2012年10月26日金曜日

広葉樹林の間伐と間伐材の利用を考える

 クリエーター科林業再生講座1年生の「多様な森林施業」で、広葉樹林の間伐と間伐材の利用を考える実習を行いました。この授業は、ものづくり講座との合同授業です。

 場所は、郡上市の標高約1,100mにある落葉広葉樹林です。林齢は90年弱で、保育を目的に積極的な間伐を行うには、少し高齢な林です。そんな話も交ぜながら、広葉樹林の間伐についての野外講義をしました。

 この林は、「木工に使える材料を調達しながら、森を育てる」というコンセプトで、以前から活動が行われています。通常の木材流通によらない木材の使い方もあるということです。このことを念頭に置きながら、どういう選木をすればよいのか、実際に選木をしながら考えます。もちろん、樹種名や、その種の成長のしかた、材の性質や使われ方などの樹木に対する知識と、木を伐ることによる周囲の反応の仕方を知らなければ、選木はできません。

 選木の実習をした後、実際に1本の木を伐採することにしました。今回は、樹種的な市場価値が低く、隣にあるヤマザクラと競合しているウリハダカエデを伐採し、その材をものづくりの実習で使うことにしました。





   伐倒作業は、林業再生講座の学生が挑戦しました。幹が傾いているため、材が避けないよう気をつけて作業しました。

 根元近くからは、お椀づくりに使う材を採り、その上からは製材に回す2mほどの材を採りました。









 伐採したウリハダカエデの伐根です。年輪を数えたところ、85年生の個体でした。











 
  ウリハダカエデの樹冠がなくなったことでできた、林冠の空間です。この空間ができたことで、ヤマザクラ(写真の右上の木)は樹冠を広げて成長(幹の肥大成長)がよくなるでしょうか。期待したいところです。









  普段、針葉樹人工林を中心に勉強している学生にとって、今回の広葉樹林での実習は、新鮮だったようです。広葉樹林施業の実習は、森をみる目や森の管理を考える頭をつくるのに、とても適しています。この実習で、林業再生講座の学生はどんな力を身に付けたでしょうか。

 また、ものづくり講座の学生にとっては、ふだん自分たちが使っている材料が生活している空間に分け入り、生きている木を伐ることで材料が調達できていることが実感できたのではないでしょうか。どんなお椀やモノをつくるのか、楽しみです。
 
  by 横井秀一