2015年1月23日金曜日

シカを獲り、解体する 山を守り・生活を守り・地域を守るために

狩猟しながら生きることを体験から学ぶ!!


 はい、みなさん、JIRIです。今日は郡上市大和町にあるNPO法人メタセコイアの森の仲間たち
猪鹿庁長官の興膳さんにお願いして、シカ猟とシカの解体を体験させてもらいながら、山の
樹木がどのような状況なのか、地域の住民の生活はどうなのか、そしてシカの狩猟って簡単?
獲った獲物はどう解体して、食べるのか、流通させるのかを学びました。


  狩猟には猪鹿庁からは興膳さんと永吉さん、そして安田さんが、そして地元の名ハンター
坪井さんが同行。 猟は坪井さんを中心に、興膳さん、永吉さんの3人が銃の射手、安田さん
以下、私たちが勢子として山狩りをします。

 最初に地図で、どこを鉄砲が、どこを勢子が、下打ち合わせをして、無線を持って出発です。


 積雪は多いところでは1m以上、かんじきはいても歩くのは至難の業。
勢子の私たちは声を張り上げながら、無線の指示を受けながら、よれよれになって山狩りします。

 途中見た広葉樹は樹皮が食べられて白くなっていました。下の写真で、白い部分がシカによる
樹皮食い跡です。



 広葉樹だけではなく、針葉樹も樹皮食い。これは斜面に生えたヒノキで、斜面下側の樹皮が食
べられて、木部にはシカの下顎の歯跡が残っています。


 ササ地ではシカがササをたくさん食べ、新鮮な糞がたくさんありました。
約2時間、ヘロヘロになりながら、道無き道をたどったのです。

 途中で、シカにも遭うことができました。


 さて、残念なことに今回の山狩りでは獲物が得られませんでしたが、名ハンター坪井さんの
ジビエITAYAへ行き、解体の体験をさせて頂きました。

 坪井さんは野生動物の解体・加工の許可を得て営業されています。



 当然、使用する刃物類は殺菌されています。

ラテックスの手袋や清潔なまな板などもしっかり用意されていました。


 今回解体するシカは内蔵を取り除き、冷水に漬け、その後3日ほど吊して熟成させたものです。

最初に脚の膝に相当する部分を4ヶ所切り落とし、それから吊り下げて解体開始です。



 解体のスタート段階は、皮剥ぎからです。ここでは解体のスペシャリスト籾山さんの出番です。
籾山さんは猪鹿庁でも最も優れた解体技術を持つ人で、手際よく関節や大切な肉の位置を
説明してくれながら、ものすごいスピードで処理していきます。


 後ろ足を吊って、頭部が下になるようにすると血が下がる。「血抜きはしてあっても、この部分の
肉を押さえると血管から血が出てくる 」と説明しながら、コツをうまく教えて下さいました。

  
 学生も皮剥に挑戦。初めての経験にどこにナイフを入れたらよいのか戸惑うこともしばしば、
少し慣れるとある程度はできる。
 

肉と皮の下の膜、その見極めが難しく。松浦さんも悪戦苦闘。

 近い将来、就職先の広島で実践する可能性があるため、真剣に取り組みました。


 解体の途中で、鉄砲の弾が出てきました。

    少しひじゃけていますが、肉から「ポロリ」と落ちてきました。


 皮を剥ぎ終わったら、首を落として、「皮剥完成」、 籾山さんの解体は獣毛が肉に付着する
確率が低く、とても良い仕事でした。


 剥いだ皮は廃棄物です。昔ならば毛皮も流通することができたかもしれませんが、成獣であり、
かつ皮の需要もなく、鞣しの経費が出ない。・・・何か利用できないものか?


 皮を剥いだ肉のかたまりから、前脚と後ろ脚を切り取ります。
そして背中から背ロースを取り出します。 ここでも松浦さんが籾山さんのアドバイスを受けて
挑戦しました。

 最も喜ばれる背ロース、その肉の良い部分だけを再度加工して、冷蔵庫で熟成させるそうです。

 籾山さんは肉質のこだわる精神が半端なく、鮮度や肉質が少しでも良いとは言えない部分は
バンバン切り落として廃棄に回していました。


 脚のもも肉の中でも、特に内ももはスジが少ないそうで、大きく3つの部位に分けられる肉の
固まりを簡単に骨から切り離していました。

 

 さて、内臓を取り除いて40kg程度のシカでしたが、どれくらいの肉が採れるかご存じですか?
鉄砲が頭や首上部に命中し、利用できる肉が多い場合は約3割が肉として得られ、7割が廃棄
部分となります。

 今回は興膳さん、永吉さん、安田さん、坪井さん、籾山さん、有り難うございました。

以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。