2013年10月31日木曜日

『現地現物』を見据えるトヨタに学ぶ ~施業プランナー 上級研修~

『現地現物』に基づいて改善する 林業現場なら何を改善?

『ムダの徹底的排除の思想と、造り方の合理性を追い求め、
       生産全般をその思想で貫き、システム化した生産方式』トヨタ生産方式と言います。

 トヨタ自動車の車を造る生産方式は、一般的に「リーン生産方式」、「JIT(ジャスト・イン・タイム)
方式」とも言われます。 お客様第一主義に、最短時間で効率的に造る ことを目的とし、長い年月
の改善を積み重ねて確立された生産管理システムで、「異常が発生したら機械がただちに停止して不良品を造らない」という『自働化』と、 各工程が必要なものだけを、流れるように停滞なく生産
する『JIT』の2つの考え方を柱として確立されました。



 今回の施業プランナー上級研修では、㈱豊田自動織機の七草工場とトヨタ L&Fカンパニーの
高浜工場の2ヵ所で生産管理を学びます。

 このブログでは、見学させて頂いた企業さんに配慮して、数値表示及び工場内部の写真はお示
ししません。

 豊田グループの関連では、L&Fのフォークリフトは世界シェアの19%、自動織機は世界シェアの
28%、コンプレッサーは世界シェアの40%と、この三部門は世界一位です。

 最初に訪問させて頂いた七草工場は、昭和42年(1967年)からの古い工場で、トヨタの 自動車事
業部門では最も小さな工場であるため、生産工程を工夫しています。この工場では、VitzRAV4
を生産しており、2013年度には通算900万台生産を突破されたそうです。


 会社内では安全第一に努め、工場内の階段移動時には手すりを使う、道を横切るときは指さし
確認をする。

 「安全」に対する認識は何もしなければ忘れてしまう。
 常に意識させるために、職員は会議の前に、『私の安全宣言』をするそうです。
                          ・・・・林業の現場は形式にもなっていないかも?


 Vitzの生産タクトタイム( Tact-Time)は 1.70分、RAV4タクトタイムは1.26分と、驚く早さです。

 タクトタイムとは製造における生産工程の均等なタイミングを図るため の工程作業時間のこと
で、時間/個の単位として生産目標を設定する場合などに使われます。

 こうした生産効率の改善のために、「どのような努力をされてきたのか?」を探ることで、私たち
の林業を振り返ることが、ここに来た目的の一つです。


 一連の説明の後、撮影禁止の工場見学(約一時間)です。全員がトヨタのキャップをかぶり、生産
管理の現場を見学です。

 「溶接」部門の改善では、以前は横一列に並べられた溶接工程に作業員が移動しながら作業し
ていたが、その後の改善検討により、空いていた二階部分にも溶接ロボットを配置し、極力作業員
が移動などをしなくて良いような労働環境にしたことで、小面積で効率よく溶接が完了するようにな
った。

 タクトタイムの改善は機械の配置と人の配置、工程を改善することで実現される。

 改善案は現場の人が、毎月一枚以上、A4サイズの用紙に改善案を提案することで実現する。
その改善案を検討する会議などは、必ず何を決めたいのかを明らかにし、一時間以内に終了す
る。



 午後からはフォークリフト生産のトヨタL&Fカンパニー高浜工場です



 L&FはLogistics(物流)とForklift(フォークリフト)です。特にLogisticsは無人搬送車を指して
います。

 すべてがトヨタ生産方式(T.P.S)にのっとり、500kg対応から43ton対応の大型フォークリフトを
生産している。メインは1~3ton用のフォークリフトで、エンジン式(ガソリン、ディーゼル、プロパン)
と電動(バッテリー)式のフォークリフトを、カスタムメイドも含めて、同じラインで生産しています


 L&Fは2001年から自社企画、自社生産、自社販売の全てを実施しており、これを実現するため
1.研究開発部門・・・「お客様第一主義」に製品開発する。SAS(System of Active Safety)の開発。
2.生産部門・・・トヨタ生産・物流方式が可能にする混流ライン、自動搬送車、デジタルピッキング
          によるJITと自働化など
3.物流システム部門・・・ロボットと人との効率的な関係、改善、行灯など
4.部品センター・・・常時8万点の部品を常備し、配送する。
   実際にはフォークリフトの部品は64万パーツあるため、それら全てに対応する。


 ここでも工場内を一時間見学。

 工場内では4S(整理・整頓・清掃・清潔)による物流改善を常に意識する。


 例えば、ビス止めの工程を想像して下さい。ビスの入った容器を手に作業を開始して、最初の
うちはビスがたくさん入っているが、それが少なくなってくると、容器の下の方にあるビスを取る
ことになる。

 この容器の下の方にあるビスを手で取る段階で、山盛りにある状態よりも0.3秒余計に時間が
かかるとすると、作業のライン内に40ヶ所の作業工程があることで、ロスタイムが0.3×40=12秒
となる。
 仮に一に当たり160台のフォークリフトを生産すると、実際とは異なるが常に0.3秒の遅れが累積
すると、一日で32分の遅れになってしまうので、これをどう改善するのか?・・・と考える。

 
 
 この工場の職員には「常に改善して行く」という意識があり、そうした意識の産物として、
『道場』があります。
 
 工場で働く職員のうち溶接などはA~Cランクのようなものは、書菌のモチベーションも上がり
また技能オリンピックへの参加など、様々な目標がある。しかし組み立て工程などにはそうした
目指す資格もなく、技術力アップにもつなげにくい。
 
 そこで職員が自発的に自分を磨くための『道場』を工場内に設置して、「安全」をキーワードに
取り組んでいる。・・・・・内容がありすぎて、お伝えできないのが残念です。

 さて、今回のトヨタ生産方式に学ぶ施業プランナー上級研修、朝6:00~午後6:00までの12時間
行程でしたが、研修生にとってはそれなりの大きな収穫があったと思います。

 以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。