2015年5月12日火曜日

クライアントを想定した森林GISの授業

商売につながる森林GIS利用提案をせよ!


  エンジニア科2年生が学ぶ『林業IT』の授業。 この授業は技研森林組合連合会顧問であり、
岐阜県内外の森林GISに精通された中島義雄先生をお招きして、森林GISについて学びます。

 今年の授業は、単にGIS操作を学ぶのではなく、森林文化アカデミーの山の木を、バイオマス
資源として、どのように把握して、計画的に木材生産するかを提案する際に、GISを利用すること
を想定して、授業を開始。 いわゆるプロポーザルを想定しました。


 最初に、NHKクローズアップ現代で放送された内容2つについて考える。

 1つ目は『地図力が社会を変える』について
   この中では日本が地図教育やGIS教育にどれほど遅れているのかの現実を知りました。
  アメリカのITベンチャー企業などは、無償で3D地図を公開し、「屋根にソーラーパネルを設置
  したい個人が、ソーラーパネルを設置しても充分なエネルギーをまかなえるのか、屋根の高さ
  や屋根角度をみることができ、購入するかどうかを判断するようになっている。

   また、アメリカの小学校では3D地図の教育が実施されており、その中で地図を3Dプリンタ
  出力して、その利用を小学生が考える地図教育を実施している。


 2つ目は『急増!バイオマス発電 ~資源争奪戦の行方~
   バイオマス発電の盲点は何か? 林産物の安定供給のために何が必要か? そのための
  情報把握はどうすべきか?


 G空間×ICTで何が変わるか?

 GISで何が判るか?
   ・位置をもつものはすべて空間情報。
   ・在庫量の原材料を把握。
   ・時間の変化による他の変化を把握する。
   ・シミュレーションして未来を予測する。
   ・事業リスクを軽減する。


  学生たちは、演習林のバイオマス資源をクライアントにプロポーザルするためにどうすべき
かを検討します。


 エンジニア科学生が4人ずつグループになって、演習林の山をバイオマス発電資材供給先に
売り込むためには、どのような森林GISの活用が必要かをグループ討議します。


 各グループが計画案をプロポーザルして、それを採用するかどうかを皆で判定します。
同じグループ内にも認められないようなボロボロのプロポーザルまでありました。



 さて、ここからは初歩的なGIS操作の一例。

  岐阜県の標高分布のポリゴンを表示。 これは連続的に変化するもので、セル表現された
ラスタデータです。標高や気温、騒音レベルなどはラスタデータで表現されます。
 ラスタは格子状のデータで表現されます。


 続いては、連続的なサーフェスを現すTIN。 TINでは不規則な三角形で表現された標高を示し
ました。

 そして、3D地図にも挑戦。
       実は3D地図はラスタデータでできています。 実際に測定するレーザーは点データ
        ですが、表現上はラスタです。


 上の3D赤外線写真を限りなく拡大すると、下の写真のような一辺が50cmのラスタデータ
が現れました。
さて、次回は、スマートフォンを利用したGISに挑戦です。学生は全員がiフォンかスマホですので
どのような結果が出るか楽しみです。

以上報告、JIRIこと川尻秀樹でした。