2013年6月25日火曜日

こんなん咲いてました93


梅雨空の下、アカデミーの一角で面格子にからんでいるツル植物がいました。この植物の名前は「ヤブガラシ」。藪を作ってほかの植物を覆ってしまい、枯らしてしまうという意味でしょうか。ブドウ科の植物は他の木や草に巻き付くために、特別の巻きひげを持っています。ツルツルの表面でもモノともしないので、最強のクライマー植物と言えるでしょう。



巻きひげで面格子を登っています

花の直径は数mm、しかも花弁の色が緑色なので目立ちません。花は一斉に咲かずに少しずつ交代で咲くらしく、一つの花序の中につぼみと咲いている花と終ってしまった花が混在しています。花の中心をよく見ると、何やらイクラのようなものがあります。これは花盤から分泌された蜜ですね。花の大きさの割には大量の蜜を出しているようです。そういえば、ハナバチの類がヤブガラシの蜜を吸っている姿をよく見かけます。



左下は花弁の落ちた花・中央右が開花中の花

ヤブガラシのツルを蟻が歩いているのを見かけましたが、この蜜が目当てのようです。ちなみに蟻は小さいので花粉が付きにくく、移動距離も短いと言われています。花粉を運んでもらう目的で花を咲かせている植物の側からしたら、役立たずの訪問者かもしれません。


花盤に溜まった蜜









一方で、蟻がウロウロしていると、植食性の昆虫が近寄りにくいので、そういった面では身を守るのに役立っている可能性もあるのではないでしょうか。早春に地面から顔を出すヤブガラシの新芽は、艶々としておいしそうですが、茹でて何度も水を取り替えアクを抜かないと食べられないそうです。そういえば、昔公園のポニーにヤブガラシを与えたところ、そっぽを向いて食べなかったことがあります。これは化学防御の一種ですね。










ちなみにヤブガラシの別名は「ビンボウカズラ」。庭のお手入れをしなくなるとはびこるから、でしょうか。目をつぶるとヤブガラシのからみついた廃屋は容易に想像できます。アカデミーも部分的にからんではいますが、きっと大丈夫でしょう。人間の勝手な印象とは関係なく、アカデミーのヤブガラシは今日もからみつく先を探して元気にツルを伸ばしています。