。つまり無駄な動きはないか
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職場に「ムダ、ムラ、ムリ」がはびこっていないか。管理しているのか?現場任せになっていないか?・・・・思いつくところは、数多いはず。

4つ目は「ビジネスとして捉える林業」についてです。
ビジネスの目的は「継続」、つまり社会貢献できなければ存在意義がない!

二宮尊徳は「道徳なき経済は犯罪であり、経済なき道徳は寝言である」と言われたそうです。

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多くの産業は各工程で、前後の関係におけるPDCAサイクルが回転して、お客様目線での生産管理がなされているが、林業はその場主義、各工程がそれぞれの思いや都合で生産していないか。林業は第一次産業と言われるが、製材品は第二次産業ではないのか

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製造業から見た林業の課題、やはりQ.C.D.の欠如、木材の等級や含水率、価格の不安定性(高い)、木材の不安定供給、これらが致命的になっている。
だからこそ、品質を管理し守る。原価改善で競争力をアップする。量と納期の厳守を実施するQ.C.D.を管理することが需要となる。

国産材の優位点を探ったり、出材計画表を作成したり、見直したりする。

5つ目は「日々是丹精」 晴耕雨読の商売など無い。ましてや「管理なし」と言う状況など、あり得ないが林業はどうか。

「決める」「教える」「守らせる」こうした日常管理の差が会社の差となる。 

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最後の6つ目が「部下を育てて、自分も育つ」です。
何度か繰り返されて言われた印象的な言葉が、
リーダーは必ずしも好かれない、ただし尊敬されなければリーダーにはなれない。」というものです。

部下を叱れないのは無関心だからである。「叱る」と「怒る」は違う。

~ ~ あなたは何のために生まれ、何をなすべきか・・・     
言われたことを、やるだけの人生で・・・いいんですか ~ ~

大変印象的で、受講生をはじめ私自身も大変勉強になりました。こうした講義をして下さった圓谷先生と成瀬先生に感謝すると共に、こうした研修を開催する機会を与えて下さった研修生や県庁の皆様に深くお礼致します。
最後に、ステップアップ研修受講の皆様、長きにわたってご苦労さまでした。今後の活躍、楽しみに期待しています。

報告 ジリこと川尻秀樹でした。