狩猟サミットに参加
本年度から始まった「野生動物管理概論」、野生動物を一方的に害獣扱いするのではなく、逆に
生活の中に取り込んでいくくらいの考えで、山や農山村側から野生動物を見る視点を養います。
今回は郡上市で猪鹿庁が主催した「狩猟サミット」の基調講演と5つの事例発表を聴講しました。
参加者は林業再生講座の笠木、竹川、富井、山村づくり講座の伊藤、最賀、松浦、水野、天池の
8名の学生。明日はエンジニア科の北洞くん、近藤くんも参加。
最初に主催者の代表、興膳健太さんが挨拶。
彼は I ターンで郡上市に住み、NPO法人メタセコイアの森の仲間たちを主催しながら、イノシシや
シカの狩猟や肉利用に稟力しています。
会場には、約150人の参加者がおり、半数近くが女性、しかも狩猟免許取得者も数多く参加、
北は北海道から西は福岡まで、全国から参加者が集まっています。
基調講演は、「ぼくは猟師になった」の著者として有名な千松信也さん。
現在38歳、猟師歴13年、くくり罠と無双網で、イノシシやシカ、カモ類を捕獲されるそうです。
狩猟獣肉は基本、自家消費で販売はしていない。
自分は「山と自分のペースで向き合うこと常とする」、有害鳥獣駆除の多くは「殺す」ことが目的
となっている。
田舎は獣害が問題で限界に来ているのでは無い、林業や農業など山村の生活基盤を何とか
しなくてはダメ。・・・・・とにかく、実践者の声は、一言一言が納得できる。
途中、千松さんが狩猟資格について会場のみなさんに聞くと、さすがに多くの方が意欲的。
展示スペースには地面を掘らなくても簡単に設置できるくくり罠も展示されていました。この罠に
ついて、岐阜大学付属野生生物管理学研究センターの森部先生にお聞きすると、4mmのワイヤー
と踏み上げ台に天然ゴムをつかった群馬県の製品とのこと。
これは簡単で、安く、使いやすそうと感じました。
事例発表では
(1)けもかわプロジェクト・おんな猟師のおくりもの
(2)アフリカで狩る・娯楽の為の狩猟の現状と地域社会の関係について
(3)松下皮算用プロジェクト
(4)エゾシカの狩猟管理は可能か?
(5)中部ESD拠点の取り組み ~ 持続可能な社会を目指して~
上の写真は二番手の九州大学の安田章人先生。アフリカでは45カ国中、25カ国で海外からの
お金持ちを対象としたスポーツハンティングがなされ、特にタンザニアでは盛んであるとのこと。
スポーツハンティングは野生動物の管理と多額の税収として地域財源になっている反面、狩猟で
きない地元住民が食糧確保のために狩猟することは、密漁として規制されてしまうとのこと。
四番手の酪農学園大学、伊吾田宏正先生は、エゾシカの狩猟管理について事例発表され、
北海道では年間60億円以上の農林業被害があり、今後増えすぎたエゾシカにどうつきあって
行けばよいかについて、問題提示されました。
また伊吾田先生は、ドイツなどでシカを林産物としている事例。
Proハンター、Selectiveハンター、Normalハンターの3段階のハンターが存在することも紹介
されました。
会場からは、多くの質問がありましたが、高山市役所で鳥獣害対策に取り組み、自らも狩猟され
る大坪さんからは、「日本人に獣肉を常食する習慣がないことも問題ではないか?」との投げかけ
もありました。
林業は持続可能と思われがちですが、このシカ類による食害対策をなんとかしなくては、持続
不可能ではないか考えるのです。
以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。