岐阜県立森林文化アカデミーでの平成24年度 「施業プランナー 育成研修」も既に 第13回、
今回は経営計画づくりにつながる 「事業予定地発表」 を実施しました。
岐阜県内の11森林組合、2林業事業体、1公社、4建設業の合計18名が自分が、座談会開催や
境界確定による集約化し、林分の現況把握をして目標林型を定めて、作業路や作業システムを
提案し、木材搬出から林分の将来設計などを発表しました。
各自向かう森林の所有者状況、面積、地利などは様々です。机上の計画でなく、実際に現地で
踏査しないと経営につながる計画が立てられません。
各自、①資源構成や②所有者構成、③目標林型と④施業方針、⑤今回の作業方針、⑥5ヶ年間
の施業計画、⑦作業システム、⑧課題(問題点)や今後の対応、⑨他の事業体との連携などを、
検討した結果などを報告します。
森林簿上では良い林のようでも、現地で確認すると、上記写真のように山側がツキノワグマに
よる「熊剥ぎ」にあっており、木材としての利用価値が低下している林分も多くあるため、現地踏査
が重要だと発表した研修生もいました。
現地では10×10mもしくは20×20mのプロットを設定し、林分の状況を把握します。研修生によって
は、100年生の目標林型を定めて、そのための「将来木」を選木する手法をとる人もいました。
そうした林分の現況データを元に、集約化した地域の施業デザインを図面化します。
現場の地形や地質、土質、地利状況と自社の作業システムなどによって、提案される施業全体
が異なります。作業システムは路網設定による機械化提案、架線集材との併用による提案など
様々ありますが、問題は採算性です。
経営に結びつくには、採算ラインが重要ですが、素材生産の労働生産性は発表者によって差が
大きく、 2 m3/人日~6.7 m3/人日(平均4 m3/人日)となりました。果たして、2 m3/人日で
経営が成り立つのでしょうか?
多くの人が、目標林型は100年とか、ヒノキの平均胸高直径30cm以上、スギの平均胸高直径
40cm以上とかいう説明をされました。最寄りの国有林や民有林に見本となる林分を見つけて、
目標林型に定めていました。
しかし、その目標林型に定めた林分がどのような経緯をたどって現在の姿にあるのか。どの
ような施業履歴、どのような成長パターンをしているのか知らないと、実現不可能な可能性もあり
ます。
そして、最後は経営として成り立つかどうかです。
今回の発表会には上級研修受講者でもある飛騨高山森林組合の柴田誉さんや県の普及員さ
ん、そして講師を務めてくださった森林研究所普及企画係の池戸技術課長補佐、森林文化アカデ
ミーの横井教授も参加してくださいました。
柴田さんからは研修生に労いの言葉とエールを頂きました。
最後に講師陣からの講評です。池戸技術課長補佐も横井教授も、年々レベルアップする施業
プランナーたちに暖かい言葉を下さると同時に、今後、より何をすべきを提案してくださいました。
今回も皆様のおかげで無事、事業発表を終了することができました。事前準備に苦労してくださ
いました森林研究所普及企画係の下野俊彦技術課長補佐、森林整備推進専門職の佐藤潔さ
ん、渕上英明さん、ご苦労様でした。
以上報告、ジリこと川尻秀樹でした。次回は来月です。頑張りましょう。