講師には地域再生機構の森さんに来て頂きました。
近年の木質バイオマスの動きはとても大きく、
岐阜では原木消費量が10万m3/年ともいわれる大型バイオマス発電工場も出来ました。
また、木の駅プロジェクトのような地域密着の活動も増えてきました。
それぞれの地域でどのようなエネルギー利用を目指すべきなのか、
それを考えることが授業の目的です。
昨日はケースタディとして、ある町でどのようなバイオマス利用が良いのかを考えてみました。
近隣に大型バイオマス発電工場が出来た、ハウス栽培農家が重油代高騰に
苦しんでいる等、実際のケースに即した与件を踏まえて、
① バイオマス利用の目的
② 木材の流れと利用方法
③ 連携する主体
について検討しました。
上の班は、活動主体に町内会も巻き込むなど、林業以外の活動も視野に入れた、
面白い発表をしてくれました。
ちなみに、上記3点について検討した理由は、
◆ 目的なしに行政の思いだけで突っ走り、ハードの設備だけが残ってしまうなど、
目的をはっきりさせないと、うまくいかないケースが多い
◆ バイオマス利用の構想だけは書いたが、実際に動く人がいない
という、失敗事例があるとのこと。
今日は実際に明宝地域でのバイオマス利用を見学しました。
まずは、明宝山里研究会の会長の松山様に
薪販売システムについて説明して頂きました。
もくもく市場というのを運営して、薪の材料集めから販売までを実施しているのですが、
遠くは静岡から薪の買い付けに来るなど、薪へのニーズは確実にあるそうです。
特徴的だったのは、原木での販売も行っていること。
安く購入できる上に、週末に子供と薪割を楽しむことが出来るということで、
市場でチェンソーの音が響いている日もあるそうです。
出荷者は、地元の山林所有者です。大儲けは出来ないが、
こづかい稼ぎは出来るということで、持続的に材の供給が出来ているとのこと。
ちなみに市場の運営にあたっては、新たに大規模な土地の整理をしたわけではありません。
地域資源をうまく生かして、身の丈にあった活動をしていました。
続いて、明宝の温泉施設、湯星館で薪ボイラーを見学しました。
出力は150kwで1日1m3程度の薪が必要とのことです。
薪ボイラーの場合、チッパーなど大型の設備投資が不要であり、
地域内で材料の供給が可能です。
ペレットやチッパーボイラーに比べると、出力はあまり大きくありませんが、
需要先によっては、十分です。
今日は現場の見学でしたが、
地域のバイオマス利用を図るためには、
◆ 活動主体が必要だということ
(今回の例でいうと、材の供給を行う山里研究会)
◆ 地域の需給状況に合わせた設備の導入が必要だということ
が大事だということが分かりました。
考えてみると当たり前かもしれませんが、ふと構想だけで突き進んでしまうことも
現実には無きにしもあらず。誰のためにやるのか、何のためのやるのか、
しっかり考える必要がありそうです。
明宝地域の皆様、貴重な勉強の機会を提供して頂き、とてもありがとうございました。