2014年6月16日月曜日

古民家リノベーション事業プランニング講座 1回目

いよいよ始まりました、短期技術研修の「古民家リノベーション事業プランニング講座」。

この講座のねらいは、古民家再生を軸に、地域活性化をはかることができる人材の育成です。
全4回、7日間にわたる講座の始まりです。
この講座は一昨年、篠山市に国内研修で訪れ、その取組の内容とスピード感に衝撃を受け、今回の企画につながりました。

1回目は、篠山市で数々の物件改修を行い、地域単位で将来をデザインしている一般社団法人ノオトさんに代表される先行事例を見に行きました。


お昼に篠山に到着し、最初は、どのような取り組みを行っているのか、各々で地図を片手に篠山の城下町(伝建地区)を見て回ります。
この地図(有料)もこだわりの逸品。女性視点でおすすめの店舗を案内してくれます。
上の写真は、茅葺民家を改修した「岩茶房ことり」ざんです。趣のある土塀を見ていたら、実はボランティアチームでブロック塀に土を塗っていることが判明。いい雰囲気です。ノオトさんが進める改修を安く抑える3つの工夫のうちの1つです。残り2つは参加者のみの特権。


次は、ノオトさんが最初に取り組んた集落丸山に移動(市内から15分くらい)して、設立の経緯から現在の状況まで、細かな収支も含めてお聞きすることができました。

オーベルジュとしてオープンし、5年経過しています。これまでは、当初の計画通りに運営できており、今後5年間で、次の段階を検討する時期に来ているようです。

ノオトさんに事業もこの集落再生を皮切りに、さまざまなノウハウが蓄積していったことがわかります。


そして、市民センターに移動して、いよいよノオト代表の金野さんのレクチャーです。

まずは、昼から見て回った空き家活用の全体像を多数の事例を含めてお聞きして、金野さんの考えられている壮大な構想の一端を聞くことができました。

すごく充実した時間で、2時間のセミナーが、あっという間に過ぎてしまいました。

1日目の宿は、篠山市で2番目に伝建地区に指定された福住地区で、古民家改修を行った「ゲストハウスやなぎ」さんです。夕食も、古民家を改修した建物で素敵なイタリア家庭料理を堪能しました。

20人近くが一軒の民家に所狭しと修学旅行状態で宿泊しましたが、通りの土間で遅くまで、この口座にかける想いなどを話し合いました。


翌日、集落の朝のサイレンで5時に目が覚め、福住地区の散策などを行いました。宿場と農村集落が一体となった街並みが全長4kmの広範に残る印象的な地域です。
朝食前に、やなぎのご主人に、このゲストハウスの成り立ちをお伺いしました。

朝食は、すぐ近所の「篠山暮らし体験住宅・和田家」で、篠山の地元野菜を使った弁当をいただき、そのまま、2回目のセミナーに突入。


このセミナーは、多くの改修物件を手がける建築家の才本さんと、篠山のツーリズム事業を展開するROOTの谷垣さんです。
改修やツーリズムの概要から、技術的な視点まで実際に行ってきた実績から発する言葉でした。
すぐ近所で進行中の改修現場も見せていただきました。

お昼は、4つの蔵を複合商業施設に改修した「ささらい」さんで地元野菜のお弁当をいただきました。


一回目の講座の最後は、朝来市竹田に移動して、昨年末に観光交流拠点+ホテルとしてオープンした「EN」にて、見学と、金野さんのレクチャーです。

ここでは、大規模改修の事例と、国が進める国家戦略特区の概要をお聞きしました。

古民家活用を困難にしていた建築基準法や旅館業法、消防法などの法規制をどのように扱っていけるのか、そのヒントを実例と今後の展開としてお聞きでき、次回から始まる実物件の活用提案に向けて、モチベーションが向上しました。

充実した二日間でした。

次回は、舞台を美濃市に移して7月末に一泊二日で開催します。

金野さんにも両日参加いただき、古民家の目利きやもっと具体的なテクニックも含めて、実物件の活用提案に取り組んでいきます。

木造建築講座 辻充孝