森林からはじまる持続可能な暮らしを、社会に提案していく人材を育てる。
それが森林文化アカデミーのひとつのゴールです。
そんな学校ならではの実習、パーマカルチャー実習が今年も6月17日に始まり、木造建築、山村づくり、そして我が自然体験活動指導者・インタープリター養成コースの学生が参加してスタートしました。
学校としてこれほどの実践を通して体験できるのは、全国でもアカデミーだけでしょう。
パーマカルチャーとは、「Permanent
Agriculture 」と「Permanent
Culture」を合わせた造語で、オーストラリアのタスマニア島で猟師&漁師をしながら自然と対峙し持続可能な暮らしをしてきたビル・モリソン氏が提唱した持続可能な暮らしのデザインです。
最近ではよく農業の一手法と勘違いされがちですが、実はその領域は、衣、食、住、建築、伝統文化、地域、街づくりなどなど「暮らし」すべてに関わる大変幅の広いものです。
その考え方には、世界じゅうの伝統文化や自然の中での暮らし方、農法、食文化技術が参考とされ、そして体系立てられています。当然、日本の里山文化の知恵や技術、保存食、発酵食等の食文化などもたくさん盛り込まれています。
いわば、これから地球で暮らしていく上でのバイブルともいえるでしょう。
講師にお迎えしているのが、パーマカルチャーセンタージャパン代表の設楽清和さん。毎年、非常勤の講師時間外もボランティアで指導してくださいます。
実習場所となるのは、木造建築の学生が3年前に建築し本ブログでもよく登場する「あらかしのだんだん(自炊&コンポストトイレ施設)」のとなり。
建築時の残土が詰まれ、土砂流出が多かった場所を、単に土留めするのではなくその場所を畑にし、コンポストトイレから出るコンポストを活用し、そこで取れたものを自炊施設で使い、そして食べたものをトイレで排泄する。という「畑→収穫→調理→排泄→コンポストトイレ→畑」というひとつの循環をこの小さな空間にデザインしようということ、そしてパーマカルチャーの理念の根底に流れている日本の里山文化の知恵や技術を逆輸入スタイルで見直してもらおうのがねらいです。
3年前にはじまったのですが、なんせ強烈なガチガチの粘土質であること、イノシシがよく荒らしにくること、校舎から離れているのでなかなか学生が面倒を見にこれないということなどいくつもの障害がありゆっくりゆっくりと進んでいる状態です。とはいいながらも、何もなかった場所に3年間で数センチの土壌は作られていました。自然の力、土壌生物の力は素晴らしいものですね。
今年はみんなでその場所を再デザインし、憩いのスペース等も入れて再スタート。
パーマカルチャーの基本理念を勉強したあとは、2年生のつくってきたデザイン計画について話し合ったり、目隠しをして歩きながらその土地の特徴を足の裏の感覚で感じたり、放線菌を捕まえてボカシを作ったり、気持ちを込めて苗を植えたり、遊歩道をつくったりと、早朝から夜まで、それはそれは充実した2日間でした。
翌々日、大雨が降った日には、昼休みに学生が自主的に集まり、雨の水がその土地をどうやって流れるかを観察しに行っていたようです。
森から始まる持続可能な暮らしのデザイン いよいよはじまります。
自然体験活動指導者・インタープリター養成コース
なんちゃってせんせい
萩原ナバ裕作