山(林業)と街(ユーザー)には大きな隔たりがある
施業プランナー 第5回技術維持研修、 今回は林材ライターとして有名な赤堀楠雄さんによる
『山と木の価値を高める』と、県森連森林再生プラン室の廣田智行課長補佐による『タブレットを活用した提案型営業』です。
最初は廣田さんによる講義とワークショップ。
タブレットの利用事例として、兵庫県の北はりま森林組合の林業再生ロールモデル事例を紹介。
北はりま森林組合の藤田さんなどは山にタブレットを持参し、データの直接入力や写真撮影をし、
森林所有者に対するDOOR TO DOOR の営業を年間100件ちかく実施している。
施業プランナーの仕事は何か。 所有者への具体的な説明提案が必要。
実際、自分たちはどのような課題にぶつかったかをグループ討議。
経験上、
・過去の仕事に対する苦情
・林業の専門用語による伝達不足
・営業回数が増えることによる新たな仕事の増加 → こうしたことは提案前・中・後 ?
問題一つ一つを課題変換(要求変換)し、グループ化する。
営業では、
①見えないものを見えるよう提案する営業
②専門的になりすぎない判りやすい営業
③提案・交渉する営業
④事業体(提案者)のリスク管理ができる営業
⑤スマートな営業 → 森林管理サービスを所有者に提供する
お客様を満足させられる営業が真の提案営業
タブレットを各自が操作し、ソフトを体験。
所有者は家にいて、自分の山の境界や祠などの写真が見られることで、共感を得やすくなる。
林分の状況を示し、場合によっては下の写真のようにタブレットを操作してもらって間伐木を
所有者自身が選ぶこともできます(本来は理想を提案すべきですが)。
家にいながら仮想の作業で、伐採収入や経費支出、最終的な収支を試行錯誤することができ
ます。
また、A材、B材、C材の値段の違いが何か?森林所有者には理解できないし、一本の立木が
どのように採材されるのかも知らないため、タブレットにはそうした説明もできる機能が入っていま
す。
こうしたタブレットの利用によって、下記のような様々な期待される効果があります。
重要なのは、いかに判りやすく提案できるか。所有者に納得してもらえるか。であって、
単に提案していていても、その中身が森林所有者にとって、理解しづらい内容であっては意味が
無いのです。
午後からは、赤堀さんによる『山と木の価値を高める』です。
毎年お願いしている講座ですが、研修を実施している私自身も楽しみにしている講義です。
赤堀さんからは、幅の広い川下からの視点で様々な山側の見方をご指摘受けましたが、全国各
地の営業にも問題があるといけませんので、最小限のブログ報告とさせて頂きます。
一般の人は、「森林に何を期待しているか」・・・・意外な結果!
「木の家」の施主は木に関心があるのか・・・・施主の関心は デザインや設備中心、木に関心が
ある人はない。県産材住宅は木の家が目的という
よりも、補助金があるから利用する現状。
山(林業)と街(ユーザー)には大きな隔たりがある
→ 山側の『発信力』を高めなければいけない。
これからは構造材が主役の新築が減少し、仕上げ材や下地材主体のリフォームや非木造商業
施設に変化するはず。
そうなれば、製材も変化する。芯もち中心で決まった規格の木造建築用材から、多様な小割材や板材が主役に木取りに変化する。
木材の価値を創出するためるには、ソーティング(選別)が重要。
山側でできるソーティングは、①苗木の選抜
②選木(保育間伐)
③選木(利用間伐)
④造材
⑤丸太仕分け(生産・流通段階) までである。ここで何をする?
玉切り(造材)も意識すると、材積生産量が大きく違ってくる。
3m材の末口が2cm括約の16cmか、18cmかで、材積は1.26倍違うことになるが、現場はこうした
ことを意識して仕事をしているか?
他にも全国各地の面白く、勉強になる事例も紹介して下さいましたが、そうした内容を知りたい
人は、是非、施業プランナー研修にご参加下さい。
今回も廣田さん、赤堀さん、大変お世話になりました。研修生の皆さんも、講師から得た情報を基
に、今の自分にできることをもう一度考え、小さなことからでも実践していきましょう。
以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。